催眠術で何ができるのか【『はじめての催眠術』 ブックレビュー】

基本情報

タイトル:『はじめての催眠術』
著者:漆原正貴
出版社:講談社
Amazonリンク↓


2021年3月20日に読了。

感想

1,2章の「準備編」、6章の「応用編」と「はじめに」「おわりに」をしっかり読み、3,4,5章の「実践編」は斜め読みした。所要時間は1時間ほど。

本全体を通して、催眠とはどういう現象なのか、催眠では何ができて何ができないのかという内容を理解することができた。第1章では、現代の催眠に対するイメージが歴史的にどう形成されてきたのかがよくわかった。神経科学的な催眠研究の事例を知ることもできた。


「おわりに」では次のような問いが提示されていた。催眠によって生まれた感覚と本物の感覚は区別できるのか?そもそも「本物」とは?

これらは、同時に読んでいた池谷裕二『単純な脳、複雑な「私」』で語られる「知覚されたら『存在』する。脳の活動が全てである」という主張と深く関係しているなと感じた。すなわち、催眠によって生まれた感覚は、脳が活動しているという意味で本物の感覚と区別できないし、「存在」すると言える。

この点を深く掘ると、「我々は世界そのものを知覚できない、人間流の受け取り方でしか世界を知り得ない」というカント流の認識論にもつながると思う。

---

最後まで読んでいただきありがとうございます!

この本以外に読んだ本の一覧はこちら↓

他の本のブックレビューはこちら↓


この記事が参加している募集

#読書感想文

192,370件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?