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サブディレクトリ型サイト構造の考察

2020/03/28 am9:00~03/30 am9:00の間、無料公開の範囲を期間限定で2章まで広げています。

はじめに
2016年8月にAmazon Kindleで上梓した「情報サイトでオーソリティーを目指そう」から3年。おかげさまで同書は多くのブロガー、個人サイト運営者の目に止まり、長年続いたブログ一辺倒の個人サイト運営論に一石を投じたものと自負しています。

また、同時期にブームとなった和田亜希子氏の著書「ミニサイトをつくって儲ける法(通称:ミニサイト本)」を期に、ミニサイトというブログ運営とは違う個人サイトの基軸が定着しました。

2019年現在、更にその考え方は進化し、一つのドメイン内で複数のミニサイトを運営する「サブディレクトリ型」のサイト運営が広がりを見せています。

筆者自身も10年以上に渡り試行錯誤しながら「サブディレクトリ型サイト構造(サイロ構造)」の情報サイト設計に取り組んでおり、一定のノウハウを蓄積しています。

本noteはKindle版「情報サイトでオーソリティーを目指そう」の続編と位置付け、その蓄積したノウハウや考え方を言語化する目的で書きました。

同書の内容を継承しつつ、筆者サイトの実際の運用事例やアクセス解析のデータなども交えて、その運用方法を解説していきます。

本noteの読者は以下のような方を想定しています。

・サブディレクトリ型サイト構造(サイロ構造)の概要について知りたい方
・ミニサイト制作から一歩進んだ情報サイト構築を目指している方
・ミニサイトの量産ではなく足腰の強い柱になるサイトを育てたい方

ハッキリ言ってしまうと、昨日今日ブログを始めたばかりという方には向きません。おそらく読んでもピンとこないでしょう。ある程度のサイト運営経験、具体的にはミニサイト制作に挑戦したことがある方を想定して書きました。

SEOに関する記述は、一般的に正しいと言われているもの、あるいは筆者の経験を通じて実感している手法について触れているのみであり、短期間で上位表示させる施策や大量のアクセスを集めるといった奇策は掲載していません。

また、筆者はサイト構築にWordPressをほとんど使っていないため、このサイト構造をWordPressでどのように再現するかについては掘り下げていません。

そして、最も大事なこと。

マネタイズに関する記述は1行もありません。

本noteは純粋に情報サイトの構造について考察したものであり、そこから先の運用は読者の手腕次第になります。

あらためて自己紹介
申し遅れましたw
a-ki(あき)といいます。

のっけから偉そうに語りましたが、実はWebやIT業界の仕事を生業としているわけではなく、趣味の範囲でWebサイト運営を続けている者です。

著書には、Amazon Kindleにて「情報サイトでオーソリティーを目指そう」、そして早川修(のんくら)氏、石田健介氏、染谷昌利氏との共著で「Google AdSenceマネタイズの教科書[完全版](第5章を担当)」があります。

Amazonに掲載されている著者情報

本業のかたわら2000年頃より趣味のギターをテーマにしたWebサイトの運営を開始。同テーマでは誰もが一度は見る定番的なサイトと認知され、現在に至るまで安定的なアクセス数を維持している。
ブログに片寄り過ぎた個人サイトの運営方法に疑問を感じ、個人の知を後進にアーカイブするための「情報サイトのオーソリティー化」を提唱している。

運営サイト
a-ki's factory : ブルースとアコギと初心者のためのギター講座
ウクレレユーティリティ
a-ki blog

購入後のフォローについて
同テーマについて新しい知見を得た場合、本note公開から1年程度は適宜情報を追加していきたいと思います。

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なお、本noteの内容は、2019年1月より行われている「Google AdSenceマネタイズの教科書フォローアップセミナー(通称:のんくらセミナー)」で筆者が担当した内容と大幅に重複しています。

1000円という価格設定も先の有料セミナーを受けられた方に配慮した結果であります。前回のKindle本でも同じく有料セミナーでの題材を扱ったのですが、390円という値付けが安すぎて損した気分だとセミナー参加者に怒られました(;・∀・)

