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パンを食べるように本を読む

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「読書は、パンを食べるようなものだからね。走るときに備えての栄養なんだ。」ポール・ランド デザインの授業という本にあった言葉を抜粋し、このマガジンのタイトルとしました。気になる章… もっと読む
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2019年12月の記事一覧

最近読んだデザイン教本3冊から学んだこと

言語化されてないものに頼ると死ぬ「センスでいい感じに」という課題解決ツールは、言語化する手間と引き換えに消費MPが激しく、自分のやるきや愛に左右されるものだ。つまり気の向いたときにしか起動しない課題解決ツールであるということだ。 自分のデザインをレビューするときの筋道となってくれるのがデザイン教本 きくずれ系・こなれ系デザインを作って路頭に迷ったとき、どこから手を付けるべきかわからなくて詰んだということがある。こういうときにセルフレビュー、つまり言語化が必要になる。言語化さ

ラフドローイングのコツ / シャルル・バルグのドローイングコース

19世紀にフランスで出版された画家シャルル・バルグの著したドローイングの入門書。プロのアカデミックドローイングアーティストとなるために必要なドローイングテクニックが記されている。 知りたいこと:ラフドローイングのコツをしりたい 答え:点や線を使って骨格にアタリを付ける前に、私達は弧を描きがちである。重要なのは対象をよく観察することだが、その観察がなされているかどうかは、弧を描く前に垂線をおろし、点をとってアタリをつけているかどうかで判断できるとのことであった。 ドローイ

リズム曲線のない絵の残念さ / 古典に学ぶ人物デッサン

どんなデジタルイラストレーションであっても、うまく・よく描くには、技法をわざわざ自分の体と頭に焼き付ける必要があるのだ。この現実を受け入れながら、私は空き時間を見つけてはせっせと練習を行っている。 自分がペンツールで作ったイラストがなんだか変!に見えるのは、リズム曲線を意識していないからかもしれないIllustratorの話でいうと、何も考えずにペンツールで絵を描いたときに「なにか惜しいストローク」が最初にできてしまう。 ざっくりとペンツールを使って描かれたものは、リズム

コンセプトアーティストのための人体ドローイング📖

ラフドローイングを効率よく上達させるためにできることは「失敗しないこと」 「あなたはデジタルアーティストですか?」 これは、ゲームのキャラクターデザインの仕事をする著者が、知人に実際に問いかけられた言葉だ。 そして質問の意図は案の定、耳が痛くなるようなものだった。 「あなたは乱雑な中から何かが生まれるのを期待して、闇雲に手を動かしているだけなので。」 ゲームキャラクターデザイナーとして活躍する著者が、人体ドローイングのテクニック向上に必要なマインドセットや手段を、実例

MIND HACKS📖 Duolingoを使っているときにしか覚えた単語を思い出せないのは文脈干渉効果?

何かを習得する際、同じことをあまり続けて繰り返し練習すると、「状況込み」で覚えてしまい、状況が変わると思い出せないという弊害が起きる恐れがある。 人はものを覚えるとき、そのものを構成するコンテキスト...何かとともに同時に想起されるさまざまな事柄すべてを覚えようとする。 たとえば、「この単語を覚えたい」と思って暗記アプリに登録し、覚えたにも関わらず、実際に使おうとしたらその覚えた単語が出てこない。 という事象はこの本で言うところの文脈干渉効果によるものなのではないかと推

クリエイティブ・マインドセット📖自尊心を傷つけずに他人からフィードバックをもらえる定型文

アメリカの会社を経営する二人の兄弟が提案する、創造的なチームを作るためのマインドセットとアクションリストがこの本に書かれている。これから紹介するアイデアは、以前参加したUXMilkFestのワークショップでも取り入れられていたものだ。 Q. 自尊心や自己防衛の感情に振り回されることなく、貴重な教訓が潜んでいるかもしれないメッセージに耳を傾けるのは大変。この問題を解決するいいアイデアは? I like / I wish定型文を使って、建設的な批評をもらいやすくする私達は誰で

命を奪うためのファッションデザイン / 軍装・服飾史 カラー図鑑

軍服のデザインに込められた生きる知恵戦争は嫌いだ。しかし、命を守るなど、強い目的意識をもった衣服には興味を持たざるを得ない。配色や装飾など、文化的側面を持つものにはいつだって生きる知恵が備わっており、強い個性を持つブランドを目にしたとき、文化や言語的背景を知りたいという気持ちに駆られる。 この本では、そういった命を守る・命を奪う 強い目的意識を持った衣服が美しいビジュアルで表現され、歴史的経緯についてもざっくりと触れてくれている。 なるほどと唸った衣服の創意工夫 5つ-

持っているだけでアガる / 配色スタイルハンドブック

その配色をどう実践に使っていいのかわからないから、配色本を開く機会がめっきりなくなっていった 配色サンプルのたくさん掲載された本、カラーパレットを作るオンラインジェネレータは何かのタイミングにつけて目にすることがあるのに、全く使わないタイプ。というのも、目の前にある最適とされるカラーパレットを、どうやって目の前の課題に反映すべきかが全く想像できない程度には、自分の得意とする配色レパートリーが少ないのである。 この本のいいところは、配色事例が限りなく自分好みなこと。ファッショ