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漫画の描き方のコツ備忘録vol.15/番外コラム『あの頃「ファンタジーなんて、もう二度と流行らない」と仰っていた方々は、異世界に転移して、勇者かなんちゃって最弱職か聖女か悪女にでもなったのかしら…?』

こんにちは、漫画描きの晏藝あきです。
今回は、漫画の描き方備忘録の番外として、創作するジャンルについての簡単なコラムを。

現在、漫画界隈では異世界転生転移ものファンタジー、聖女ものファンタジーなどが大変に流行っておりますね。
私自身はファンタジーが大好きなので、読み手としても作る側としても、とても嬉しい現象です。

しかし、この《ファンタジー》ジャンルですが、実は10年そこそこ前あたり、かなりの確率で漫画の製作側では「もう二度と流行らない」「絶対に描いてはいけないもの」扱いをされておりました。
その前の世代に、現在では主に(または俗語に)《ハイファンタジー※》と分類されるジャンルを中心としたファンタジーものの一大ブームがあり、恐らくはそのブームがある程度、収束していたためでしょうか。

※ハイファンタジー
私たちの現実的な世界とは別の法則で成り立つ幻想世界・異世界のみを舞台にした《とある世界》の中で展開する、そこを現実世界と仮定した物語などを指します。
が、この分類には諸所、主張があるようです。

ほんの最近まで、多くの場所で《学園もの》《恋愛もの》《現実系》《デスなゲーム》《スポーツ》以外は漫画にあらずのような…ファンタジーもの迫害の時代もありました。

私は、読み手としては、いつでも面白いファンタジーが読みたいのに、なぜ絶対、しかも二度と描いてはいけないような扱いをされていたのか…?
これは非常に謎でした。
あの頃、「ファンタジーなんて、もう二度と流行らない」と仰っていた方々は今どこに…?異世界に転移して、勇者かなんちゃって最弱職か聖女か悪女にでもなられたのかしら…?
多分、もう忘れているのかもしれないですね。

しかし、現在これだけ流行っているという事は、やはり面白いものは面白く、読者としてファンタジーを読みたい方は潜在的にもたくさんいたのでは?と思います。

何がお伝えしたいかと言うと、
勿論、商業的にコスト下げたりリスクを回避するなら、流行りに乗った方が確立は良いし、ビジネス的には楽だし、それしか描かせてもらえない場合も多いですが、
しかし!個人的には「もうそのジャンル絶対に流行らない!」などど誰かに言われても落ち込まず、
「めっちゃ好き!」とか「描いていて何より楽しい!」「どうしてもこれが描きたい!」「自分が面白いと思う」のであれば、描き続けて良くね!?
という大いなる励ましです。

創作自体は本当に自由です。
私自身も「個人的には面白いと思いますけど、そのジャンルはちょっと…今ウチでは…」みたいな事を商業ではほぼ100%言われるジャンルの作品を、しかも二作、電子自主連載しております。
もうね、やりたいからやってます。

「誰からも求められてない」なんて、描いてみて一定の人数の読み手さんに読んでもらってからじゃなきゃ本来は分からんのです。

その制作の間のコストの多くは自分で負う事になったりしますが、描かずにいられないくらい描きたいジャンルや作品なら、まず個人的にでも描いてみて良いよね?と思います。

大体、昔からヒット作なんて、強く反対されていればされているほど、売れたりもしています。
描いて出して見ないと本当に分からんと私は思います。

確か、ニッチなジャンル地獄お仕事コメディものの『鬼灯の冷徹』の先生も「個人的には面白いと思いますけど、ウチではちょっと…」と言われ続け、最後には読者投票から連載というドラマティックなご経歴だったかと。
他にもこういった話はたくさんあります。

今は、SFとかロボットものなどのジャンルが、「もう流行らない」「オワコン」とか、割と言われやすくなってます。

もぉ~!そんな事ないし!子供の頃、スペースコブラとかスリーナインとか再放送でめっちゃ楽しみにして見てたし!カウボーイビバップだって子供の頃からめっちゃ好きだし!子供向けのロボットものとかドラえもんから警察、ファンタジー、冒険もの戦闘系まで何本も見てたし!
何ならまだまだ面白いの見たいし!!

勿論、技術の進歩によって、ロボットがもっと身近になる日も近く、宇宙にも行けるようになり、
SFやロボットに「夢があるか」「憧れを感じるか」等という点では、特にプログラミングがカリキュラムにも入っているような子供達に読んでもらう・見てもらうものとしては、これまでと同じ定義では作りにくくなったジャンルかと思いますが、そこをクリア出来る条件さえあれば、まだまだいけるはず!
またいつか少し変わった形でも流行るんでないの!?と思います。

今の異世界転生転移ものブームも、
・「昔からあるファンタジー要素」と、
「憧れ」「夢」を感じる創作物
(書いてて悲しいけど、現在の将来に夢が持ちにくい日本の閉塞的な日常からの逃避と、本来の自分のままで受容される感や自己実現)

を感じる部分がうまくかみ合った結果かしらとも思いますので、やはり広く読まれたい場合や、計算して行う場合には〈今の現実世界からのニーズ〉との兼ね合いを考えるのは大事かもしれません。

でも、漫画は面白いか面白くないか、二択って手塚治虫先生言ってたよ?!漫画描きが目指すのそこだけで良くね?!オワコンとか二度と流行らないとか安易に言っちゃう人がいて、描かれる予定の名作が潰れたらきっちりと責任取っていただきたい。私が読めなくなるじゃないか!

ともかく、才能ある作家さん達が、自分の内側や他人からのダメ出しに負けず、描かずにいられないジャンルや作品を描いて、面白い作品をどんどん生み出していただきたいなーと心から、本当に思います。ね、もう。

今回はコラムでしたが、ここまでお読みくださり有難うございました!
よろしければまた!


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