セミナー内で紹介した事例などは、筆者運営サイトを除き本noteには掲載していません。セミナー参加者のみの特典とお考えください。今後同様のセミナーがあった場合も更に豊富な事例を追加する予定です。本noteをご購入頂いた場合も安心して受講していただければと思います。

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では、始めましょう。


第1章 サブディレクトリ型サイト構造(サイロ構造)とは

URL構造におけるサブディレクトリとはドメイン下のディレクトリ、hoge.com/aaa/ や hoge.com/bbb/ の /aaa/ や /bbb/ の部分のことを指します。

本noteでいう「サブディレクトリ型サイト構造」とは、一つのドメイン下に複数のサブディレクトリを切り、それぞれにミニサイトとして独立した(ように見える)ひとかたまりのコンテンツを設置していくスタイルを指しています。

まず最初におことわりしないといけないのですが、この「サブディレクトリ型サイト構造」という言葉はほぼ造語であり公式な定義はありません。

海外のSEO情報サイトを見ていると、このようなWebサイト構造はサイロ構造(Silo Structure あるいは Silo Architecture)と呼ばれることが多いようです。

※サイロ(Silo)とは大規模農場などで見られる円筒状の穀物や家畜の資料の貯蔵庫。気密性が高い構造から転じて排他的な組織構造の比喩表現として用いられる。

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サイロ構造において、そのひとかたまりになったコンテンツ(サブディレクトリに分けられたコンテンツ)は特に「コンテンツサイロ」と呼ばれます。

SEOの文脈で語られるサイロ構造では内部リンクの考え方が厳格です。
本noteでは「サブディレクトリ型」「サイロ構造」という用語を併用しますが、SEO上の厳密な運用ではなく実情に合わせてややファジーな部分を残しています。現状では他に適切な用語が見当たらないためこのようになっていることをあらかじめご了承ください。

このような構造を持つWebサイトはユーザーが素早く必要な情報にたどり着けたり、検索エンジンにサイトの構造を伝えやすくなったりと様々なメリットがあります。ただし、表面的に真似をしているだけではそのポテンシャルを十分に引き出すことはできません。その長所短所をよく理解して運用することが求められます。

まずは、サブディレクトリ型のサイト構造が注目されるに至った過程からおさらいしていきましょう。

1-1.ミニサイトの登場と個人サイトの変遷

サブディレクトリ型のサイト構造を語る上で「ミニサイト」の存在は外せません。

「ミニサイト」という言葉が自然発生的に生まれたのは、筆者の知る限り2006年前後であったと記憶しています。ブログ以前からあった、いわゆる個人のホームページを表現する文脈で一部のブロガー、アフィリエイターの間で使われるようになったのが最初でしょう。

一般のブロガーの間で認知されるようになったのは、2016年に出版された和田亜希子氏の著書「ミニサイトをつくって儲ける法(通称:ミニサイト本)」がきっかけです。それまでブログ一辺倒であった個人サイトの運営形態は本書を期に新たな選択肢を得ることになりました。

新しい選択肢といっても和田氏自身がイメージしていたミニサイトはブログ以前のいわゆる「個人運営のホームページ」の進化形でした。しかしその時代を知らない多くのサイト運営者にとって、ミニサイト本の中で語られた「小規模かつ更新が不要で、一度完成すると長くコンテンツの価値が下がらない」サイト形態は新鮮であり、ブログに対立する基軸としてその地位を確立しました。

特に個人ブロガーの間ではメインで運営するパーソナルブログからまとまった記事数のあるカテゴリ、あるいは反応の良い記事をスピンアウトさせ、新たなドメインでミニサイトを立ち上げる方法が現在もミニサイト運営の定番手法となっています。

1-2.ミニサイト運営の問題点

ニッチなテーマで情報を深堀りするミニサイトは、競合の弱い分野でシェアを取ることを第一の目標にします。これはいわゆるランチェスター戦略(弱者の戦略)の応用であり、小さなサイトであってもユーザーの支持を得やすいという利点があります。

