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雨の足跡

梅雨のこの時期、天気予報では雨のマークが日本を覆う。

雨から連想されるものは何だろう。
雨の匂い、梅雨、虹、傘、五月雨、蛙、カタツムリ、紫陽花、水たまりを長靴で入って遊ぶ、天気の子、などなど。
そんな雨の足跡を辿ろう。

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本を読んでいる時にふと感じた。
あ、この匂い、雨が降る。
気づけば外には雨が降っていた。

あの何とも形容しづらく、語彙力が問われるような雨の匂いが好きだ。
そんな雨の匂いに敏感になったのは、高校生の頃か。成人を超えてからだろうか。

雨が降る前から、雨の匂いがする...これから雨が降る!と見事に当てたことがあり、自分は未来に先回りできる能力があるのか。と、漫画の主人公になったかのような妙な妄想を思い描いていた時もあった。
そういえば最近では雨の匂いを感じた記憶がない。
子供のときにだけ訪れる不思議な出会いだったのか。

雨が降る中、本を読み進める。

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シトシトと一定のリズムを奏でる雨の音。

外には片手に傘をさし、もう一方の手には黒い傘を持ってバス停で少女が二人、バスが到着するのを待っている。
誰かの帰りを待っているようだ。
そこへ、人にあらざる者が葉っぱを頭の上にのせてやってきた。
バスを待っているのだろうか。
葉っぱでは大きな体を雨から守れないため、少女は黒い傘を貸してあげた。
人にあらざる者はニコっと微笑んで、お礼の木の実を手渡し、バスに乗って去って行った。

本を閉じる。

雨が止んだら、外に出よう。
不思議な出会いが待っているかもしれない。

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梅雨のこの時期は雨がよく降る。
祠の前で祈ると晴れるものだろうか。

そんな中、雨の匂いの足跡を辿るが、令和になった今も足跡の記憶は薄い。

映画のワンシーンを思い出すだけでも、幾分雨の日が楽しくなる。
あの好きだった雨の匂いを探す旅に出よう。

雨の後にはやがて雲ひとつなく太陽の光が降り注ぐ。

大丈夫。
今から晴れるよ。


#雨の日をたのしく

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