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抽象化 or 具体化、どちらの脳を使ってますか?

若い頃から私の口癖は、「つまり、〇〇という事だよね?」でした。

すぐにまとめたがるんですよね。
我ながら、なんの会話でも「つまりそれは〇〇だ」と言ってる自分にさすがに気が付き、(何、まとめに掛かってんだよ!)と自分で自分にツッコんでたこともありました。

こういう、すぐにまとめたがる癖とは、日常生活では結構厄介なものです。

例えば、大人数での飲み会がすごく苦手。
ガヤガヤとあっちこっちで会話がされている中にいると、途端に話を一つにまとめたくなる。
急に余計なお世話が発動して、さっきまでガヤガヤ話されていたことの中からテーマを引っ張り出し、全員に投げかけたくなる。
「この一つのテーマで会話してみない?」って。

まあこんなことを続けてると、呼ばれなくなりますよね、飲み会に。
こんな自分のことを面白がってくれる人、テーマがあった方が実のある会話ができると言ってくれる人もいるけれど、実感としては嫌がる人も世間には多いんだと感じた。


そんな私が30代になり、起業して会社を経営することになるのだけれど、そうなると案外重宝するようになるんです、この性質が。
社長に対してはあまり「話をまとめてんじゃねえよ」って思う人はいないし、むしろまとめて欲しいという視線も多く感じる。
おかげさまで、生きやすい環境ではあります。


それにしても、この「つまり、〇〇という事だよね?」とは一体なんなのでしょうか。
よく考えてみると、それは物事の抽象化を行なっているということだと思います。
なぜだかわからないけれど、私の中では、自然と抽象化することが癖になっていたんですね。


抽象化とは、辞書で調べるとこのようにあります。

抽象化
対象から注目すべき要素を重点的に抜き出して他は捨て去る方法。


本質を捉えて抽出し、他は捨てちゃうのだから、細かいことを気にするタイプの人にとってはなかなか難しい思考法だと思います。

抽象化するには、どこかドライで、大胆さも必要。
となると、抽象化することで切り捨てられる細部も出てくる。
なので、性格的に抽象化が苦手な人もいるだろう事は、よく理解できます。
飲み会で私のようなタイプを鬱陶しく思う人たちがいることも…。


私は若い頃からずっとクリエイターという仕事をしてきましたが、今のように会社経営ではなく、フリーランスのディレクターとして仕事をしていた時は、このなんでも抽象化する性質が意外と邪魔になることが多かったのです。

なんでなのかな、と考えてみると、世の中で考えられているいわゆる「クリエイター」という仕事は、手を動かして、表現を生み出していく仕事。
つまり抽象的なものを具体化していく仕事なんですよね。
それはそれで楽しかったけれど、私の根本的な性質にはあまり合っていなかったのかもしれない。

それよりもむしろ、フリーランスの事業を会社にして、クリエイティブな業務範囲を全体に広げていった時に、自分の本当の能力の活躍場所が見えてきた気がします。

それは、クリエイターとして「テーマを捉える」こと。
クライアントの中に眠っているテーマ、とある企画の種の中に眠っているテーマ。
それを見つけて引き出し、言語化して「つまり、〇〇という事だよね?」というのは、抽象化の脳がなければ出来ないことです。

なのでクリエイターの頭の使い方として言えることは、この「今自分がやるべきなのは抽象化か?具体化か?」というところをきっちり見極め、違う脳を使っていく、ということなんだと思います。


そのためにはクリエイターという職業を、日頃からとても広く捉えておく視点も必要。

「クリエイター=表現する仕事」という頭が固まっている人は、案外具体化の脳に偏っていることが多い。
しかも具体化に特化していくと、自分の中で気に入った表現ばかりを追求してしまって、それを作家性と勘違いしてしまうことにも繋がる。

日頃から私はなんども口を酸っぱくして言っているのですが、クリエイターにおいて作家性よりもまず必要なのは、それを届ける相手の心をキャッチできるコミュニケーション能力です。
これがないと何も始まらないのが、クリエイティブな仕事というものです。

なので、仕事を依頼してくれた人、表現を届けたい相手に、どんなテーマを伝えたいのか。
このテーマを正確にキャッチして言葉にするために、抽象化の脳というのは必ず必要になってきます。

そして当然、アイディアを他人に伝えるには具体化の脳も必要。
この具体化にもコツというものがあります。それは、誰にでもわかりやすい例えや言葉に一度変換するということです。

私の場合、そのツールは男女関係や食べ物、お笑いの話が多い。
なぜなら、そういう具体化は聞く人の食いつきがよく、イマジネーションを膨らませやすいからです。
自分なりのわかりやすい具体化の定型ツールを持つ。
これは意外と大事なことです。


そしてもし、抽象化がどうしても苦手でうまくいかない、という人がいたなら、そのコツもここでお伝えしてみたいと思います。

物事から本質をつかみ出し、抽象化していくことのコツというのは、対象への興味と愛をどれだけ持てるか、ということに尽きると思います。
うまく抽象化できていない人は、対象への興味が満たされていない事が意外と多い。
そんな時は、対象をうんと調べることも、打開策の一つになります。

その際にはぜひ意識的に、好きになるための情報を探して欲しい。
対象への興味がない人に限って、嫌いな情報を集めがちだったりします。
嫌いな情報を集めても、対象への愛には育ちません。

対象への興味、そして愛が満たされていけば、必ず「それってつまり、〇〇という事だよね?」という本質的なまとめの言葉が、すんなりと口をついて出てくるようになるはずです。



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映像作家→フリーランスを5年→株式会社SUGOI 設立、今年で10期目 / プロジェクションマッピング、ホログラム etc. 新しい表現の開発やブランディング を仕事に / 経営者かつクリエイターの視点 で愛とアイデアのある発見や体験をコラムを書いていこうと思います。

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SUGOIのみんな
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コメント (3)
秒速で抽象化と答えていました。
抽象的な概念が大好きだったりします。
周囲の人たちが3歩退くのを感じつつも少しだけためらって話します。
ただし、具体化は後回しです。
具体化とは身近な暮らしや生活に即して答えることですね。
抽象化脳の人とは、色んな事すっ飛ばして会話できるのですよね。
コメント嬉しいです、ありがとうございます!
とっても、解り易い説明で、心にググっと来ました✨フォローありがとうございました💛
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