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【発見】“全編PC画面”×サスペンスの相性はスゴイ! ~ 映画「search」レビュー ~

 やぁこんにちは。映画大好きアカ ヨシロウだよ! 10月26日から公開している映画「search」が、“全編PC画面”という冒険的作品だけど意外と見やすい、そして「あ、サスペンスと相性が良い!」ということに気づいたよ。正直、観るまでは期待していなかったんだけど、とっても良かったんだ! 見どころをまとめてみたから、気になってくれた人は是非映画館で見てみてほしい~!(ネタバレ無いよー!)

【ピックアップ】
・全編PC画面は没入感がヤバイ
・「オッサンのしかめっ面」だけかと思いきや、画が飽きない
・PC画面だけで年代(時間経過)が分かる
・普遍的なテーマだからハラハラする
・本作が映画デビューとなる若手監督アニーシュ・チャガンティはセンスがいい!
・【所感】正直期待していなかったけど、良かったー!

映画「search/サーチ」(原題:searching)
制作:2018年
日本公開:2018年10月26日
上映時間:102分
監督:アニーシュ・チャガンティ
主演:ジョン・チョー、ミシェル・ラー、デブラ・メッシング 他 (Wikipediaより)

全編PC画面は没入感がヤバイ

 いきなりだけど、“全編PC画面”自体がよく分からない人もいると思うんで、手っ取り早く公式の予告を見てみてほしい!(動画かーい!)

あらすじ:忽然と姿を消した16歳の女子高生マーゴット。行方不明事件として捜査が始まる。家出なのか、誘拐なのかわからないまま37時間が経過。娘の無事を信じる父デビッドは、彼女のPCにログインしSNSにアクセスを試みる。インスタグラム、フェイスブック、ツイッター…。そこに映し出されたのは、いつも明るく活発だったはずのマーゴットとはまるで別人の、自分の知らない娘の姿があった。(search公式HPより)

 予告でもある通り、この映画の一番のポイントは“全編PC画面”から構成されていることとだよ。公式HPでも謳っている『全く新しい映像体験』と言えるこの手法と、巧みなストーリーテリングによって、この映画はサンダンス映画祭2018年で観客賞を受賞したんだ。

 “全編PC画面”がもたらす一番の効果は「没入感!」だよ。娘の失踪をSNSを駆使することで紐解いていくこの感覚は、視聴者に「あぁ、実際にこのようなことが起こったら、自分だったらこうPC操作をするなー!」っていう感情を起こさせるんだ。そしてそれは、むしろ俳優を第三者の視点(カメラ視点)で見るよりも、馴染みのあるPC画面を通して見たほうがグッと感情移入できるよ。そう考えると、サスペンス映画とPC画面手法は相性がいいと考えられるんだ。

「オッサンのしかめっ面」だけかと思いきや、画が飽きない

 先の予告を見たときに「つまらないんじゃないか」と少し不安になった人がいたんじゃないかな。それは恐らく“全編PC画面”がもたらす『画が変わらない』ことへの不安だと思うんだ。(しかもそれは、しかめっ面のオッサンの顔を102分見るハメになるんではないかという不安。笑) 結論から言うと、画は飽きない作りになっているよ。

 この映画は、ただPCの全画面を映すだけのことは極力しないように努められてるんだ。むしろ、全画面表示だと文字とかが見づらいから、文字入力をするときや、人の表情がよく分かるようにライブチャット画面のときとかは、切りとった見せ方をするのが特徴だ。この見せ方は、もはやカメラワークという芸当にまでなっているから、クドイと想うことがあっても、『画に飽きる』ということはなさそうだよ。

PC画面だけで年代(時間経過)が分かる

 次に注目したいのが、ストーリーだ。言ってしまえばこの映画は「娘の失踪を解決する為に、お父さんが頑張る映画」だよ。この普遍的な父の愛を物語るのにも、実は“全編PC画面”がうまく活きているんだ。それは『PC画面を見ているだけで、年代(時間経過)が分かる』ところだよ。

 映画の始まりは家族の共有PCから始まるんだけど、おそらくWindowsXPあたりのクラシックな画面の初期画面から始まり、家族の写真やビデオがどんどん保存されていく描写が続くんだ。昔の画質の低い頃のデジカメで撮られた娘は幼く、それを開くのにも処理時間がかかるPC操作から、「あぁあの頃のPCだなぁ」と年代がスッと理解できる感じは、むしろこの手法だからスマートに演出できていると言えるよ。

 時間が経って、PC画面にMacintoshが加わり、「見慣れた画面になったなぁ」と思ったときにはSNSが浸透していて、娘は高校生になっている。この描写にある「普段のメールのやり取り」や「地層のように溜まった写真データの一覧」は、時間経過とそれに伴う親と子の普遍的な(そして身近な)愛を演出するんだ。

普遍的なテーマだからハラハラする

 こんな描写があった後に、娘が失踪する。もし君がお父さんだとしたら、どうするだろうかな。多分、ネットでいろいろ調べるんじゃないかな。もしかしたら、解決の糸口を探そうとして、娘のSNSで友人関係を調べたりするかもしれない。

 主人公である父:デビッド(ジョン・チョー)もそうやって調べていくんだけど、そうして調べていくうちに、「あれ、もしや!?」「いや、まさか!」ってことが繰り広げられるんだ。これは是非とも映画館で観てほしいな。普段使っているPCをイメージして、『自分が父だとしたら』と考えて観てみよう。ハラハラは止まらないし、次から次へと出てくる新たな事実に飲みこまれていくと思うー。

本作が映画デビューとなる若手監督アニーシュ・チャガンティはセンスがいい!

 本作で監督を務めたアニーシュ・チャガンティは、本作が劇場用映画の初監督とする弱冠27歳の青年だよ。(年下だー!ウキー!)

 彼が初めて注目されたのは、23歳のときにGoogle Glassだけで撮影した2分半の短編映画「Seeds」という作品だよ。スゴイよ。既にセンスを持ち合わせていることが見受けられるよ。

 この動画の何がスゴイって、Google Glass ×旅 × 家族愛 の相性が良いってことを見出したセンスだ。

 この作品はYoutubeで24時間で100万回以上再生されて、この成功から彼はGoogleのCMに関わる仕事に就くことになったんだ。今回の映画「Search」も、“全編PC画面”×サスペンスの相性の良さに気づくセンスに脱帽だね。

【所感】正直期待していなかったけど、良かったー!

 実は映画「search」を観ることにしたのは、noteの合同マガジン「日刊かきあつめ」に書く題材として公開時期が良かっただけだったんだ。

 しかも正直言うと、主演のジョン・チョーなんてスタートレックの4人目ぐらいでしか知らないし、監督は聞いたことないし、”全編PC画面”とか意味不明だし、低予算映画っぽいし、不安だなーって思って観始めたんだよね。結果は上記の通りだけど、まんまと没入してしまったよ。(後々レビューを書くことを考えて冷静に観るつもりだったけど、思い返すのが大変なくらい入り込んでしまったよ。)ああー、ホント楽しんだー。

 映画「search」を気になってくれた君は、是非映画館で“全編PC画面”×サスペンス がもたらす没入感を楽しんでみてー!

記事:アカ ヨシロウ
編集:円(えん)

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