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電脳化は近いか!?食事をデータ化して旨味や食感をオンライン会食で楽しめ!!

君は『オプトジェネティクス』という言葉を知っているだろうか。漢字にすると「光遺伝学」という言葉なのだが、神経科学の分野で今流行りの単語らしい。こーいうときは専門書よりウィキペディア先生のほうが分かりやすい説明をしているので、参照させてもらおう。

光遺伝学(optogenetics)とは、光でタンパク質を制御する手法の総称である。光学と遺伝学を融合した研究分野であり、特に神経回路機能を調べるために発展している。脳神経系における情報処理を理解するため、哺乳類やその他の動物においてin vivoでのミリ秒単位の時間的精度をもった制御を特徴とする。(Wikipediaより

・・・これでもさっぱりなのだが、要するに「光を当てると脳神経が反応するよ」ってことだ。私がこの単語を知ったのは、6月26日にNature Communications誌で公開された「神経細胞を光によって操作し、サルの手を動かすことに成功」という東北大学などによる研究報告からだった。

頭部に光を当てて、猿の腕を動かせ!!

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(画像:日本医療研究開発機構HPより)

うおおおい、マジか! てっきり電脳化は脳味噌に電極を刺さないといけないと思ってたら、頭に光を照射するだけで電気信号を送ることができるとは!!しかもサルで結果出しちゃってる。調べてみるとこれまで眼球の動きに関して研究結果があるぐらいで、霊長類でここまでの結果を出したのは画期的らしい。

へええ~、まぁ確かに電極刺すより安全だし、思ったより狭い範囲で反応させることができるから、アリなのかもしれないな~。表皮でなく深層部に刺激を届けるためには波長を変えたりするのかな~。ふむふむ、オプトジェネティクスという研究自体がここ15年くらいで発展してきた分野なんだな~。

なんてことを調べていたら、「ん?これも凄いな」という研究結果が出てきた。理化学研究所が6月26日に発表した『生物個体中成分の組成・物性・位置を非破壊計測-食品の部位ごとの食感・呈味評価への応用が期待-』というプレスリリースである。

食べずに味を確かめることができる!!?MRI法を用いた食材のデータ化とは

この研究を説明すると、スジエビを核磁気共鳴画像(MRI)法ってのを使って分析したら、アミノ酸や脂質の分布(深度)から旨味だけでなく硬さまで分かったという内容だ。もっとざっくりいうと「MRI法を使うと食材の味や食感が測定できるよ」って研究結果だ。

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(画像:理化学研究所HPより)

へええ~、なるほどな。この方法を使うことによって野菜などの旬や産地による違いを数値化したり、発酵具合を可視化したりできるんだなぁ。農業や食品産業など、活用できる分野は結構多いのかもしれないなぁ~。

んー。。けどまぁ、「アミノ酸の分布から旨味を測定する」ことはできるのかもだけど、「硬度から食感を割り出す」って。。食感なんて特に感覚に基づくものだから、数値化することにどれだけの意味があるのかなぁ~。食感を定量化するなんて、無理だろう~~。

なんて思っていたら、「あっ!あった!!!」 東京電機大が6月9日に人工知能学会で発表した『ポテトチップスの「食感」をAIが数値化』という研究だ。

君は食感だけで「おっとっと」の形状を当てれるか!?ふっふっふ、機械にはできるのだよ。

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(画像:ニュースイッチより)

じつはこの研究、仕事の関係でリアルタイムに論文発表を聞いたのだが、なんと言っていいか。。執念に近い感覚を覚えた研究内容だった。笑

この研究タイトルから「複数タイプのポテトチップスを圧縮器で潰して抵抗値をデータ化してみました」みたいな内容なのかな~と思いきや、最後には「潰しきるまでの抵抗値をAIに学習させ、その時系列データから『おっとっとの形状』を予測する」というなんとも無茶なことをやっているのだ。(しかもそれなりな結果を出しているという。。)

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(画像:人工知能学会HPより)

ちょっとイメージして欲しい。君が目隠しをした状態で口におっとっとを投げ込まれ、「舌で形状をなぞらず、食感だけで形を予想しろ」と言われるのだ。この、毎日食べている人でも困難であろう問題を、AIがそれなりに分布で出せているのは実に考え深い研究である。人間でしか分からないと思えてた「感覚」に近い分野も、AIは人間以上に細分化したデータに落とし込むことができるのだ。

バーチャル空間でのオンライン会食の日は近いか!?

や~~、実は今回のかきあつめのテーマは『オンライン〇〇』なのだが、調べてみるとこうも電脳化の可能性が高いとは思わなかった。できること・できないことはまだまだ多そうだが、脳を取り出して液体のプールに浮かべ、電極をとおして電気信号を送るのは、もう「古いSF感」なのかもしれない。未来の電脳化はもっと安全だし、数年後のSFは違った世界観になっているのだろう。

そして、もしかしたらあと半世紀もしないうちに「料理の味や食感をデータ化して脳に直接送り込む」ことも可能かもしれないと思うのは、筆者だけであろうか。全ては今日紹介した研究の延長線上にある。脳の味覚野を刺激する研究と、料理のデータ化の技術と、データと感覚を紐付ける研究さえ進めば、ほら!できそうじゃないか!?

10年前まで完全なSFと思えてきたものが、そう遠くない未来な気がしてくる。世界の超高級料理を脳内でバーチャルに楽しむ「オンライン会食」なるものが、老後の余生の生きがいになるかもしれない。

ううーむ、実に楽しみだ。引き続き、今後の研究を追っていこう。

記事:アカ ヨシロウ
編集:otaki 
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