手頃なサイズ感で完成形がある形態のため、ブログの運営と並行し、テーマを分散しながらサイトを量産することも可能となりました。

一方、外部サイトにスピンアウトさせると、ミニサイトの数だけドメインが必要になり、一からドメインを育てなければなりません。成果を得るまでの期間が長くなり、場合によっては成果を得られるかも定かでないという不安要素があります。

また、規模が小さいままのミニサイトは強い競合が現れたときの競争力が乏しく、長期間安定的にアクセスを集め続けることは現実問題として難しいでしょう。

1-3.カテゴリのミニサイト化

そこでやや異なる方向性として、雑記ブログのカテゴリを再構築しミニサイト風に見せる「カテゴリのミニサイト化」という手法が登場しました。

この手法はすでにあるブログのドメインパワーや集客力を継承することで比較的早く成果を得ることがで来ます。

途切れがちなブログ内の動線が整理されるため回遊率が上がり、ユーザーにとっても、運営者にとってもメリットの多い一歩進んだブログ運営法として進化します。

ただしミニサイト化すると言っても、あくまでブログの中の1カテゴリであるため、メインブログを超えて大きく育つことはありません。

また幸いにしてミニサイト化したカテゴリが好評であった場合も、すでにある他の記事が足を引っ張る場合があります。新たに外部サイトとして独立させるべきか、ブログそのものをミニサイト化したカテゴリのテーマに寄せるべきかなど、施策が成功すればするほど方向性に悩む場面が増えます。

1-4.サブディレクトリ型情報サイト

「サブディレクトリ型」と言われる運営手法はこの「カテゴリのミニサイト化」の延長線上にあります。

「カテゴリのミニサイト化」との違いは
 ・雑記ではなくドメイン単位でメイントピック(共通の大テーマ)をもたせる
 ・コンテンツサイロごとのURL構造やUIを独立させる
 ・ミニサイト化したコンテンツの集合体としてサイトを構築する

といったあたりにあるでしょう。

ドメイン単位でサイトテーマを共通化させ、「ユーザー属性」や「コンテンツの機能」といった切り口に合わせて最適化したミニサイトをサブディレクトリに設置します。それぞれのコンテンツの特性を活かしながら総合力でサイト全体を育てていくという運営手法です。

いわゆる雑記ブログをサブディレクトリ型情報サイトに移行することは難しいですが、本腰をいれて情報サイトを育てていくとき、合理的で有望な選択肢であると考えられます。

1-5.情報サイトとサブディレクトリ型サイト構造の親和性

本noteでいう「情報サイト」は、属人的に書き手を主役にしたものではなく、情報そのものが主役となるサイトを指します。

受動的に情報を取得するユーザーのみならず、能動的に情報を探しているユーザーに対して満足してもらうことができるテーマ特化サイトの構築が目標です。

専門性が高く詳細な記事を多数持つテーマ特化ブログであっても、いざとなるとなかなか欲しい情報が見つからなかったという経験は誰しもあるでしょう。むしろ記事数が多いほどファインダビリティ(サイト内での情報の見つけやすさ)は下がる傾向があります。

ブログという形態だけではその構造上、受動的なユーザーは満足させられても能動的に情報を探すユーザーを満足させるのは難しいのです。

サブディレクトリ型ではユーザーの目的に応じてコンテンツサイロを複数設置するため、様々な切り口で多面的に情報を表現することができます。そして、一つ一つのコンテンツは目的に応じて形態が最適化されるので、ユーザーに高い満足を与えることができるのです。

またコンテンツサイロはそれぞれ独立してコンポーネント化しているため、時勢の変化で新たな切り口が必要になった場合も追加がしやすく、必要のなくなったコンテンツサイロの切り離しも比較的容易です。

サブディレクトリ型構造は「情報サイト」にこそ適した運営形態と言えるでしょう。

第2章 情報サイトで利用しやすいコンテンツの形態

サブディレクトリ型サイト構造のメリットを十分に引き出すためには、各々のサブディレクトリに入れるコンテンツの形態にどのような特長が有るのかを知っておかなければいけません。

