ド理系の僕が理系の面白さを分かりやすく(?)伝える話
僕は地方国立大学工学部の人間だ。いわゆるこちこちの理系である。
だから多少は科学や工学のことを説明出来ると思う。
出来るだけ数式を交えながら、面白く分かりやすく話そうと思うので、自然科学を身近に感じてもらえたら嬉しい。
序論 自然科学とは身近なもの
本来、自然科学というのは“自然”という名前を冠する通り、自然の法則を調査するのだ。
切り離された別の世界を調べているわけではない。
普段は数式なんて感じないから距離を感じるが、ある程度は身近な存在なのだ。
その一 月
雲のない夜空を見あげる時、空に一際大きな黄色に照らされた球体が一つ存在する。
月だ。
月は地球の唯一の衛星で、人類が唯一地球以外を歩いたと言われている星だ。
そんな月は地球を楕円軌道しながら回っている。
と、普通に書いてみたが考えてみるとこれは凄いことで、月は不規則ではなく、法則に則って動いているのだ。
そして楕円は中学数学で習う(公式となると高校数学になるが)。
つまり中学程度で習う数学的幾何の通りに月はそれに沿って動いているのだ。
宇宙の謎は99%分からないと言われているが、単純なものは科学の始めの頃に既に解かれている。
スーパームーンや、月の出入り、月食等はすべて計算に基づいて算出している。
つまり人類は学校で習う自然法則を(部分的に)使って計算し月の動きを予測しているのだ。
しようと思えば紙と鉛筆で月の様々な物理的計算ができるのだ。
例えば月の重力は地球の1/6程度と言われている。実はこれは計算で出るのだ。
月の重力加速度
g =Gm/r^2(地球はg’ =GM/R^2とする)
という式が成り立つ。
・m(月の質量) =0.0123M(地球の質量)
・r(月の半径)=0.27R(地球の半径)
より計算すると、
g = 0.0123/0.27^2×GM/R^2
= 0.1687g’=1/6g’
となる。なんか少し月面にいる気分になる。
果たしてアポロの旗は見えるだろうか。
その二 ジェットコースター
これはまさに物理学を体現した遊びだ。
レールの一番上まで列車を巻き上げて落下させたらそこから先は動力なしで動く。
ここでは位置エネルギーと運動エネルギーの話になる。だが話が少し専門的になるので簡単に言うと要するにエネルギー交換の話だ。
エネルギーは変換する。ただそれだけの話。つまり、高さから速度が発生するのだ。
以下の式で示すと、
mgh = 1/2×mv^2
となる。mは人や列車の質量で、gはさっき説明した重力加速度、hは高さで、vは速度だ。
そして列車がレールの一番下の時の速度の式は以下になる。
v =√(2gh)
これから分かるのは高さが速度に影響するということだ。
例えば富士急アイランドのジェットコースターの最大落差は70mより、それをこの式に代入する。
v =√(2×9.806×70)=37.2m/s
となり、これを時速に直すと、
37.2×60×60=133837.7m/h
=133.8km/h
となる。(富士急アイランドの公式のホームページでは最高速度130km/hと書いている)
これを使えばバンジージャンプの計算も出来る。
その三 人工衛星
人類の英知を結集して作る一つの機械が、これから説明する人工衛星だ。
打ち上げ後の地球を回る原理は月と同じなので、ある程度は省略するが、月と少し違う特徴があるのが、静止衛星だ。
地球と同じ時間で回っているので地上から見ると静止しているように見えるから静止衛星と言う。
高さは約42000kmなのだが、これは実は計算してこの距離なのだ。
高校物理程度の知識で解けるが、なかなか難しいので順をおって説明する。
まず地球の周りを衛星が円軌道(等速円運動)と近似する。確かに正確には楕円軌道だが、ほぼ円軌道なので計算の上では問題ない。
そうなると等速円運動の運動方程式は、
mv^2/(r+R) = GmM/(r+R)^2
という式が成り立つ。
そして円運動の時の時間は、
T = 2πr/v
という式が成り立つので、これを
v =2πr/T
にして、運動方程式に代入してr+Rについて解くと複雑な式が出る(ここでは略)。
そして様々な定数を代入すると、r+R = 42240698.42m。つまり42240kmとなるのだ。
終わりに
人類は科学を駆使して身近なものから果ては宇宙までの物体や機械の計算をしている。
そして基本は学校で習った数学や理科だ。
得手不得手はあるだろうが、これを読んで少しでも楽しんでくれたら幸いだ。
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