見出し画像

被災の記憶 こんな時だから「声をかけよう」

今にも飛んでいきそうな大きなテレビのモニターを押さえ、揺れに耐えつつ家族に声をかかえる年配の男性。
「大丈夫か!ガラスから離れて!」
ご家族は、布団をかぶって震えている。
元旦におきた地震の様子を伝えるニュースで流れてきた映像です。

平成7年1月17日5時46分。
私も、同じような体験をしていた。
母は、起きて仕事へ出かける準備をしていた。
私は、まだ寝ていたところへ襲ってきた大地震。
母は、ストーブを消し、ドアを開けた。
私は、悲鳴と共に倒れてきたタンスをはねのけた。
とにかくお互いの生存を確認しながら、外に出ないと!と。
古いマンションの4階。
1階は潰れ、建物は傾いていた。
階段に出ると、もうもうと立ち上る土煙で、火災が起きているかと思った。
玄関にあったブーツを左右逆に履いて、震える足取りで外へ。
マンションは全壊。
2階の窓から脱出した。

大丈夫!?
気をつけて!
とにかく出るよ!!!
何も持たなくていいから!

命を守るために、必死で声をかけあった。

この度の地震で撮影されたご家族も、また被災された他の方々も、そうやって必死に声をかけあっていらしたと思う。
あの時の私も、家族だけじゃない、ご近所の方、出会った方、とにかく声をかけあった。

何か行動しなければならない時。
何より大切なのは、「声をかけること」
1日の地震のとき、NHKでは、アナウンサーの方が大きな声をずっと張りあげて声をかけていた。
「逃げてください!とにかく、高台へ、ビルの高いところへ!」
「テレビを見ていないで逃げてください!」


不安な年明けだから

2024年の年明け。
日本中の人が、新たな目標をたて、新しいチャレンジにワクワクしたり、今年1年の家族の成長を願ったり、清らかな気持ちでスタートされたと思います。
私も、一人で海へ初日の出を見にいき、新しい1年の始まりに心躍らせていました。
ところが、夕刻に地震を感じたと同時に、日本海側では大変な時代に。
大津波警報、警報、注意報が、ぐるりと日本列島の半分を囲んでいる。
あのような図は、見た事がなかった。
そして、大火事がおこり、家屋が倒壊し、次々に報告される被害。。。
さらに2日。
被災地に物資を届けるはずだった海上保安庁の航空機と、日本航空機が衝突するという大惨事が。。。。
年が明けてまだ2日。
次から次へと日本を襲う試練に、「あけましておめでとう」の言葉すら憚られる状況になってしまいました。

身近な人に声をかけよう

年が明けたとき、高校2年生の娘に今年の目標を聞きました。
彼女の答えは、「ポジティブに生きること」。
受験生となる今年、それだけでいいの?なんて不安になりましたが、家の中がワサワサしている今日この頃、娘のその気持ちに救われることもあるなと。
そんな彼女も、元旦からの出来事をずっとスマホで情報を追いかけていて、ネガティブな気持ちも芽生えているよう。
さりげなく私自身の被災体験と、色々準備の大切さも伝えつつ、気持ちが前向きになれる言葉がけを続けています。

大人だって、高校生だって不安になる。
そんな大人の不安を察知して、子供たちも不安になるはず。
いつも以上に小さなことでも「声をかける」ことをしていきたいですね。
子供はもちろん、大人も、年配の方も。。。

「大丈夫だよ。」
「気をつけてね。」
「待ってるよ。」
「無理しないで。」
「いつもありがとう。」
「今日も元気かな?」
「愛してるよ。」
声をかけて初めて、人と人は想いを通じ合わせることができる。
「声かけ」は、声を発する行為だけでなく
お相手を見ていること
様子を感じ取ること
思いやりと想像力をもつこと
の先に生まれるのだと思います。

不安が多い年始となりましたが、まずは、身近な人を「見て、感じて、声をかける」ことをしなければと。

身近なひとと 近所のひとと

神戸で被災した私も、今は、神奈川県の葉山に住んでいます。
奇しくも、津波の備えをしなければならない海の近く。
でも、山があり、海があるこの環境が好きで、やっとたどり着いた大好きな場所です。
今回のことで、改めて、身近な人と共にご近所の方への「声かけ」も大切だなと思いました。
都会暮らし、住宅街やマンション暮らしだと、近所にどのような方が住んでいるかもわからない方も多いかもしれません。
でも、いざ災害となったとき、声をかけるにも、かけてもらうにも、どこに誰が、どのように暮らしているかがわからないと、声をかけられないのです。
日頃から、ご近所のかたと、ご挨拶をしたり、ちょっとした交流をしたりということも、心理的な幸福感と共に、防災の意味もあると思います。

愛あるコミュニケーションを

私がお仕事で伝えていきたいことも、新たな使命を帯びてきたように感じています。
「あいづち」から始まる思いやりのコミュニケーション。

友人と本音で話し合ったり
大きなプロジェクトで助け合ったり
組織の中の1on1を有意義な時間にしたり
コーチやコンサルタントがクライアントの目標をサポートすることも

「その時だけ」の会話で、成立するものではないと。
家族であれ、同僚や部下であれ、クライアントであれ、どれだけお相手のことを思いやっているか、見ているか、日頃から声をかけているか。
それがあってこそ「大切なとき」に意思の疎通ができるのだと思います。

いつも全方位的に、200%の興味を向けることは難しいと思います。
でも、あと一歩
目の前の人を愛と興味を持って見てみる、感じてみる。
そして、あと一歩の勇気で
声をかけてみる。

2024年は、そんなことが、とても大切になっていくるのではないでしょうか。
昨夜は、母を家に呼び、関西にいる姉と甥っ子とZoomで繋いて対話の時間を持ちました。
お友達と出かける娘に、いつも以上に「気をつけてね」の気持ちで送り出しました。
ご近所の方と会ったら、津波の恐れがある時登るべき山はどれかを話してみたいと思います。
そんな小さなことから、愛あるコミュニケーションを広げていけたらと思っています。
愛とか温かさとか、そんな「生ぬるい感じ」こそ、先が見えない時代の足元を照らしてくれるものだと信じて。



1月からはじめる新しい活動です。
今、13名のスタートメンバーが集まりました。
共感くださる方がいらしたら、お声がけください。

1月のZoom体験会をアップしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?