まずは情報の性質とコンテンツの構造から、情報サイトと相性の良いコンテンツの形態とその長所短所を把握しておきましょう。

2-1.ブログ型から派生する形態

ブログ型コンテンツとは、ページ単位でコンテンツが独立・完結し、任意にページの追加が可能、あるいはページの追加更新を前提としたコンテンツを指します。

ページ同士の論理的な結びつきは弱いため、ページ単位の追加のみならずページ単位の削除も比較的自由にできるのが特長です。

ブログ型コンテンツは扱う情報の性格により「ニュース型」「コラム型」の2つのタイプに分けることができます。

■ ニュース型
ニュース型コンテンツは「フロー情報×ブログ型」のコンテンツです。
「フロー情報」とは一過性の情報、時間が経つに連れ価値を失う情報を指します。

そもそもブログには時系列に情報を整理する特長があります。
新しい情報ほど露出が増える構造であるため、ニュースやトレンド情報などのフロー情報を扱うのが得意です。

ニュース型のコンテンツは文字通り旬な情報を随時提供し、情報に対して受動的なユーザーの再訪問を促したり、検索経由以外の新規ユーザーを獲得したりする役割があります。競合に先駆けてタイミングよく記事を公開できれれば、バズを誘発し多くのアクセスを集めることも可能です。

しかし一般にコンテンツの寿命は短く、定期的にコンテンツを追加していかなければサイト自体の価値が毀損されるおそれがあります。

長期的な目線で運営するにはなかなか覚悟がいりますが、新規ユーザーを獲得していく上で上手に利用したいコンテンツ形態です。

■コラム型
コラム型は「ストック情報×ブログ型」のコンテンツです。

「ストック情報」とはすでに情報の価値が確定的であり、時間の経過に影響を受けにくい情報を指します。

「資産記事」と表現されることがあるように、ストック情報のみを扱ったページは比較的長期間価値を失いません。ある程度網羅的に記事を用意すればミニサイト的に放置することも可能になります。

コラム型の典型的な制作方法は、あらかじめキーワードサジェストなどを使って書くべき記事をピックアップし、カテゴリも記事のグルーピングが元になるといったように「まず記事ありき」でスタートします。

ブロガーの方が「初めてミニサイトを作りました」という場合、ほとんどがこのコラム型になっています。

それらを見ますと一見ミニサイト的ではありますが、記事を起点にスタートして記事単位でコンテンツが完結しています。したがって出来上がったサイトにはやはりブログ的な長所短所が色濃く残ります。

コラム型はSNS集客より検索エンジンからの流入を目的とすることが多く、SEO的には複合クエリでピンポイントに上位表示を目指しやすい、言わば「一本釣りのSEO」に向いているのが特長です。丁寧なページ作りを心がけることで検索流入が増え、一定のレベルまではページ数の増加に比例してアクセス数も増える傾向があります。

ページを自由に追加更新できる反面、サイト内での情報整理は難しく、ページ数が増えれば増えるほどファインダビリティ(サイト内での情報の見つけやすさ)が下がる傾向があります。そのためトップページがマーキングされにくく、回遊率(ページ/セッション)や再訪問率を上げにくいのが欠点です。(※ここでいうマーキングはブラウザのブックマークに限らずSNSでのシェアと言う意味も含みます。)

2-2.完結型から派生する形態

完結型コンテンツとは、あらかじめ完成形を想定して計画的につくられるコンテンツを指します。

完成形があるため極端に賞味期限の短いトレンド情報を扱うのは難しく、基本的にはストック型に向いたコンテンツと言えます。

完結型はその構造から「論文・講座型」「辞書・カタログ型」に分けることができます。

■ 論文・講座型

論文・講座型は情報を論理体系的に整理し順序立てて解説するコンテンツです。ユーザーがまとまった知識を得る、あるいは何らかの技術を習得するために訪れることを前提とします。

