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山脇百合子さんへの感謝 絵本『ぐりとぐら』『いやいやえん』

山脇百合子さんがお亡くなりになったというニュースが入りました。

まず思い出されるのは、もちろん、ぐりとぐら。
『ぐりとぐら』
なかがわ りえこ作 おおむら ゆりこ絵
出版社 福音館書店

『いないいないばあ』に次ぐ、ベストセラー絵本。
発行部数、500万部超。

ネット上でこんな記載を見つけました。

1963年に発表された「ぐりとぐら」シリーズを長年手がけている出版社、福音館書店で山脇さんを担当していたという関根里江さんは「ぐりとぐら」の誕生の秘密を教えてくれました。

「“ねずみをちゃんと知らないといけない”と国立科学博物館までねずみの標本を見に行かれたんです。たくさんの標本のなかからオレンジ色のねずみを見つけて“これにするわ!”と丁寧にスケッチしていました。本物を1つ1つ見て、徐々にシンプルな形に試行錯誤されたものが、“ぐりとぐら”になっています」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221007/amp/k10013852031000.html

そこでまた思い出されたのが、
中川李枝子さんが書かれていた、
『いやいやえん』の誕生エピソード。

『いやいやえん』は、2人のデビュー作。

『いやいやえん』
中川李枝子 作 大村百合子 絵
出版社 福音館書店

後に中川さんがこんなことを書かれています。

挿絵も描こうと思ったけれど、すでに精も根も尽き果ててしまって。どうしようかと思案していると、子ども部屋で机を並べている妹の百合子が絵を描いていました。百合子は六歳下で、このとき高校生。「挿絵を描いてくれない?」と言ったら、生意気にも「面白かったらね」という返事。百合子は絵も好きですが、私以上に本が好き。私はご承知のようにくだらないものもたくさん読んでから岩波少年文庫にたどり着いたけれど、百合子は物心ついたときから岩波少年文庫。よいものばかり読んで育っている、純粋培養なんです。  原稿を読んだ百合子は「面白いから描くわ」と言ってくれました。こちらから注文は全然しなかった。私は常に低姿勢で「描いていただけるでしょうか。何とぞよろしく」という感じだったし。
『中川李枝子 本と子どもが教えてくれたこと』 中川李枝子著
株式会社平凡社 

当時、百合子さんは高校3年生。
中川李枝子さん以上に「純粋培養」。良書をたくさん読んで育たれたことが、
中川さんの著書たちの中に度々登場します。

そのあと百合子さんは、モデルとなる男の子(中川さん勤務のみどり保育園のお子さん)のお母さんにお願いして、
その子に一泊してもらって、つきっきりでデッサン!!!
(別の本に書いていましたが、確かチョコレート1枚の対価で。)

百合子さんの、文学に対する、絵本に対する情熱というか責任というか、そういうものが深く感じられるエピソードだなと思います。

だからかな。
百合子さんの絵はイキイキとしていて、
それでいて優しさに溢れている。

私は昔から中川李枝子さんが大好き。と思っていたけれど、
思えば、大好きな作品たちは全て山脇百合子さんが絵を描かれているもの。

*****

訃報を知った日に、ぐりとぐらを読もうとすると。
4歳長男「どうしてこれよむの?」
私「これのな、絵を描いた人が死んじゃったって。」

長男「だからよむの?」
私「うん、ありがとうって思って。」

長男「そっか。しんじゃったの、かわいそうだね。」

そう言いながらも、(元々絵本好きな子なので)楽しそうに聞いていました。

中川李枝子さん・山脇百合子さん姉妹の手がけた絵本が、
どれほどの子どもの、そして子どもに関わる大人たちの、
心を豊かにしてきたことだろう。

素晴らしい絵本を残してくださった山脇百合子さんへ、心から感謝いたします◎

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