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【要約書き起こし】【Andmo×みんパピ】子宮頸がん・HPVワクチンについて知ろう〜知るという、がん予防〜

【Andmo×みんパピ】子宮頸がん・HPVワクチンについて知ろう〜知るという、がん予防〜

4月9日の「子宮の日」に合わせて、子宮頸がん予防について啓発するライブ配信が公開されました。

非常に有意義なため、その内容を要約して書き起こします。

前半の30分は、木下さん(みんパピ副代表、疫学につよそうな人)江川さん(パピローマウイルス学者、HPVガチ勢)吉岡さん(Andmo所属俳優)上田さん(Andmo所属俳優)の男性4人での対談。

後半の30分は、稲葉さん(みんパピ代表、産婦人科医)宋さん(みんパピ運営メンバー、産婦人科医)宮地さん(Andmo所属俳優)有咲さん(Andmo所属俳優)の女性4人での対談。

寄付はみんパピまでお願いします。

以下、書き起こし(3:50頃より)
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木下喬弘(以下、木下):我々はHPVワクチンというワクチンを推進している団体だが、HPVワクチンを知っていたか?

吉岡睦雄(以下、吉岡):聞いたことは無かった。子宮頸がんという名前は知っていたし、ワクチンがあることも知っていたが、「HPV」という名前は知らなかった。

木下:HPVはヒトパピローマウイルスのことだが、これも知らない?

吉岡:聞いたこと無かった。

木下:ということは、HPVワクチンが男性にも射つものだということは、本当に最近知ったのか?

吉岡:ただ、かなり昔に子宮頸がんのワクチンによって問題が起きているニュースがあったのを覚えている。子宮頸がんワクチンというと怖いイメージを持っている人が多いのではないかと思うので、今回は、HPVワクチンの安全性について教えてもらいたい。

木下:理仁くんはHPVについて知っていたか?

上田理仁(以下、上田):母から聞いていた。

木下:母は何と言っていたか?

上田:HPVというものがあるんだよ、と。

木下:10年くらい前にHPVワクチンが危険ではないか?と言われていたが、HPVワクチンの安全性について最新情報を。江川先生。

江川長靖(以下、江川):2006年、2007年あたりに接種されはじめて、全世界で5億回接種されている。ワクチンは健康な人に接種するので、安全性の懸念が山のようにでてくる。HPVワクチンについても、懸念がたくさんあがっている。WHOを含めた世界の専門家が上がってくる懸念に対して検証を行っている。WHOは、今までにレビューを5回行っている。最終のレビューは2017年に行われた。そこでは、他に使われているワクチンと同じくらい安全で、合理的な疑いの範囲を超えて安全であると言われている。色々言われた症状についても、ワクチンを射ったとき射っていないときを比較し、自然に発生する頻度以上には発生していない、だから安全であると結論付けられている。症状が出ていないと言っているのではなく、100万接種あたり1例増えていないというレベルでわかっている。

木下:(youtubeコメント「調べた結果の安全性の報道をちゃんとやってほしいですね」)こういうコメントが来ているように、日本のニュースで聞かないのではないか?

吉岡:聞かない。その時点で情報が止まっている感じだった。

木下:コメントの通り、一般のニュースで調べた結果の安全性をやらないので、なかなか知る機会がないと思う。WHOが複数回調べて、他のワクチンと比べて特別危険なサインは出ていない。さて、理仁くん、HPVワクチンは男性にも接種すべき、あるいは国によっては男性にも接種しているということは知っていたか?

上田:知らなかった。

木下:では、なぜ男性にもHPVワクチンを接種するのか、江川先生教えてほしい。

江川:まず、HPVワクチンが接種されはじめた最初の頃は、男性に効果があるとわかっていなかったため、知らなくて当然。HPVが男性でどれくらい問題になっているかわかっていなかった。なので、まず女性で子宮頸がんの原因になっているというところから、HPVワクチンの開発が行われた。その後、男性にも効果があることがわかった。どんなに早い国でも2013年まで接種していない。イギリスではこのワクチンがうまくいっているが、2019年になって12歳の男子に射つようになった。知らなくて当然でありこれから知らせていくという状況。子宮頸がんからHPVが見つかってから、ほとんど全ての子宮頸がんでHPVが関連しているとわかった。そこで、科学者達は他のがんではどうなのか遅れて調べたら、たくさん出てきた。肛門がんや陰茎がん、咽頭がん、皮膚がん、特殊な眼瞼結膜のがん、これらのがんの一部でHPVが関連していることがわかった。特にHPV16は、至る所でがんの原因になっている。そこで、男性に対する臨床試験を行ったところ、陰茎と肛門がんの前がん病変を減らすことができるとわかった。これがわかったのが10年前。10年前に男性に対してHPVワクチンを導入しだして、ここ5年くらいでどんどん広がっているのが現状。

木下:理仁くんはがんの研究も興味があるとのことで、江川先生に訊いてみたいことはあるか?

上田:研究者にはどうやったらなれるのか?

江川:大学を卒業し、大学院に入り研究室に入れば研究者にはなれる。しかし、やりたい事と目の前でやることは乖離することがある。私は研究者をやっているが、一緒に共同研究している人には色んな人がいる。色んな肩書の人が一つの目標に向かって取り組んでいるので、夢を実現しようとするときに研究者以外にも色んな道がある。もう一つお伝えしたいのは、私が中学生のときに出会ったドイツのツール・ハウゼン博士の言葉がある。「HPVというのは、感染を続けて何十年もかけてがんを発症する。」持続感染といいます。もし、上田さんが何かを成し遂げたいと思うなら、「HPVのように粘り強く取り組んでほしい。」

上田:研究を行うにはアメリカでないとダメなのか?

