フルーツサンドの思い出
こんばんは。
読むこと、書くこと、食べることが大好きな
ひらさわあけみです。
告白します。
実は、つい最近まで「フルーツサンド」が苦手でした。
パンは大好き。
フルーツも大好き。
クリームも大好き。
でも、この3つが集結すると食べたくなくなるのです。
これは、おそらく子供の頃の経験でしょう。
ものすごく薄くて、真っ白な食パン。
べっとりとした、重いクリーム。
缶詰からそのまま出してきたような、ミカン。
食べた瞬間、クリームがはみ出してミカンが飛び出してきたのです。
床に落ちた、オレンジ色のくだもの。
そこだけが目立っていました。
拾うこともせず、ただ呆然と見ていた私に、母の叱責が飛んできました。
「何してるの、もったいない」
そう言われても、なかなか身体が動かない。
フルーツサンドを持ったまま、固まってしまったのです。
その後はどうなったのか、正直なところあまり覚えていません。
多分、クリーム付きのミカンは、母がティッシュで拭き取り捨てたのでしょう。
私は、そのサンドイッチを全部食べたのか、それとも取り上げられたのかが分からない。
ただ、変な食感とおいしくないものだと記憶だけが、はっきりと残っています。
おかげで、おいしいパン屋さんに行っても、フルーツサンドだけは避けていました。食いしん坊なせいもあるのですが、お腹にたまるお惣菜パンばかり買っています。
キレイだな。
おいしそうだな。
試してみたいなあ。
そう思うこともありますが、なかなか手が出ない。
「クリームにフルーツなら、ケーキの方がいい。わざわざパンに挟む必要はない」そう言い聞かせていました。
意地になっていたのかも知れません。
フルーツサンドを食べることで、何かに負けたような気がしてしまう。
食べることに対して貪欲なのに、そこには触れることが出来なかったのです。
食べる。
落とす。
怒られる。
その3点セットが、ずっと私を縛っていました。
食べないからといって、困ることはありません。
フルーツサンドは好きではないと言わない限り、誰も気が付きませんし、言ったとしても大して話題にならないでしょう。
ただ、自分の中ではずっと引っかかっていました。
指に刺さったトゲのように、痛くはないけれど取れるまでは落ち着かない。
積極的に何とかしようとも思わず、ずっとそのままにしていました。
あるとき、ひょんなことから「フルーツサンド」を食べたのです。
友人のお母さんが作ってくれました。
食べたくないとは言えず、覚悟を決めて口に入れたのですが、とてもおいしかった。
パン自体がしっかりしていて、クリームは甘みを抑えてあり、フルーツはみずみずしい。食べ進むうちに、子供の頃の思い出が遠のいていきました。
それ以来、気軽にフルーツサンドを食べるようになりました。
今、はやっていますから、あちらこちらで食べる事ができます。
自分好みの味を見つけると、嬉しくなりますね。
友人のお母さんのおかげで、灰色の思い出が気にならなくなりました。
ありがとうございます。
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