R5BY自社米酒二本目 純吟【3期目】
満開の桜の下での入学式や入社式など、いったいいつ以来の事なのでしょうか。雨もあって咲いてる時期は短そうですが、今年は十二分に春らしさを満喫できた気がします。
ちょうど桜が咲き出した頃、弊社では今シーズンのお酒の仕込みが終わる、業界では『甑倒し』なんて言われる時期を迎えることができました。
(お米を蒸すデカい蒸篭みたいなものを甑(こしき)といい、倒す=片付けるということ。お酒造りの大きな節目なので、昔はよくお祝いをしていたようです)
さて今回は、前回つくったお酒とは別に、自分たちで育てたお米でもう一本お酒を造ってみましたことをしたためていこうと思います。
目指す酒質
弊社の長所は、超軟水の仕込み水から醸し出される柔らかな口当たりと軽い質感です(それに少々抗ってみようとして造ったのが生酛なんですが↓)。
今回はそれに準じた、超軟水を体現したようなクリアなお酒を、米を大吟醸並に削ることなく目指してみよう、という考えで造ってみました。
ここでネックになってくるのが醸造過程で発生する酸やアミノ酸で、これらをなるべく出さないような造りをしなければなりません。ということで以下のような造りをいたしました。
精米歩合:60%、
一部掛米を60%原形精米
麹 :高グルコ菌使用の長期製麹
酛 :普通速醸
酵母 :10号
醪 :低温長期発酵
大きな特徴としまして、弊社で初となる原形精米を導入しました。原形精米とは、ざっくり言うとお米の表面を全体的に均等に削る手法で、通常の精米に比べてこちらの方が米の余分なタンパク質を除去できます(デメリットとしては胚芽部が除去しきれないので、使いすぎると酵母への栄養供給過多になり、早く発酵が進んでしまうことがあります)。
お酒造りの様子
できたお酒
全体的に美味しい酒にはなったのですが、醪管理で欲張ってしまい、結果的に搾りの適期を逃してしまいました。つまりアミノ酸が出てしまったので、味にややボリュームがつきました。食事との相性はなかなか良いですが、狙いとズレてしまっただけに個人的には悔しい結果となりました。勉強不足ですね。
総括
これにて稲作3期目の取り組みが終わりました。稲作と醸造共に苦戦した部分が多々ありましたが、お米や生酛の出来など、結果として少しずつ理想には近づけてるのかなと思います。もっとこの地域の魅力を引き出すために、山積みの課題を来期でたくさん消化していきたいです。
おしまい。
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