あじさい

描くこと、創ること、踊ること、が、好き。 遊んで暮らす、楽しく頑張る。 90代の両親と…

あじさい

描くこと、創ること、踊ること、が、好き。 遊んで暮らす、楽しく頑張る。 90代の両親と同居。 猫飼い。

最近の記事

#読書感想 「スター」 朝井リョウ

映画と動画について 先日、御嶽山へハイキングに行きました。 梅雨の合間の木漏れ日が、それはそれは美しく、まるでスポットライトのように鮮やかな緑を照らしていたので、思わず「これをとっておきたい!」とスマホで写真を撮りました。 ・・・あれ・・・木漏れ日が全然撮れていない・・・あんなにハッキリ光っていたのに・・・! 私の撮影技術のなさも原因の一つかもしれませんが、あ、いい、この瞬間撮りたい!とグッときたものはスマホではほぼ撮れないのです、全てにピントがあってしまい、ペタンと

    • #読書感想: 「セゾン・サンカンシオン」

      著:前川ほまれ 依存症を患う人々が暮らすグループホーム。さまざまな依存症をめぐる家族の物語。 新聞の書籍紹介の記事で知って、面白そうと思って選んだのですが。 いったい私は何を面白そうと思ったのでしょう。 正直、読んでいる最中は辛かった・・・。 多くの人はアルコールや薬物、窃盗行為をしなければ生きていけない人になぞ、共感できません。 意志が弱い。だらしない。そういう特別な人が自業自得でなる病気。 この物語の中でも当事者に家族は圧倒的に冷たい。 お前がだらしないか

      • ついさっき起きたことを書いてすぐ朗読する為に②

        玄関を出ると日差しが強いわりに風がひんやりとしているのに気付く。夕べの雷雨の影響だろうか。 通りの向こうの新築の家から若い奥さんが日傘をさしながら出て来て、すぐ戻った。忘れ物らしい。 中央公園を抜けて鷹の台駅に着く。平日の昼なのに、人が多い。 ベンチに座ってFacebookを開く。友人の息子さんが難病になってしまった。その命の恩人というお医者さんを紹介していた。笑顔の画像と前向きな内容にほっとする。 次の小川駅で西武新宿行きに乗り換える。これまた思いのほか人が多い。一

        • ついさっき起きたことを書いてすぐ朗読するために①

          「もう行くの?」 と母の声。 玄関を出ると薄曇りの空気は少し湿っていて、置いてある燃やせるゴミが今日は少し少ない。 となりに新しくできた住宅は初夏の花々で彩られている。 ガレージのコンクリートの上にチョークの落書き。 ◯□せんろ◯△◯◯◯◯おはな◯◯△△・・・ 駅までの公演の植え込み、サツキの毒々しいピンクの間からドクダミの白がニョキニョキ。 鷹の台駅から西武線に乗る。空いていて座席がオレンジ色。 向かいの高校生の男の子が窓から遠くを見ている。 小平駅で急行

        #読書感想 「スター」 朝井リョウ

          枕はジャンプ

          夏だった。 国分寺で気のおけない友と冷酒を堪能した。国分寺は最寄り駅から一駅だ。タクシーでだって帰れる。 夏の冷酒はうまい。 夏の魚もうまい。 終電に間に合い、最寄り駅についた。 コンビニ前に若者がたむろしている。話しかけたらきさくに答えてくれ、優しい子達だった。 「お姉さん、大丈夫っすか?」 「え~、心配してくれるんだ~」 「心配っすよ!!」 気がついたら公園の草むらで眠っていた。 枕は少年ジャンプの最新号だった。 財布は無事、怪我もない。 やはり、優しい

          枕はジャンプ

          イエローカード

          大学4年の夏休み、アメリカ・モンタナ州に住む叔母のところへ遊びに行った。 サンフランシスコでエアバスに乗り換える。 エアバスというのは国内線の飛行機のことで、飛行機ががバスのように小さな地方都市を巡回する。 乗客は自分の街の飛行場に着いたら降りるのである。 しかしながらその頃の私はそんなことは知らず、到着する行き先はひとつであると思っていた。 羽田発福岡行きの飛行機が大阪に途中着陸することは決してない。 その感覚でいた。 なのでサンフランシスコのエアバス搭乗口の電光掲示板に

          イエローカード

          心霊写真

           私はかつて心霊写真が見えていた。  その頃は家族に不幸があり、なぜ人は死ぬのか、死んだらどうなるのか、ということに興味が集中し、宗教に入っている友人が周りに多かったり、とにかく死後のこと、神様のこと、霊魂のこと、そんなことばかり考えていた。 新興宗教に入っていた。 だから朝早起きして祈りを捧げたり、食事の度に感謝したり、日常が宗教的であった。  そんな中、図書館で何気なく手に取った「民族の◯◯」とかいう、今はもう覚えていない題名の写真集を開いた。 そのページを目にし

          心霊写真

          素敵なお姐さん

           私は学生時代、新興宗教にはまっていた。 場所はカリフォルニア。 その頃の人生最大の悩みを「大丈夫、解決できます」と言って勧誘したアメリカ人。 若くて無垢な私はずぶずぶとはまってしまった。 活動資金調達のために、訪問販売をした。 当時はやらされている感はなく、修行の一環だと思っていた。だから辛くなかった。 車で街の一角におろされて、一軒一軒家をまわる。 売っていたのはB5くらいのプリントイラスト。 キリスト様やマリア様、こねこちゃん、わんちゃん、すぐ飾れるように厚紙で額が

          素敵なお姐さん

          浮浪者と牛丼

           私はそのとき頭にひとつのアイディアを持っていた。 女性の浮浪者を主人公にした漫画のストーリー。浮浪者が行きずりの少年と仲良くなる。少年は義理の父にひどい虐待を受けていた。それを知った彼女の行動は・・・。  白髪まじりの長髪は肩まで伸び、垢で束になっている。何年も洗っていないだろう顔、ひからびた唇からは不揃いの黄色い歯がのぞいている。サイズの合っていない服は汚れて何色だかもわからない・・・。裸足だ・・・。寒いだろうな・・・。  次のシーンで私はその人と差し向かいで牛丼を

          浮浪者と牛丼

          動物園

          #たすけてくれてありがとう 32歳のとき、大失恋をした。 25歳から7年間おつきあいした人。 その頃の私は結婚イコール幸せと信じていたので、いきなり後ろからナタで首を切られたようなショックだった。 魂が抜けた。 日曜日。 それまでいつもあたりまえのように会っていた人ともう会えない。 身の置き場がないまま、ふらりと上野動物園に行った。  ゴリラの檻の前に来た。 檻といってもガラス越しである。私がガラスに近寄ると、遠くにいた大きいオスのゴリラが「ん?」というように