秋音

福島県郡山市で暮らすライター/マデニヤル株式会社/ 秋生まれ28歳/地のものの幸せを噛…

秋音

福島県郡山市で暮らすライター/マデニヤル株式会社/ 秋生まれ28歳/地のものの幸せを噛み締め隊/元新聞記者/

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最近の記事

初めてbonobosのライブに行った日の話

※この記事は2022年6月に書いて、寝かせすぎていたものです。 * なんでもないふとした瞬間に、記憶がよみがえることがある。 久しぶりにマウントレーニアを飲んだ朝、香ばしくもミルキーな香りが初めて飲んだ「コーヒー」の記憶を呼び起こした。 「甘いからきっと飲めるよ」と母に勧められてストローに手を伸ばした記憶が蘇る。それが私のコーヒーデビュー。 母は多分、マウントレーニアをプチご褒美にしていた。 bonobosとの出会いについてなかなか思い出せなかったのだが、ライブへ行く

    • 10月の資料費

      私が所属しているマデニヤル株式会社では、福利厚生として「資料費」の支給がある。 会社の資料費というと、一般的には取材対象者の著書とか、記事執筆に必要な文献とか、仕事に直結するものが当てはまるだろう。一方マデニヤルでいう「資料」とは、本やライブ、ミュージアムの入館料など、文化に触れるもの全般が対象だ。 ライティングやデザインは、さまざまなものを見聞きして培われていく感性から生まれるもの、という社長の考えからあるこの制度。私自身も主に本の購入やライブ、博物館の入場料や映画など

      • 金継ぎが直してくれるのは

        一昨年の地震で取っ手が取れてしまったマグカップとやちむんの平皿を、金継ぎしてもらった。 3階の古いアパート。震度6弱の揺れで冷蔵庫の上に載せていた電子レンジはふるい落とされ、冷蔵庫はドアが開いて中身が飛び出てきた。本棚の本も軒並み落ちる大惨事に。 それでも壊れてしまった食器はこのマグカップだけ。たっぷり注ぐことができて、私の星座の模様があしらわれていて、とても気に入ってただけに泣きそうなぐらい悲しかった。 作家さんに連絡したら「何かの代わりになってくれたのかもね」と。

        • 庭ですする妥協なしの最強どん兵衛/4月26日のごはん日記

          朝5時ごろ目が覚める。 困ったことに、そこから寝付けなくなった。 むしょーーにあったかいうどんが食べたくなったのが6時半。のそのそ起き出して、シンク下から最強どん兵衛うどんを引っ張り出す。 買ってから頭の隅にずーーっとあったお楽しみ。 一体どのへんが最強なのか、うどん好きとしては見逃せないのである。 まずお湯入れ8分に驚く。 2分半チンでできる冷凍うどんも、おつゆを作ったとしても8分かかるか微妙なところ。 (出汁から煮出したりしたら別だけど) そもそも8分って、カ

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        • 資料費
          1本

        記事

          水郡線でまた揺れる

          大学進学で上京したとき、駅でまず驚いたのは満員電車ではなく車両数の多さだった。 東急溝の口駅。まっすぐなホームにぞろぞろと入ってくる長い長い列車。一人暮らしの部屋に初めて向かうため、各駅停車への乗り換え待ちだった。反対ホームに入ってくる車両を興奮気味に数える。10両。長いわけだ。 東京駅から何度か乗り換えて着いた駅だったが、首都圏で列車全体を見たのはそこが初めてだった。 高校時代に通学に使っていた電車は最大3両編成、終電なんて1両ぽっちだった。 * 水郡線は郡山から

          水郡線でまた揺れる

          自分の好きなものぐらい

          2年ぶりに東京へ。ひょんなきっかけから「真夏の祭典」と呼ばれる都市対抗野球を観に行った。 言わずもがな今は真夏ではない。 ここにもまた、東京五輪の煽りがある。 都市対抗=東京ドームの崩せない伝統ゆえに、連盟は秋の全国大会である日本選手権(会場は京セラドーム)を夏に回し、東京ドームを使うことができる秋を都市対抗大会とした。 まるっと春秋入れ替えるとはある意味すごい発想だなぁと思うし、伝統の重みも感じる。予選でハードなトーナメントを初夏に行うより、選手のコンディションを考慮

          自分の好きなものぐらい

          お国自慢とは。岩手山を眺め思う

          新聞記者時代、異動してきてすぐの河北新報の記者に「郡山のお国自慢は何?」と尋ねられた。 その後出た記事。(抜粋)  1年ほど前まで暮らした盛岡では、こと岩手山の話になると、寡黙な人が突如冗舌になって驚かされた。  「毎朝、岩手山を眺めながら通勤するんですよ。すごいでしょ」とか「マンション住まいですけどね、窓枠がまるで額縁のようでして」といった具合。そういうせりふは、わが家の玄関先から望む夕映えの岩手山を一度味わってからにしてほしいと常々思っていた。  翻って郡山。誰に

          お国自慢とは。岩手山を眺め思う

          焼酎1合カルチャーショック

          そもそもが酒好きではありますが、焼酎は大学時代にバイト先の居酒屋で飲んだ黒糖焼酎「れんと」で覚えた。 最近缶でも発売された「いいちこハイボール」は何年も定番の飲み方で、他には代え難い麦の爽やかな香りが夏の風物詩でもある。寒い季節はお湯割りがそれである。 * 大学の卒業旅行で、野球好きの友人とプロ野球オリックスのキャンプを観に2月の宮崎へ飛んだ。 散々野球を満喫した後、夜のお楽しみは地鶏と焼酎。前もって調べた人気店に足を運んだ。 とはいえ最初はビールがいいかな。そう思い

          焼酎1合カルチャーショック

          父へ精一杯の愛

          父との二人暮らしを始めて1ヶ月が過ぎた。 転職を機に一人暮らしのアパートを引き払い彼との同棲を始めるまで、間の束の間の同居生活だ。 実家に戻った理由は、一人暮らしを続ける理由がなくなったから。前職で暮らしていたアパートは会社の真裏にあったし、安くはない家賃を払ってわざわざ住み続けたいと思うような部屋ではなかった。実家は同じ市内だし、貯金もしたかった。 でも正直、父との暮らしは不安だった。 ◇ 色々と思うところがあり、父とは思春期からほとんど口を利いた記憶がない。父は精

          父へ精一杯の愛

          ポータブルプレイヤーで聴いた彼らはそこにいない

          好きなバンドと聞かれれば、この何年かは「くるり」と答えている。でもそう自覚するようになったのは最近になってから。 私にとって彼らの音楽は当たり前にそばにある存在で、特別好きと誰かに伝えるような存在ではなかった。 彼らの音楽と出会ったのは小学6年生のころ。人生の半分以上の年数、くるりの曲を聴いている。 父が2階のベランダにCSアンテナを取り付けたのだ。スカパーのなんとかパックに入ったことでMTVやスペースシャワーがいつでも観られるようになって、PVというものの存在を初めて

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          マメイケダさんに会いに行く

          なぜずっと男性だと思っていたのだろう。マメイケダさんが栃木の矢板で個展を開くと知ってフォローした会場である古本屋「bullock」のインスタで、ご本人と但し書きされた投稿に写る女性を見て意外に感じた。 お会いして真っ先に、その驚きをご本人にぶつけてしまった。ご本人いわく「よく言われるんですよね、どうしてですかね」とのこと。「マメだから女性ってわかると思うんですけど」。それは微妙なところだと思うけど。 今年の我が家のカレンダーはマメさんの作品。 作品に出合ったのは駅前のブッ

          マメイケダさんに会いに行く