江川:そんなことはない。私の共同研究者には、日本人や中国人、アルジェリア人もいる。よく一緒に研究している人はナイジェリア人。

木下:そもそも江川先生はケンブリッジ大学、イギリスの。

江川:各々の場所でやるべきことがたくさんある。宣伝になるが、IPVC(国際パピローマウイルスの学会)のセッションで、HPV研究者になるための100の方法がある。そういうふうに、がんの研究者になるには多くのやり方があるので、目の前にあることをひとつひとつやっていくことが重要。

上田:子宮頸がんがなくなったら研究者はどうなる?

江川:非常に耳が痛い話。ウイルス学者はワクチンができると、病気よりも先に駆逐される。研究が必要なくなるので。HPVがワクチンでコントロールできるとなると、研究の優先度が下がり予算がおりにくくなる。しかし、子宮頸がんの治療や検診は今後50年は研究が続くであろう。

木下:(youtubeコメント「HPVって変異しないんですか?」)コメントでこういうのもきていたので、江川先生教えてほしい。先程、ナチュラルにHPV16がーと言っていたので、そこの説明も含めて。

江川:HPVは今のところ400種類くらい見つかっていて、名前がついているのは226種類くらいとたくさんある。HPVは、型ごと、感染する部位ごとに病原性が違う。このウイルスがいつ出てきたかというと、人類が進化する前から存在する。HPVはDNAウイルスなので進化速度がすごく遅い。ある一種類のHPVについては、ヒトとウサギが一緒の姿をしていた頃に別れたものまである。なので、HPVの変異が問題になるのは、何万年も後の話で、今生きてる人にとっては関係ない。ただ、研究によって新しいHPVが出てくるのではなく、見つかることはある。子宮頸がんの95%は今見つかっているHPVで説明がつくので、新しいHPVが見つかったとしても、残りの5%に関わる話になる。例えば、HPV16型18型を標的にしている二価ワクチンで予防できる重要性は、将来新しいHPVが発見されても変わらないと考えて良い。変異は、我々が生きている時間軸では心配しなくて大丈夫。

木下:吉岡さん、江川先生に何か質問はあるか?

吉岡:私は46歳だが、HPVワクチンは接種できるのか?もう一点、母子手帳に接種すべきワクチンが色々と書かれているが、HPVワクチンもここに書いたほうが良いと思うので、今後そうなるのか?

江川:母子手帳については、以前は書かれていなかったが、今からのやつには書かれているので大丈夫。パートナーを守るためにHPVワクチンを射ちましょうというメッセージについて。伝え方が難しいが、公衆衛生の面では良いとしても、個人個人に当てはめると多くの場合で正しくない。例えば、あるカップルがお互いを守るためにHPVワクチンを接種しようとなった場合、自分が射つことによって相手を守ることにはならない。なぜかというと、既に感染しているHPVについては、HPVワクチンを接種しても相手に感染させてしまうから。お互いにワクチンを射つことは、お互いに自分を守るためになるということ。ワクチンを接種するタイミングが大事で、最初に感染する前に接種すること。男性にもHPVワクチンをといったときにもう一つ大事なことは、HPVワクチンの供給量が足りていないこと。男性より女性のほうがHPVに感染したら負担が10倍重いとされている。優先して女性に接種しないといけない。今でも、女性だけに対して供給不足なのに、男性にというのは公衆衛生の戦略上できないというのがここ数年の話。HPVに感染するリスクのある機会は、新しい性的パートナーを持つ時。なので、新しいパートナーを持つときには感染リスクが高いので、何歳であってもワクチンを受けたら良い。ただ、45歳以上は推奨されない。原理的には何歳でも接種して構わないが、一定の年齢以上になると効果が期待できないため、こういう推奨になっている。45歳までの男女全てにHPVワクチンを接種しようとならないのは、ワクチンの供給が足りないことと、費用対効果の問題から公衆衛生の戦略上、一律には勧められない。キャッチアップ接種の対象の方々は是非接種してほしい。それ以上の年代の方々は、ワクチンで得られる利益が小さいので、まず検診を受けつつ、個人の感染リスクに応じてワクチン接種を検討したら良い。私は吉岡さんと同世代だが、射っていない。10万円という金額はなかなか出せない。今後の感染リスクが小さいのに、必要以上にワクチンを勧めると、今度はワクチンを打てない人が不安になるので、正しく知って正しく射つべき人に。

木下:あとポイントしては、HPVワクチンは母子手帳に載っているようなワクチンと比べてだいぶ後に接種するようになっている。定期の予防接種というのがあって、その中で一番大事なA類疾病と呼ばれるもの。どういうものかというと、接種の費用は公費で負担するので接種してくださいと、自治体からお知らせがくるもの。アメリカでは11~12歳、日本では小学6年から高校1年まで。その年齢の子たちは母子手帳ベースで動いていないので、母子手帳に記録するのは良いが、対象年齢になったときに個別にお知らせが届くものだと理解してもらいたい。

木下:まとめると、HPVワクチンは男性も接種する価値がある。HPVが肛門がん、陰茎がん、中咽頭がんなど男性も罹るがんの原因になっている。それを予防することが大切である。もう一つは、女性だけになる子宮頸がん予防についても、国単位や全世界単位で見ると男性が接種することによって、女性も守られるということ。

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書き起こしここまで

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あとがき(言い訳)
とりあえず前半パートだけ書きました。後半パートは気が向けば。

るんるーん♪