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KPOPの10年間を振り返るVol.4〜次世代グループが目指す先にあるものは

韓国ではいろんな事務所からどんどん新しいグループが出てくるし、しかもみんなデビュー時点で音楽、ダンス、ビジュアル全てが完璧。
次世代グループのデビューにおいて、他と差をつけるためにより重視されるようになった"コンセプト"を中心に振り返ります。
前回まではメンバーがほぼ同年代でしたが、今回からみんな年下になりました。

|ITZY -DALLA DALLA(2019)

レーベル:JYP Entertainment
作曲:GALACTIKA
振付:Brian Friedman

Itzyは初めてデビュー時からほそぼそと追いかけているグループ。特にリュジン、イェジは自分をしっかり持っている感じがして好きです。

このデビュー曲、ところどころ韓国語に混ざって英語で「So what?」「I don't care」「I love myself」などの言葉が耳に入ってきます。「おや?」と思って、上の日本語訳の動画(公式ではありません)を見て結構衝撃を受けました。
日本語訳動画のコメント欄には「自己肯定感」という言葉が散見されます。
咄嗟に思い出したのは、「自分が大好き」と言えない自己肯定感の低いアイドル像(それが"身近に感じる"ということなのか…)を求める男性ファン向けに書かれた日本語の歌詞。自分と同世代で頑張っている日本のアイドルたちが嫌いなわけじゃないけど、音楽番組で見ないようにして生きてきました。見ていると自分まで辛くなるから。

音楽プロデュースチームのGALACTIKAはかなり前からAOAやTWICEに楽曲提供をしていたようですが、Itzyというグループの"ガールクラッシュなコンセプト"がこういう曲の制作に繋がったのかなと思います。

|ITZY -WANNABE(2020)

作曲:GALACTIKA
振付:Lia Kim

この衣装が好きすぎて・・・最初見た時はリュジンの肩大丈夫かなぁと思って見てましたが、どんどんハマっていきました。
つい最近日本デビューしたのもこの曲でしたね!ただMVの衣装がなんかおかしなことになっていて、10年前のK-POPのMVを見た時と同じ感想を持ちました。

この「WANNABE」はタイトルからして意思表明してます。歌詞も「I don't wannabe somebody」「I’m the one and only」など、もはや言っていることはオアシスです。めちゃくちゃロックでした。
同じくJYPプロデュースのTWICEは恋愛がテーマの曲が多いですが、昨年デビューして話題になったNiziUは10代〜20代を励ますような歌詞が印象的でした。
Itzyはガールクラッシュの先駆けとなった2NE1やBLACK PINKともまた違って、「私は私。ほっといて」というスタンス。それもまた、勇気づけられるんだよなぁ。
秋元康からJYPに取って代わる日が来るのか、今から楽しみです。

|(G)I-DLE -LION(2019)

レーベル:CUBE Entertainment
作曲:SOYEON
振付:セルフプロデュース

読み方は「ジーアイドゥル」。先にソロでもデビューしていたリーダーのソヨンを中心に、作詞作曲振付を自ら手掛けるセルフプロデュース”アイドル”です。ただそのクオリティが高すぎて、もはやアーティスト集団

(G)I-DLEの曲はApple Musicでよく聴いていたので、パフォーマンスは見てませんでした。たまたま「LION」の曲の世界観が好きで調べてみたら、メンバーたちももちろん、周りのダンサーたちの迫力が凄くて驚きました。

ソヨンの才能に対する信頼と、セルフプロデュースであることを押し出すことで他と差別化されています。

2021年にチョン・ソヨンとして発売されたミニアルバムの曲は、グループの時とは全く雰囲気が違いますが、やっぱりオリジナリティがあってこちらも好きです。

|EVERGLOW -FIRST(2021)

レーベル:Yuehua Entertainment
作曲:Hayley Aitken・Olof Lindskog(OLLIPOP)・Gavin Jones・72
振付:?

これは単純に、作品として本当にかっこよすぎる曲と振付が大好き。そしてミアを筆頭にメンバー全員のダンススキルの高さがこれ以上ないほど発揮されています。
公開された瞬間テンションが上がってこれはスゴイと一人で盛り上がっていたのですが、その後思ったより再生数が伸びず・・・
OLLIPOPは北欧出身のソングライターで、TWICEや NiziUにも曲を提供しています。
ガールクラッシュを超えた全方位に媚びないパフォーマンスが、時代を先取りしすぎていたのか?
などと考えていたら、つい先日新曲が公開されました。

いやキャッチー&キャッチーでこれもいいんだけどさ・・・
EVERGLOWはデビュー時からアメリカやブラジルなど海外人気が高いと話題で、FIRSTはそこへ向けて売り出そうとしていたのでしょうか。
いい作品を作るだけでは売れない、プロモーションにおける文脈の重要性を思い知らされました。

|aespa -Black Mamba(2021)

レーベル:SM Entertainment
作曲:Omega, Ella Isaacson, Gabriela Geneva, Jordan James Reyes, Shaun Lopez, Scott Chesak, 유영진
振付:Kyle Hanagami

エスパはコンセプトとして、まずインターネット上の仮想世界に自分のアバターが存在していて、そのアバターと出会ってメンバーが成長していく・・・?という、もはやイメージ戦略の次のステップに行ってます。アイドルグループの新たな物語が始まったという感じ。

サビの振付はカイル・ハナガミで、アイドルのダンスは”みんなが真似しやすいものを”という固定観念をデビューから覆しました。簡単に真似されてたまるかという気迫すら感じます。
メンバー構成も韓国2人、中国1人、日本1人でもはや多国籍であることがスタンダード。ビジュアルの話で言うと、イェジもそうでしたが4人ともこの切長の目の美しさの極みじゃないでしょうか。
デビュー時にはその世界観が話題になり、K-POPもここまで来たかと思いました。
本来イメージ戦略はメンバーの個性を元に考えられるべきだと思うのですが、この不思議コンセプトで伝えたいことって何なのでしょうか。
まぁEVERGLOWにはこれが足りなかったのか・・・エスパが目指す先には何があるのか、注目したいと思います。

|LISA -MONEY(2021)

レーベル:YG Entertainment
作曲:24,Boom,R.Tee,Vince
振付:RIE HATA他

リサ。ラリサ。
他グループでもタイ出身のメンバーがいますが、やはり一番影響力があるのはリサでしょう。
ダンススキルとラップを活かした、かなりアメリカ寄りのヒップホップテイスト。もうソロとしてデビューしたら、サビの可愛い振付以外は歌うことに集中した方がいいんじゃないかと思ってしまいます。

ソロのデビュー曲タイトルで本名の"ラリサ"が使われたことも象徴的でした。MVではタイの煌びやかな伝統衣装がすごく目を引いたし、これまでブラックピンクでもタイ人として頑張ってきたリサにしかできないことです。

ソロ活動がグループからの独立ではなく、それぞれのアイデンティティをより力強く発信するための手段としてプラスに捉えられていることも良いなぁと思います。

そしてK-POPは自国だけでなく、日本人も含めた他国のアーティストたちを積極的に起用して、アジア全体で盛り上げて行きたい!という涙ぐましい理想を感じます。
もちろん売り上げを増やすためということもあるでしょうけど、日本の閉鎖的な音楽業界にもこの感覚があればなぁと思わずにはいられません・・・

10年間を振り返ると、なんだか感慨深いものがありますね。
次回で最終回。気楽に最近のお気に入りK-POPを紹介します!

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