鈴木暁子AkikoSuzuki

1973年、埼玉県生まれ。朝日新聞の記者として2016年9月よりベトナム、カンボジア、…

鈴木暁子AkikoSuzuki

1973年、埼玉県生まれ。朝日新聞の記者として2016年9月よりベトナム、カンボジア、フィリピンを担当。22年に休職して4カ月フィリピンに滞在。フィリピン、沖縄、旅や食べものなどのコラムを書きます。水浴びする水牛をみるのが好き。「映像研には手を出すな!」が好きすぎる

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  • 沖縄とわたしとわたしたちと

    沖縄からフィリピンに移住したかたたちに関する記事や、沖縄にまつわるお話をまとめていきます

  • フードエッセイ

    食べものや飲みものを入り口に、おいしさへの感動や驚きはもちろん、歴史・文化・社会とのかかわりなどを書いていきます。

  • ドゥテルテ、マルコス、フィリピン大統領選挙まとめ

    マルコス・ドゥテルテが大勝した2022年のフィリピン大統領選の集会に現地で参加し、音楽やプレゼントとともにある選挙や、マルコス支持の背景など、フィリピンの人たちと話をして感じたことをまとめています。

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「幽霊」とともに生きること、ウチナーンチュ大会の沖縄で舞台「イミグレ怪談」を見た

沖縄・那覇の国際通りを歩いている人の3分の1は、幽霊なのだという。 えっそうなの。巷でささやかれ続ける都市伝説だそうだが、ちょうど那覇を訪問している私は、夜のホテルの部屋でなんだかぞわぞわっとしてしまう。 でも幽霊ってなんだろ? 10月30日に那覇文化芸術劇場なはーとで見た舞台「イミグレ怪談」は、ほの暗い舞台に3人の役者が登場する。一人はラオスに住んでいるらしいがタイにもやたら詳しい男性で、もう一人はボリビアに移住した親類をもつ女性、もう一人は……?の男性だ。 3人は同

    • 那覇に来たら絶対行ったほうがいい「楽園百貨店」で買ったもの

      わたしが今年買ってよかった〜と思うもの、そのいちは、台湾のブランド「ヂェン先生の日常着」のバルーンパンツです! この台湾発のお洋服、とても着心地がよく、また色合いがとてもきれい。最初に買ったのは、この橙色のスカートでした。お洋服って、買ったけど意外と着ないものもありますよね。でもこのスカートはへビロテでして、ということはたぶん、このお店の服はかなり着倒すはずだ!と考えました。 そして購入したのが、下の写真のバルーンパンツ。とても着心地がいいうえ、誰が着てもたぶんかっこいい

      • 書くことの力 町田康「私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか?」を読む

        大好きな町田康さんの本。 作家の来し方についての本というよりも、効能というといやらしいかもしれないけど、書くということの力をとても感じることができた。バリアを突破していく『反オートマチックな文学的な表現』とか。自分自身を知るとか。魔力だね。 やっぱり書くのも町田康も、好きだしおもしろい。 #読書の秋2022

        • 朝井リョウ『正欲』読書感想 みんなちがって、みんないい ってあたし言えない

          Netflixの「ストレンジャー・シングズ 未知の世界」にはまって、最近、4シーズン分をほぼ一気に見てしまった。 このドラマにスティーブという、ハンサムなのにちょっとダメなやつ、でも憎めない、という役どころの登場人物が出てくる。ちょい役かと思いきや、重要な役どころに進化していって、私も好きなキャラクターのひとりだ。 朝井リョウの小説「正欲」に登場する、ある人物像を思い浮かべるときに、なぜか、この憎めないスティーブが浮かんで。結末を読むときには、ああ、どうして……と、とても

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          ほったらかし温泉からの満月

          ほったらかし温泉からの満月

          ウミガメを甘やかしすぎ? 西表島で聞いたお話

          沖縄の西表島で、初めてカヤックに乗った。 こぎはじめてしばらくすると、ツアーガイドさんが教えてくれた。「あっ、いま顔を出したのはウミガメですよ」 海面からひょこっと顔を出して、息を吸っているのだという。 「あっ、きたきたウミガメだ!」 別のカヤックのすぐそばを、ウミガメが悠々と泳いでいく姿が見えた。 けっこうしょっちゅう見ることができるんだなあ。県外出身のかたではあるが、西表島で働くガイドさんも興奮するほど、ウミガメは、なにか特別なものなのだろう。なんといってもかわ

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          完熟パイン、島バナナ、ゆし豆腐……のジェラートを西表島で食べる

          夏休みのおわりに沖縄を訪ねました。今回は那覇には行かず、石垣島を拠点に八重山の島々へ。 シュノーケリングで、青や黄色の大小のお魚さんが一緒にくらす海の中のアパートをのぞかせてもらうのが主な目的です。 西表島の中野ビーチは遠浅で、透明な海水の中は、まるでサンゴでできたゲートやショッピングセンターがある海底社会のようです。 おやつを食べようと、宿の近くのRistrante Terra Iriomoteに来てみました。パスタや、島で親しまれる食材を使ったジェラートが食べられる