コラム型のサイト設計が記事先行、記事ありきで考えるのに対して、論文・講座型のサイト設計は「ユーザーがサイトを通して何を得られるか」という目的をまず設定します。

その目的を達成するための課題を明確にして、更にどのような記事をどのような順番で読ませるかというところまで落とし込みます。

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場合によっては、検索需要が全く無いようなページであっても、論理的に必要であれば用意しなければいけないということも起こりえます

体系的に記事が整理される事によって、読み手はサイト内での情報の位置関係が把握しやすく、必要な情報が探しやすい形態になります。また一度ですべて読みきれない(習得できない)場合、スタートページとしてトップページがマーキングされやすくなり、回遊率(ページ/セッション)や再訪問率が上がりやすい傾向があります。

筆者サイトの事例

論文・講座型コンテンツの良し悪しはトップページを見るとだいたいの推測が付きます。
 ・コンテンツの規模感がわかる
 ・求める情報があるかどうかわかる
 ・情報がありそうな場合どこにあるかわかる

要するにトップページが目次としての役割をきちんと果たしているかどうかがポイントです。

簡単なことのようですが、これは論理的な構造や読む順序まで考えられ、体系的に整理された上で初めて実現できることなのです。一般的なブログが、たとえ完結型「風」のナビゲーショナルなトップページを装っていても、なかなか上記のような条件を満たすことはできません。

欠点としては、ページ同士に前後関係があったり補完的な関係があったりするので、コンテンツの完成後に思いつきで新しいページを差し込むことが難しくなることでしょう。

全体のバランスが崩れるとコンテンツ全体の価値に悪い影響を与える場合があります。そのため、このタイプのコンテンツだけでは新しい情報への対応は後手に回ってしまいます。

また全体設計をきちんとしないといけないため、作成までの準備に時間がかかります。いい加減な設計で作り始めると製作途中で破綻してしまうということも珍しくありません。

■ 辞書・カタログ型
辞書カタログ型では完結型に加えてツール型の要素が強く加わってきます。
調べものをするときに辞書的に使われることを前提とした簡易なデータベース型のサイトと考えるといいでしょう。

辞書・カタログ型における「コンテンツの価値」は一つ一つの記事の優劣というよりも、サイト全体の「ユーザビリティ(使い勝手)」の良さで評価される傾向があります。またSEO的にはロングテールキーワードを広く浅く拾いやすいという特徴があります。

筆者サイトの事例

まずはユーザビリティを高めるためのポイントを見てみましょう

・情報の網羅性(MECE)を高める
扱うテーマに対して、漏れなく重複なくデータを網羅する必要があります。テーマを広く取って50%しか網羅できないのであれば、テーマを絞って100%を目指したほうがユーザーの評価が上がり易くなります。

・求められる答えへ複数の経路を用意する
最終的にたどり着く答えは一つであったとしても、ユーザーの質問の仕方は様々です。場合によってはユーザー自身がどう質問していいのかさえわからない場合もあります。

答えへたどり着くための経路が1つしかないようでは、サイト設計として不親切です。予想できる経路はあらかじめ複数用意しておいた方が良いでしょう。

目次と索引のようにカテゴリとタグを上手に使い分けるだけでも優秀なナビゲーションになります。

・ページあたりの情報の粒度をそろえる
簡単なことのようでとても大事な考え方です。

例えば「こちらのページは1万文字、こちらのページは300文字」というように情報の量や情報の質が凸凹な状態ではユーザーは安心して調べものができません。

ユーザーは「このページにこれくらいの情報があるなら、こちらのページもこれくらいの情報があるだろう」というふうに予想しながらサイトを見ています。どのページを開いても一定の情報量と質が担保されていることで、ユーザーは情報サイトを信頼できるようになるのです。

あるべきものがあるべき場所に、予想通りの結果を返すことが情報サイトの信頼を構築する第一歩になります。

・急ぐ情報を優先して並べる
例えばレストランのガイドを利用していたとします。
調べたいのは電話番号だけなのに、数千文字の本文を読まないとどこに電話番号があるかわからない、ということでは困ります。

