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【朗読】詩集『家路』より


まだ実感が湧かない。

明け方5時から天井を見上げカーテンの隙間から漏れる朝陽を細目でみていた。

まだ公開から24時間も経っていないのか…。
まだ胸がドキドキしている。

昨夜の20時にYou Tubeで公開された一本の動画。
拙詩集『家路』の朗読動画。

友人でもあり尊敬している俳優さんの西村俊彦さんが朗読してくださった。


世の中には沢山の朗読チャンネルがある。
朗読(聴く専門)に興味を持ったのは西村さんの朗読チャンネル
『西村俊彦の朗読ノオト』がきっかけだった。

言わずもがな有名な太宰治の作品を私はほとんど読んだことがなかった。
記憶にあるのは『走れメロス』くらいだった。
西村さんの朗読チャンネルを知って太宰治の短編から長編まで色々な作品に触れることができた。
耳から文学が体内を巡った。
私は西村さんの朗読を聴くのが日常になった。



すっかり西村さんの朗読が体に馴染んでいた。
それはまるで生理食塩水で、昔からいう水が合うで、絶対の安心感を与えてくれた。

朗読とは実に偉大で面白い。

『家路』の朗読を聴かせてもらって、先ず感じたことは、まるで私ではない誰かが書いた詩を聴いているようだ。と、いうものだった。
確かに私が書いた詩なのに、頭ではわかっているのに、何度聴いても初めて聴く作品のような新鮮な感覚のまま。飽きないで褪せない。

西村さんの語りの実力。
俳優・西村俊彦ここにあり!

私は西村さんの語りがとても好きだ。
そんなこと、いまさら言葉にすることでもないが、改めて言葉にしたくなるくらい今回の出来事には気づかせてもらった。

こんな体験は生まれてはじめてだった。

拙いながらもたいせつな詩集『家路』は今から3年ちょっと前に発行した私家本である。
世界がコロナウイルスを他人事ではないと怯えはじめた頃に完成した本である。
長いようであっという間だった気もする。

こうして私が読んでほしい、朗読してもらいたいと切に願った西村さんに、実際に形にしてもらえたなんて…。
でも、これは夢ではない。
興味のある方は誰でも視聴可能となった。

私が誤字脱字誤植がないか発行前にどれだけ確認したか…。指でなぞり黙読したり、声に出してみたり…。それでも私の音では見えなかった世界が西村さんの語りで遥かに果てしなく無限に広がった。
はじめて聴かせてもらった時は机に額をつけて突っ伏して項垂れた。あまりにも凄すぎて、感嘆のため息と頭で処理しきれない衝撃にしばらく動けなかった。
最高の朗読に震えた。

私は書く人間だ。
以前から公言していたことで作品は手元を離れたら私のものではなく手に取った、受け取ってくださった方のもの。
すべてを委ねます。
私は今回、詩集という本を朗読してもらうことではじめてわかった気がします。

例えば作詞家さんの気持ちだったり、作曲家さんの気持ちだったり。
歌い手さんによって世に出た時、こんな気持ちで再会するのだろうかと。

西村さんにすべて委ねて朗読化された『家路』は新しい顔で生きていた。とてもいい顔をしていた。
私はそれをとても誇らしくて頼もしくて嬉しく思った。
それはとてもしあわせなことだ。

私家本の『家路』は有難いことに今年完売しました。
東京都世田谷区の豪徳寺にあります主に詩歌を取り扱っている出版社で書店の七月堂さんで販売していただいておりました。

これからどんな流れになるかはわからないですが明らかなのは『家路』の新しい物語が始まったということ………なのかな?と、思います。

ぜひ、聴いていただけるとさいわいです。



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