見出し画像

問いと遊びのデザインで組織や個人に「眠っている創造性」を引き出す

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論の授業の第8回(5月31日)レポートをまとめました。

今回は、株式会社ミミグリデザインの安斎勇樹さんにご講演いただきました。

ミミグリデザイン CEO / Founder 安斎勇樹さん
プロフィール

株式会社ミミグリデザイン CEO / Founder
株式会社DONGURI CCO(Chief Cultivating Officer)
東京大学大学院 情報学環 特任助教
1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。研究と実践を架橋させながら、人と組織の創造性を高めるファシリテーションの方法論について研究している。主な著書に『問いのデザイン-創造的対話のファシリテーション』(共著・学芸出版社)『ワークショップデザイン論-創ることで学ぶ』(共著・慶応義塾大学出版会)『協創の場のデザイン-ワークショップで企業と地域が変わる』(藝術学舎)がある。

ミミグリデザインの3つの提供価値

スクリーンショット 2021-05-31 18.24.58

「創る」「研ぐ」「語り継ぐ」を提供価値とし、新しいオフィス家具の開発や飲料メーカーとのチューハイの共同開発等のプロダクト開発から、老舗企業のCI・ビジョンを社員に浸透させるプロジェクトといった組織開発まで幅広いジャンルのプロジェクトを手掛けていらっしゃいます。

活動の動機は組織や個人に「眠っている創造性」を活かすこと

安斎さんが視野の外側に出る経験の良さを感じていたときにワークショップと出会い、様々なワークショップ作りに携わり始めます。

実際に作っていたワークショップの一例として、実写漫画を作る漫画ごっこワークショップがあります。

スクリーンショット 2021-05-31 18.37.16

作ってみると、漫画には「漫画を漫画たらしめるもの」があり、何気ない発言であっても大げさにポーズを取ったり、漫画特有の言い回しをしたりすることで漫画らしくなると気付かれました。

これを通じて、ワークショップで固定観念や目の垢を取っていき新しいものの見方に出会えると感じられました。

このような経験があった上で、安斎さんが「眠っている創造性」を引き出す力にさらに興味を持ったきっかけはワークショップでの吃音の少年との出会いでした。

その少年は始めは上手く話せませんでしたが、自分が知っているローカルな遊びの紹介のタイミングになると他の子供たちが興味津津になって、堰を切ったように急に話せるようになったのです。

このことから、「ちょっとしたきっかけで眠っていたポテンシャルが引き出される」事を感じられました。ポテンシャルが引き出され、急に覚醒した事に触発され、ワークショップの持つ力に興味を持たれたのです。

修論研究ではワークショップのプログラムデザインに注目 -問いを変えるとアウトプットが変わる-

スクリーンショット 2021-05-31 18.46.07

課題の制約のかけ方によってグループワークの成否が決まるといっても過言ではないのでは?という仮説のもと「未来のカフェをデザインする」ワークショップを実施しました。

スクリーンショット 2021-05-31 18.48.06

同じ「未来のカフェをデザインする」ワークショップを通常条件「居心地が良いカフェとは?」と矛盾条件「危険だけど居心地が良いカフェとは?」の条件で実施した所、後者のグループの方がアイデアの連鎖が起こっていました。問いを変えるだけでアウトプットに大きな影響があったのです。(足湯カフェ、無音カフェ等のアイデアが出ました。)

問いのデザイン

安斎さんの「問いのデザイン」はワークショップデザイン以前に始まっていました。

カーアクセサリーを作っている部署からの依頼
「AIを活用した未来のカーナビとは?」を問い直す

安斎さんはその部署の「AIを活用した未来のカーナビとは?」をテーマとする会議のファシリテーションを通じ、「カーナビ」という視点の中での話になってしまっていると感じられました。そこで「何のために作っているのか」と質問し、「未来の移動の時間をデザインしたい」という問いが生まれ、そこから次々にアイデアが生まれるようになりました。

「問いのコンビネーション」
老舗メーカーの100周年に向けたボトムアップ型ブランディングの事例

そのメーカーでは、創りたいと思ってデザイナーになるが、いつの間にか創るのが面白くなくなってしまう事が課題でした。
そこで過去の大量のモデルから自分がそのメーカーらしいと感じる製品を各々が3つ選び、共通する感覚をまとめていきました。
そして6000のモデルから100モデルを選び、図鑑のようなものを社内限りの極秘資料としてまとめました。共感覚により「自分ごと」ができるようにしたのです。

問いの主語が社会や会社など、大きくなっていくと「自分ごと」にできなくなっていきます。このバランスを保つことがイノベーションを起こす上で重要になります。

重要なのは組織・社会レベルと個人レベルを交差させる「問いのまなざし」で、ここが問いのコンビネーションの肝になります。

スクリーンショット 2021-05-31 19.01.02

遊びのデザイン

某老舗企業ではビジョン実現のための複数の行動理念があるのものの、現場で従事している職務が違うため、なかなか浸透していませんでした。

当初安斎さんのもとに来た依頼は「浸透してほしい」という相談でした。それに対して「ビジョンを1つ差し替える」という提案をした所、その遊びの面白さによって経営陣も前のめりになってくださりました。
行動理念を一つだけ差し替える議論を通じ、全従業員に対してビジョンについての考えを深める機会を作り、その結果ビジョンの浸透に繋がりました。

感じたこと

「何のために作っているのか」を問い直す

問いが変わるとアウトプットも変わります。頭では分かっていても、実務では様々な業務に忙殺され、問いを言葉通りに解いてしまいそうになるでしょう。忙殺される中でも余白を作り、「何のために作っているのか」を問い直してアウトプットの質を高めていきたいと感じました。

良い問いが生まれるためには?

質疑応答で「良い問いが生まれるためには?」と質問がありました。安斎さんは「自分が立てる問いのパターンを知り、それを封印してみるのはおすすめ。また、他の人の良いパターンを分析し、そのパターンを借りるのは有効。」とおっしゃられました。問いのパターンを分析するという事が私にとって新しい視点であり、成功や失敗をしたときや四半期ごとの活動の振り返りの際に、問いのパターンも一緒に振り返ってみようと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?