基本的な情報、例えばレストランなら、場所、地図、電話番号、定休日、営業時間など誰もが必要と予想される情報はまとめてわかり易い場所に(できればページの上部に)置くと利便性が高まります。

・スプレッドシートで設計する
ブログの得意な方には、カタログ型のサイト設計が苦手という方が多いようです。

これはなぜかといいますと、一つのテーマを与えられたときブロガーの方は切り口を変えて、切り口ごとに記事書く習慣があるからでしょう。

例えば「京都」がテーマの場合「花見の名所」「紅葉のきれいなお寺」「京都のお土産」のように個々に記事企画を考えます。

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ですが、カタログ型の設計では、逆に切り口をそろえて定型化した個別ページを作る必要があります。

よくミニサイトのサイト設計はマインドマップを使いましょう、と言われますが、カタログ型ではスプレッドシートで設計することをおすすめします。

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縦にページ、横に見出しという形でスプレッドシートに情報を整理してから作ると、漏れ抜け落ちがなく、情報の粒度のそろったコンテンツを作ることができます。

また、例えば縦軸でまとめて地区別にカテゴリを作ったり、拝観料の列に着目して「拝観料無料のお寺」という風にまとめ記事を作ったりと体系的に複数経路のナビゲーションが設計しやすくなります。

※2019/09/28追記
Googleスプレッドシートを使ってカタログ型コンテンツを簡単につくれる「Glide( https://www.glideapps.com/ )」というサービスがあります。
自サイトに埋め込みなどはできませんが、使ってみるとスプレッドシートに整理されたデータがどのようにコンテンツの体をなすのか体感できます。

参考:簡単過ぎる!GoogleスプレッドシートからPWAアプリを開発できる「Glide」を使ってみた! - paiza開発日誌

・辞書・カタログ型コンテンツのSEO
次に辞書・カタログ型コンテンツのSEOについて見てみましょう。

SEO的な観点で見ますと、いきなり狙ったクエリ、狙った記事で検索上位をとりに行くというタイプではありません。 

コラム型コンテンツは「一本釣りのSEO」と表現しましたが、辞書・カタログ型コンテンツは「投網のSEO」と考えるとイメージしやすいと思います。

競合の多いビッグキーワードを狙って上げるのは難しいですが、2語3語の複合キーワードが意図せず大量に上位表示されることは珍しくありません。

もちろん最初に上がってくるキーワードは検索ボリュームの小さいものばかりですが、その結果をヒントにページの見出しを調節したり、対象を広げたりしてアクセスアップを図ります。網目を細かくして取りこぼしを減らしたり、投網そのものを大きくするようなイメージですね。

このように辞書カタログ型はブログとはちょっと発想の違う作り方、SEOもブログとはちょっと発想が違うものになります。

2-3.その他の形態

Webサイトのコンテンツはテキストベースのコンテンツばかりでは有りません。またテキストベースであっても運営者側が用意するものばかりでは有りません

■ Webツール型
ここでいうWebツール型は何らかの目的のためにユーザーが「使う」コンテンツを指しています。「読み物」ではなく「使うもの」です。計算機や診断ツールなどが典型でしょう。

ブロガーの方とお話すると、あまりにもライティングに目が向きすぎていて「サイトを使う」という発想が乏しいように思うことがあります。

Webサイトのコンテンツは「読み物」ばかりを指すのでは有りません。「コンテンツを使う」という視点を身につけるとサイト運営の可能性は一気に広がります。前述した「辞書・カタログ型」も「使うコンテンツ」という発想があってこそ既存のブログと差別化できるのです。

Webツールをつくるというとプログラミングの知識が不可欠のように思われがちですが、必ずしもそういうことは有りません。(もちろん有るに越したことは無いですが)

プログラミングが不要で誰でも作りやすいものにダウンロードコンテンツがあります。

古くからあるものでは、年賀状のテンプレートや干支のイラストなどの配布サイトがあります。サイト制作用の素材配布なども20年以上前から存在しますが、今もって「いらすとや」や「ぱくたそ」などのヒットサイトが生まれ続けています。