          完熟パイン、島バナナ、ゆし豆腐……のジェラートを西表島で食べる

          宇佐見りん『くるまの娘』読書感想 私にはどんなくるまが用意できるだろう

          学校が荒れて、「スクール ウォーズ」みたいなドラマがはやった直後の、自分の中学時代を、本書を読みながら思い出してしまった。 柔道部の顧問だったいかつい男性教師が、あるとき、私たちの教室に来て、ひとりの男子生徒を黒板の前に正座させた。 そして、花びんとして使っていたのだろうか、教室にあったウイスキーの空きびんをさかさに握り、バーンと生徒の頭をなぐったのだ。 バリーン。 びんが割れるとまで思わなかったのだろう。男性教師も、驚いたようなまぬけな顔をしていた。 授業が終わっ

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          カルダモンと桃のかき氷……子どもと湯島の「みじんこ」へ行く夏

          4ヵ月過ごしたフィリピンから日本に戻ってきました。子どもはずいぶん背が高くなり、さらにたくましくなっていました。 久しぶりに一緒に映画を見たり、かき氷を食べたり。先日は上野の国立科学博物館へ。 誰でも足を運べる博物館や美術館、図書館が身近にあるのは、ありがたいことだなあとしみじみ。スタイリッシュな企画展「WHO ARE WE」は、またゆっくり見に行きたい。 マニラも暑い日はあったけど、日本の方がぐったり体力を奪われるような気がするこの頃。超絶暑い屋外と、キーンと涼しい室

          カルダモンと桃のかき氷……子どもと湯島の「みじんこ」へ行く夏

          「家政婦は見た!フィリピン版」ではない 意味深なタイトル 映画感想その2

          フィリピンで話題の映画「メイド・イン・マラカニアン」(原題Maid in Malacanang、ダリル・ヤップ監督)。日本でも在住フィリピノコミュニティーの自主上映会が、13日から順次、各地で始まる。 今のところ映画館での本格上映とは違うが、カラオケ店などを会場に、フェイスブックなどを通じて、鑑賞する人を募っている。13日の都内の上映会には監督や主演俳優も来日して参加するという力の入れようだ。(下は映画予告編) 前にも少し書いたが、この映画は、フィリピンの第10代大統領フ

          「家政婦は見た!フィリピン版」ではない 意味深なタイトル 映画感想その2

          お若いかた、カマンベール風味の果物は好きですか?

          「あっこれ、私が好きなバナナなんだよね」 フィリピンの人が、そういって買ったばかりのバナナを渡してくれました。日本で見るものより少し小ぶりです。 フィリピンにバナナは20種類以上 味はほのかに甘酸っぱくて、たしかにおいしい!3本もぱくぱく食べちゃいました。 「フィリピンにはバナナが30種類近くあるらしい」。そう聞いてへえーと驚きました。ネットなどで見ると、20種類以上あるといわれているようです。それぞれ名前もあるみたい。 サバというカクカクした形のバナナは主に料理用。

          お若いかた、カマンベール風味の果物は好きですか?

          フィリピンの熱い映画対決 日本で上映会も

          7月末に日本に帰国するはずだったが、わざわざお金を払ってビザとフライトを変更した。 8月3日に上映が始まった映画をみるためだ! フィリピンではいま、戒厳令が布告された1970-80年代のできごとを、それぞれ描いた二つの「映画対決」が話題になっている。公開日にさっそく見てきた。ごく簡単な感想まで。 「人が良すぎる、信じすぎるから裏切られるのよ!」 一本目は「Maid In Malacanang」(ダリル・ヤップ監督)。フィリピンの大統領府であるマラカニアン宮殿のメイド、

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          ラーメンにしか見えないけれど

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          ドゥテルテさんが好きな豆のスープと外交 料理下手の雑メシ@マニラ

          フィリピンのドゥテルテ前大統領が先月、6年の任期を終えました。 たくさんの庶民が殺された麻薬戦争を指揮したり、領海問題で中国に刃向かわない姿勢を見せたり、アメリカのオバマ氏や国連総長を「ばか」とののしったりと、国際的にも強烈なイメージを残した人でした。 フィリピンにとって良いリーダーだったのか、悪いリーダーだったのか。 人を引きつける魅力にあふれ、私も彼の演説等を聞くのが好きでしたが、少なくとも、問題をメディアのせいにしたり、人権を軽視したりする風潮が広がり、現政権にも引

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          沖縄とフィリピン

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          ブコパイはどこへ行った? 香りと味とわたしの記憶

          つい先日、とても思い出ぶかい場所を訪ねた。初めてフィリピンに来た27年ほど前に、友人たちと泊まったマニラのホテルだ。 ホテルといっても豪華なところではない。マニラ湾の近くにある、ベッドが並ぶだけの簡素な宿だった。 女性の大学生8人ほどのスタディーツアーで、路上で働く子どもたちとかかわる団体にお話を聞いたり、ゴミの山を訪ねたり。海沿いの小屋に住む家庭に1日泊めていただいたり。 「どこに住んでいるの?」「あっち」。 ゴミ捨て場で会った女の子にタガログ語が通じたこと。水浴び

          ブコパイはどこへ行った? 香りと味とわたしの記憶