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大企業と中小企業の広報、ここが違う(2)プレスリリースは広告ではない 編

経営のことから製品、サービスのことまで、自社の事業活動について簡潔に情報をまとめた報道機関向けの資料「プレスリリース」(または「ニュースリリース」)。メディアリレーションズの重要な手段、基本の基で、まずは書いて配信してメディアの目に触れることが、メディア掲載獲得へのファーストステップです。
と、ここまではみなさんなんとなくわかっていることだと思うのですが。

大企業、もしくは上場企業の広報の常識でリリースを書くと、リリースに関する認識の違いに驚かされます。


1. プレスリリースを広告の一種だと思っている

webメディアの浸透で、リリース配信会社を使って配信されたリリースが、そのままwebメディアに転載されたり、SNSを使って自ら発信するようになり、これまでメディアにしか送らなかった、自社のコーポレートサイトへの掲載しかしなかった情報が不特定多数の一般ユーザーにもダイレクトに届けられるようになりました。ですから、伝統的な広報手法を知らない方にとってはひょっとするとプレスリリース=報道機関向け資料ではなくなり、プレスリリース=プレスリリースという書式の広告なのかもしれません。そういう意識のかたがいらっしゃったら、まずはリリースとは報道機関向け資料であることを丁寧に説明する必要があります。リリースの書き方については、多くのPR会社やPRパーソンが記事にしており、検索すればたくさんヒットする情報ですのでここでは割愛します。

ただ、リリースが配信されて、自社のホームページ、Facebook、Twitterからも発信し、ウェブでそれなりに転載されて、わかるひとだけわかってくれればいい、というゴール設定の方針もあるかと思いますので、それでいいならそこから先、無理する必要はありません。
むしろ、SNSマーケティング向きの製品、サービスもあると思うので、そこはフレキシブルに自社のユーザー分析をしながら重点をどこに置けばいいか見ていけばいいと思います。
さて、紆余曲折、数々の妥協を経て、無事配信!となるわけですが。。。

2.プレスリリースを配信しても誰も記事を書いてくれない

大企業、有名企業の場合、リリースを配信すると、一般紙や有力業界紙からの問い合わせがあります。問い合わせが来なくても記事になります。リリースを書いて、自社で持っているメディアリストの宛先に配信すればそこそこの結果に結びつきます。私は正直、リリースを配信すればゴールみたいな、そんな気分にさえなっていました。

しかし、無名の中小企業は、何もありません。リリース配信会社を使って配信したところで、来るのは広告の提案やwebマーケティング支援会社からの営業ばかりです。業界紙にさえ載りません。これは、中小企業に限らず、広報活動に注力してこなかった大企業にも同じようなことが言えるかと思います。
考えられる原因はいくつかあるのですが、私が考えるのはこの4つです。

A.発信した情報がふさわしいメディアに届いていない

B.記者が自社のことをよく理解していない

C.そもそもそのネタにニュース性がない

D.何がニュースなのか、何が面白いのかがリリースを読んだだけではわかりにくい 

3.パブリシティの重要性

PESOモデル(Paid Media(広告)、Earned Media(パブリシティ)、Shared Media(生活者のSNSやブログ)、そしてOwned Media(企業ウェブサイトや公式SNSアカウント))の最適化という考え方が広報PRの主流になってきている今、パブリシティが該当するアーンドメディアの重要性って何なのだろうと思うのですが、私は「信頼性の高い第三者メディアからの客観的な評価」「その評価を信頼し、価値を認めるステークホルダーの存在」がキーになってくると思います。


自社がターゲットにしている(または将来したい)層が「意識して情報を収集したい」と思っているメディアを選んで、そこへの掲載を狙う。

これはSNSのコミュニケーションがいくら重要度を増して来ても普遍の広報活動だと思っています。  「意識して情報を収集したい」 というのは、「ついで」「たまたま」ではなく「わざわざ」購読料を払って、または有料会員になって読んでいるというひとたちのことをさします。    


「リリースを出しても載らない」のであれば、上にあげた「原因」の

A.発信した情報をふさわしいメディアに届いていない

B.記者が自社のことをよく理解していない

を解決するために、メディアの洗い出しとメディアとのコミュニケーションをやり直してみることが必要です。

メディアの洗い出しとコミュニケーションについては次回に書きます。

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