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ゴーヤチャンプル

みなさんは、ゴーヤが好きですか?

この季節、ゴーヤが出回っています。
濃いみどり色と、いぼのある形態が特徴。
トマトやレモンよりもビタミンC含有量が多く、野菜の中でも加熱に強い。
優れものです。

私は、ゴーヤがお気に入り。

通常の野菜にはない、でこぼこした手触り。
夏のエネルギーを固めたような、自己主張が強い色。
見るたびに、いいなあと思います。

でも、実は、ゴーヤが苦手。
それは、………………苦いから。

別名ニガウリというくらいですから、苦いのが当たり前です。
少しくらいならいいけれど、苦すぎて食べにくい。

栄養があると言い聞かせても、身体は正直。
ゴーヤチャンプルを食べるときは、お豆腐と玉子にばかり箸を伸ばしてしまいます。

ふらっと入った居酒屋さんでその話をすると、マスターに大笑いされました。
「酒が飲めない上に、苦いのがだめ。全く、子どもだなあ」
「自分でもそう思いますよ」
ため息をつきながらウーロン茶を飲みました。

「よし!苦くないゴーヤチャンプルをつくってやろうか」
「そんなの聞いたことありません」
「大丈夫。作り方も教えるから、家でやってみな」

カウンター席に座っていたので、厨房が見えます。
じっくりと観察しました。

切れ味の良さそうな包丁で、スパッと二つ割りにします。
真っ白な綿がきれい。
それをスプーンでこそげ落とします。そんなに削っていいのかな?と思うくらいでした。

そのあと、薄くスライス。
通常は4ミリくらいの厚さですが、その半分くらい。
塩を多めにかけて揉み込み、しんなりさせました。
その塩を洗い流して、お湯に入れます。

「え?茹でるんですか」
びっくりしました。
「茹でると苦みが消えるんだよ」

お豆腐を手で崩し、玉子を溶きます。流れるような動作。さすがプロ。
そして、缶詰めを取り出しました。
スパムです。

「普通の豚肉を使うのかと思っていました」
「沖縄では、こっちが主流だよ」

スパムミートを細切りにして、熱したフライパンに入れます。
肉から出るので油は不要。
ジャーッという音と一緒に、焼ける匂いが広がりました。

そこでゴーヤを投入。ざっと炒め合わせてから豆腐も入れました。
豆腐にやや焦げ目が付くくらいで、玉子をかけまわします。
味付けは、お酒とお醤油。仕上げにかつお節をたっぷりかけました。

「ほら。食べてみな」
てんこ盛りのゴーヤチャンプルに、目がくぎ付け。

あつあつのうちに、箸を伸ばします。
スパムと一緒にゴーヤを口に入れました。

「あんまり苦くない」
「だろう?」
得意げな顔をするマスター。

茹でて苦みを減らした後に、スパムの強い塩気とかつお節で、更に苦みが抑えられたのです。そこにお豆腐と玉子が加わり、絶妙な味。

「マスター、ご飯下さい」
「はいよ」
笑いながらよそってくれました。大盛りです。

今まで食べた中で、一番美味しいゴーヤチャンプルでした。
苦い方が好きな人には、物足りないかもしれません。
でも、私にはちょうど良かった。

ゴーヤが得意ではなかったら、ぜひスパムを使ってみて下さい。
好物料理に変わるかもしれません。


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