#読書感想: 「セゾン・サンカンシオン」
著:前川ほまれ
依存症を患う人々が暮らすグループホーム。
さまざまな依存症をめぐる家族の物語。
新聞の書籍紹介の記事で知って、面白そうと思って選んだのですが。
いったい私は何を面白そうと思ったのでしょう。
正直、読んでいる最中は辛かった・・・。
多くの人はアルコールや薬物、窃盗行為をしなければ生きていけない人になぞ、共感できません。
意志が弱い。だらしない。そういう特別な人が自業自得でなる病気。
この物語の中でも当事者に家族は圧倒的に冷たい。
お前がだらしないからだろう、許せない・・・。
私はお酒好きなので、アルコールが止められない当事者の描写を見ていると耳が痛い思いです。仕事で嫌なことがあって、「飲んでやる!!」と楽しくない酒を煽ったこともありました。(当然二日酔いです)しかしながら、私の場合、辛さは「憂さ晴らし」と呼べる程度のものでした。私の「嫌なこと」はそんな程度、ということです。
物語の中の依存者たちの生きる辛さは、紛らわせるために摂取するアルコールや薬物の量と、同等です。
つまり、それを読者に納得させられるほど、依存せざるを得ない辛い現実が克明に繊細に描かれている。その丁寧な描写が・・・辛い。
中毒になるほど、それに頼らなければならないほど辛いことってあるの?
あります。
だからこの作品の中に描かれている依存者たちは全くだらしなくないし、意思も弱くない。
どのくらいのことを「辛い」と思うのか、その量は人それぞれです。
辛さがキャパオーバーしたときに患うのが、精神病、です。
依存症は精神病なのです。
昨今は少しづつ、うつ病や適応障害などへの偏見が減ってきました。
同じように依存症への偏見も減って欲しい。
この作品を読んでそう思えるようになり、自分も偏見を持っていたことを再認識しました。
改めよう。
以下に、この作品に描かれている依存症を挙げます。
なんでそんなものに依存してしまうの?
そう思う方にぜひ読んでいただきたい、「セゾン・サンカンシオン」です。
アルコール依存症
ギャンブル依存症
薬物依存症
万引き依存症
・・・ラストには一縷の希望の光がさしますので、救われます!^^
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