素敵な舞台の話
ストスパ4th「エゴイズムでつくる本当の弟」観劇しました。
ストーリーもお芝居も照明も音楽もセットも客席の雰囲気もとっても好みで、いままで見てきた舞台の中でも上位の好きな舞台でした。
なので、感想を、残します。
先ほど千秋楽を迎えた当公演ですが、アーカイブ配信がありますので、ぜひ。
ストーリーのこと
事実は小説より奇なり…?
主宰で作演の白鳥さんのほぼノンフィクション舞台。
いったいどれだけの覚悟を持って、この人生を「笑い」に、「舞台」に昇華させたのか、想像もできない。
「エゴイズム」
私たちは「私」でしかないから、「私以外」の存在も「私」に依存する。
物語の世界において、それはすべて「筆者」に依存する。
主人公が「私」であり「筆者」である以上、「エゴイズム」でつくるというところに善悪の判断の介入する余地はなく、むしろ、だからこそ現実と虚構のコントラストが生まれる。
3人のユウスケ
主宰で作演出の白鳥”ユウスケ”さんと、作中に登場する2人の青嶋”ユウスケ”さん。3人の”ユウスケ”による、現実と虚構、思考と心情が絡み合うカラクリが最低限の説明でしっかり伝わってきた。
キャラクターのこと
第一印象
実は初稿の台本を読ませていただいていた。その時の第一印象のメモが残っていたのでここで供養。
ミツオ:まっすぐ過ぎて不器用
ユウスケ:”ステレオタイプ”な自分を生きたい
渦中の複雑さに心乱される
セツコ:”誰かのため”に生きられる
ダイスケ:長男っぽい(しっかりしなきゃ)
タマコ:家族への、”ステレオタイプ”ではない憧れ
チエ:壊れるのが怖くて壊そうとしてしまう
シゲオ:生きるのが下手なまま大人になった
ケンスケ:自分の足で立って生きる
夢子:ミツオの生き方に近い
初稿から脚本も変わって、そこに役者さんの解釈や個性が入っているので、いま見返すと、実際に観た印象とはかなり違う箇所も多い。
役に馴染む、ということ
本番のキャラクターの印象としては、それぞれの役者さんの個性や感性が繊細に役に乗っているように見えた。
「役をつくる」って、こういうことなのか、と感動。
ミツオの、繊細で儚い雰囲気と同時に感じる、なにか強い意志のようなもの。
ふたりのユウスケの、明るく笑顔で素直な感性と、「うまく生きる」ためにそれらを抑圧した笑顔を見せるイイ子。
セツコの、芯の強さとすべてを包み込む愛の深さ。
ダイスケの、諦めにも似た複雑な感情。
タマコの、「受け入れる」という愛。
チエの、不器用さと、愛に飢えているが故の愛嬌。
シゲオの、それ以外の生き方を知らないかなしさ。
ケンスケの、自分を信じる力強さとそれ以外を受け入れない生き方。
夢子の、視線や行動からあふれる想い。
その役者さんだからできる、その役が、物語を紡いでいた。
舞台全般のこと
スッと入ってくる愛
脚本を書かれた白鳥さんの、家族への愛に満ちた言葉たち。
それらすべても「エゴイズム」というフィルターを通しているかもしれないけれど、心のどこかで持っている感情だから出てくる言葉たちなのではと、勝手に想像。
最後のセリフ
「まぁ」
って一言で終わる潔さ。
私はこの終わり方が大好き。
ユウスケの、本音が、きっとここから紡がれていくんだ。
舞台セット
3本の柱が支える舞台セットは、まるで青嶋家のようで。
照明
場転や心情に寄り添った照明の変化で、より物語がドラマチックになって、かつその照明が優しい光だから、家庭の柔らかさもよく表現していた。
客席も明るめで、途中で完全に客電が点くというところにも意図が張り巡らされているように感じた。
音楽
サントラほしい。
素敵な作品に出逢えた。
それがなによりうれしい。
いつか一緒にお仕事を…できれば私も演者としてご一緒したい。
なんて、遠い遠い道のりの目標がまたひとつ。
本日全公演終演していますが、アーカイブ配信は8/20まで!
ぜひ観てほしい。私のおすすめ。
わたしも、また一歩ずつがんばってみます。
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