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批判者の自分を追い出せ!

他人の批判をする人は、正義を語っているわけではなく、自分の中の批判と戦っている。

そんなことを悟りました。
もしかしたらそういう人は、本来心の中だけで呟くべきものが、うっかり口や態度に出てしまう癖があるのかもしれません。

人はみな、自分だけに通用する価値観があり、他人とずっと足並みを揃えて生活することは不可能です。双子でさえも、それぞれの価値観を持っているのですから。
自分が批判された時にも、この大前提がしっかりしていれば、ブレることはないし、必要以上の反省をして具合が悪くなることもありません。
むしろ批判されたことについては、膠着した自分の考え方に新しい発見をもたらすものとして歓迎すべきものと思えるでしょう。
そこまで自分を確立できれば、生きることも、人と出会うことも、楽しく幸せに思えてならないと思います。

皆それぞれ、自分自身と戦っているに過ぎない。だから本来人間社会とは、違う価値観を持つもの同士の出会いの場であったとしても、本当の敵はいないはずなのです。

では本当の敵とは誰か?
それは、外で起きた出来事をネタにして、心の中で自分をイジメる自分自身なのです。

「もっと早く作業をしてくださいよ!」
と仕事で叱られたとします。
もしも、それが今の自分の限界のペースだとしたら、心の中で『無理だな』と割り切りつつも「はい!」と返事をしておけばいい。心が痛むことはありません。
心を痛めたとしても、それ以上早く出来ないことを知っているのですから、今のペースで頑張るしかないのです。
むしろ気に病んで、余計にペースダウンしてしまったら、その方が仕事に支障をきたしてしまいます。
自分をコントロールできている人は、そう割り切って徐々にパフォーマンスを上げることができる。そうやって自分を成長させていくことができます。

しかし、自分の中に自分を批判する敵がいると、そう言われたことを、心の中で何度も反芻してしまいます。

『どうしよう。これが限界なんだけど、何か工夫しなくちゃ』
『ほら、お前はこの間も言われたのに何も変わっていないじゃないか!どうして変わろうと努力しなかったんだ?』
『やっぱり私は何をやらせてもダメな人間なんだ。このままではどこに行っても使えないと思われてしまうから、せめて出来るように見せておかないと』
『お前のダメさなんて、みんな知っているぞ。誤魔化すな!お前は仕事のできないダメ人間なんだよ』

これに似た葛藤は、いつもいつも私の中にあります。
この葛藤がもたらす弊害は、現時点で出来ていることも出来なくさせ、パフォーマンスを上げるどころか、どんどんパフォーマンス力を下げていき、さらには思わぬ失敗を招いたりして、自分だけでなく周りにも大きな被害を与えてしまうことです。
どこにもメリットがなく、自分自身をどんどん破壊していきます。成長のチャンスも奪ってしまいます。
それなのに何故、こんな自己批判をおこなうのでしょうか?

前に紹介した村中先生の『叱る依存がとまらない』に書かれていたことがヒントになりそうです。

叱る=誰かに罰を与える
ことで、脳の報酬回路が活性化され、気持ち良くなる。
アルコールが体に良くないとわかっていながら飲んでしまうアルコール依存症と同じメカニズムです。
他罰的な人は他人を叱ることで快感を得るけれど、自信が無く他罰的になれない人は、自分を叱ることで快感を得ている。
そう考えると納得できます。
どちらとも、『いけないと分かっていながらやめられない』依存症の状態と言えるのかもしれません。

確かに、自分を徹底的にとっちめた後、何ともいえない達成感と高揚感が得られるのです。
『非難してきた他人の代わりに、自分を徹底的に叱ってやったぞ!だから非難した他人と同じ立場に立って問題に気づいている自分は偉いぞ!』という、とても矛盾した心情と、自分を徹底的に叱ってやったという高揚感が生まれるのです。
もしも、今よりも少し自分に自信があったら、他人や物に責任転嫁して、そちらに怒りを向けていたのかもしれません。

問題なのは、物事を解決したくて自己反省をしているのではなくて、ただ単に自分を叱ることで高揚感を得たいがために、自分で自分をいじめているということです。
建設的なところは、微塵も有りません。

自分の中の悪魔を追い出す
それは、叱り飛ばしたあと、とても気持ち良い状態になる『依存癖』を治していくことに、ほかなりません。
この依存癖が幼少期に起因していることは確かなのですが、アルコール依存症が依存のキッカケになったことを探っても大した治療の効果を見込めないのと同じく、幼少期にどんな辛い目にあったと探っていても、問題は解決しません。
幼少期で成長が止まっているのを、少しでも成長させるには、心の中でちゃぶ台をひっくり返して暴れる『怒り依存症』の私を追い出すことが重要です。
成長の芽をことごとく踏みつぶす暴れん坊を、自分の中から追い出しましょう!

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