柴田元幸 『代表質問 16のインタビュー』

★★★★☆

 翻訳者である柴田元幸が小説家を中心に13人の方にインタビューをしています。内容は主に小説や文学についてと、翻訳についてです。イベントでのトークショーの文字起こしと雑誌に掲載されたインタビューがほとんどです。
 僕はソフトカバーで読みましたが、文庫化もされています。

 主な作家は、スチュアート・ダイベック、村上春樹、バリー・ユアグロー、内田樹などです。翻訳家の岸本佐知子へのインタビューは、インタビュアーとインタビュイーが逆転しているような印象を受けました(岸本佐知子が柴田元幸に質問している方が多いんですよね)。

 柴田元幸と交流のある人へのインタビューなので、非常に打ち解けた雰囲気のなか、かなり突っ込んだところまで踏み込んでいます。収録されている作家を知っていればもちろんのこと、知らなくても興味深い話として楽しめます。全編インタビュー形式なので、すらすらと読めます。

 英米文学と翻訳に興味がある方は読んで損はないでしょう。柴田元幸が訳している作家が半数くらいいるので、作家と訳者がどういうやり取りをしているのか垣間見えておもしろいです。
 二言語間の複雑なパズルを解き明かすのが翻訳なのではないかという感想を抱きました。

 こういう気楽に読めて、興味深い本はよいですよね。雑誌感覚というか、5分、10分の空き時間があれば手にとって開けますから。
 この手の本を何冊かストックしておきたいくらいです。
 すぐに読んでしまうので、なかなか溜めておけないのが歯がゆいですが。

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