筆者自身が運営しているものでは楽譜用紙(白譜)やギターコード表といった印刷用PDFの配布コンテンツがあります。

1ページあたりの文字数は100~150字程度、全20ページ程度の小さなコンテンツですが、月間約3万PV、直帰率54%といった優秀な数字を出しています。しかも検索流入の平均掲載順位4.9位とSEOにも強いコンテンツになっています。

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なぜテキストが少ない状態で検索に強いのか分析しますと、印刷用に限らずダウンロードして使うコンテンツは検索ユーザーの目的がはっきりしています。またダウンロードしたあと、それを使うためにブラウザから離れることで検索に満足したという行動シグナルが得やすいということが考えられます。

昨今の検索アルゴリズムの傾向を見ていると、短期的に順位を上げるだけなら、キーワードやサジェストワードのグルーピングなどテキストの構成に重点を置くことも確かに有効な施策です。しかし順位を維持するためには、ユーザーが満足したことを示す行動シグナルを得続けることがそれ以上に重要になってきています。

わかりやすい行動シグナルを得やすいWebツール型のコンテンツをサイト内に持つことは、SEO上の理由からも必要なことだと考えられます。

Webツール型を企画する上で気をつけなければいけないのは、ただ「使う」だけではなく「繰り返し使ってもらう」工夫を考えることです。

例えばクイズコンテンツの場合、単なる知識を競うだけのクイズであれば一度やってみて終わりになるでしょう。これが「脳トレクイズ」のように繰り返しクイズを解くことで他の目的が達成されるような工夫があればリピーターを生み出すきっかけになります。

上記は2019年6月に公開した筆者サイトのクイズコンテンツです。
クイズの体裁にはなっていますが、繰り返し利用することで徐々に音感が育つというコンセプトになっていて、直近1ヶ月の再訪問率は43%と高い数字が出ています。

ツール型コンテンツの弱点としては、一般にページあたりのテキスト量が少ないため検索クエリが集めにくく、大量のページを用意するデータベース型を除いては初動での集客に苦労することでしょう。

検索ランキングも一旦上がり切ると安定する傾向が強いのですが、そこに至るまで時間がかかりがちです。

これをブレイクスルーするには、まずサイト内の他のコンテンツと連携して内部リンクを集めること、そしてSNSの力を借りて口コミ集客を仕掛けていくのが良いでしょう。

SNSでシェアしてもらう仕掛けとしては、まずシェアボタンの位置を工夫しましょう。

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先のクイズコンテンツでは結果が出た直後にシェアボタンが目に入るようにして、高得点が出たときシェアしてもらいやすいよう工夫しています。

サイト外でコンテンツが利用される仕組みを考えることも有効です。

例えば辞書コンテンツではスニペットをOGP画像に書いてしまいSNS上の会話で利用できるようにするという方法があります。

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ウクレレコードブックコンテンツではコード画像そのものをOGP画像にしてシェア=引用という使い方ができるように工夫しています。


■ UGC型
UGC(User Generated Contents)とは、例えば口コミ掲示板のようにユーザー自身が生成するコンテンツを指します。

ブログ以前の個人のホームページでは、それぞれ独自に掲示板を併設するのが当たり前でした。それによってコミュニティが生まれリピーターを獲得する効果があったのです。

現在はブログでもコメント欄を閉じているサイトが多くなりましたが、ユーザーにとっての「居場所」をサイト内に作ることはリピーター獲得のための大きな要因になります。

ただ、ユーザーの手で作られるコンテンツはスパムの温床になったり、行き過ぎた常連ユーザーとのトラブルを生んだりとコントロールが難しい面もあります。是非取り入れたい機能ではありますが課題が多いことも事実でしょう。

第3章 サブディレクトリ型サイト構造の組み立て方

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サブディレクトリ型サイト構造の考察

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a-ki's factory( https://www.aki-f.com )の中の人であり、Google AdSense マネタイズの教科書[完全版]の共著者です。
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