柴犬視点ノート「侵入者」
みなさんは「怖いもの」が3つ、すぐ頭の中に浮かぶだろうか?
僕には震えが止まらなくなるほど怖いものが3つある。
・雷の音
・影
・プリンター
の3つである。
うちの御主人は仕事柄、デザインの実寸をとるために家でプリンターとやらを使用することが多い。
画面上でも実寸大で表示できるようになったが、安心感が違うから、だそうだ。
例えばTシャツ1枚作るのに、柄を印刷した紙を適当な大きさに切り、セロテープで無地のTシャツに貼って、それを着てみる。
プリントの大きさを誤ると版を作り直す事になり、それだけで1万円以上も追加料金がかかったりするらしく、なるべく作り直さないように原始的な作業を繰り返して、印刷の大きさを決めたりしている。
御主人にとってプリンターが必要なものであることは一応分かっているつもりだ。
それでもプリンターが動き始めると……
それどころかプリンターが入っているAVボードの棚の扉を開くだけで……
僕の尻尾は下がってしまい、怖くてたまらなくなる。
震え出す僕を見て御主人は「ちょっと待ってねー」と軽々しく言ってくるが、
何を言ってるのかよく分からない。
あいつが動き始めるとすぐさま僕は寝床へ移動して安全を確保し、
あいつの方をじっと見つめ、助けを求める声を出す。
それでも助けてくれない時はパソコンに向かってる御主人のところへ行き、強引に膝の上に上げてもらう。
「画面が見えない」と文句を言われるが、
何を言ってるのかよく分からない。
あいつは、2人しか住んでなかったはずの部屋に突如として現れた「侵入者」だ。
四角い物体がヴィーンヴィーン、シュッシュッと声を出しながら動き、頭部から白い紙を飲み込み、所々を黒く染めて口から吐き出す。
それを御主人が最終的に切り刻んで、張り付けの刑にされる。
だめだ、紙はきっともう助からない。
そんな侵入者が我が家の棚の中に住み着いてしまったのだ。
あいつは全身が真っ黒なので、寝る前に御主人と一緒にHuluで見漁っている「コナン」とかいうアニメに出てくる黒の組織の一員に違いない。
普段はプリンターという名で呼ばれているが、コードネームはおそらく鼻に書いてある「Canon」ってところだろう。
一度、この侵入者・プリンターを何とか黙らせようと、僕はエネルギーパイプ(電源コード)を噛み切ることにトライした。
奥歯でしばらくニャムニャムしていたので、
トドメは刺せなかったが、かなりのダメージを喰らわせたはずだ。
あれは本当にギリギリの戦いだった。
その後、御主人が「プレステの電源が入らない」って言って困っていたけど、
何を言ってるのかよく分からない。
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