がんばれ日本の社会人。組織環境よくしたいけど、折れそうな誰かへの、16のエール
この記事は、『アカツキ人事がハートドリブンに書く Advent Calendar 2020』 の 5日目の記事です。 前回はHeartful 小能さんの、「【考え方・プロセス編】とあるエンタメ企業のカルチャー推進担当の実践メモ」でした。※2日連続です
人事広報部・HEARTFULチームのリーダーをしています小能(おのう)と申します。アカツキという、ゲームやIPを軸にエンタメをプロデュースしていく創業10年のベンチャー企業で、文化づくりや社内コミュニケーションにまつわる仕事をかれこれ5年ほど行っています。中でも直近3年は「文化づくり」の色が強いです。
また、Zappos社の文化づくりから始まり、世界的ムーブメントを起こしているコーチサルティングファーム「Deliverling Happiness」の活動も、日本で6人いる公認コーチサルタントの一人として関わらせていただいてます。
※11月の創業者トニー・シェイ氏の訃報は衝撃でした。メンバーが悲しみにつつまれつつも、讃え、セレブレーションする動きが起きています。冥福をお祈りするとともに、はるか日本まで、エッセンスを届けてくれた功績に感謝いたします。
前回は、考え方編として、5年間を通じて、カルチャー推進の仕事をどのように見立てているかを書き記しました。
今回は心得・実践編ということで、より具体的なTIPsに近いところで、数年間実践した上で大切にしていることをメモ書きにしてみました。
僕は、全社の文化・風土を良くする、あるいはチームの文化・風土を良くしようとする人が何人いるかが、2-3年後をみた最大の資産だと思ってます。
組織は改善しようとする人が歩み続ける限り、腐らない。でも、頑張ろうとするほど、折れそうになっている人を何人も見てきました。(何より僕が、例にもれず、そうです笑)
カルチャー推進/チーム内コミュニケーション/エンゲージメント向上の仕事をするようになった。自分の会社やチームをより素敵な文化あふれる環境にしたいけど、何から初めたらいいかわからない。実際仕事はじめたけど、人と人の間にたって、空まわりしたり、うまくいかなかったりで、はやくも心折れそう。
そんな方への16のエールです。さらっとでもいいので、読んでいただけると、そして一つでも響くものがあると嬉しいです。
1.経営者(orリーダー)のことをよく知ろう
カルチャー推進・社内コミュニケーションの仕事は、見方をかえると、トップの願いが息づくようサポートをする仕事。リーダーが創りたいチームのカルチャーの背景にどんな体験があって、心底何を願っているのか、知りつくそう。
過去の記事を読み漁る。最近影響を受けた本を知る。開かれた場があれば参加する。社内の発言の意図を聞く。
多くのリーダーは日進月歩で進化し続けています。弊社の場合は、前CEOの塩田も、現CEOの香田も、非常に多くのものに触れ、自身をアップデートし、統合的に物事を考え続けています。
何を願い、実現したいと思っているのか。1を言ったら10理解できないまでも、5-7は理解できるよう、努めよう。リーダーの考えの理解は自分の行動に自信確信をもたらしてくれるはず。
2.事業を、仕事をよく知ろう
経営者を理解し、文化づくり、組織づくりに造詣が深くなったとしても、それだけでは片手落ち。
自分たちの手掛ける事業について、仕事内容について深く知る。新しいサービスが生まれたら触ってみる、ユーザーは何に価値を感じているのか。どのような考え方で作られているのか。社内にどんな強みがあるから実現できているのか。その強みはどうやって形成されてきたのか。次の課題は何なのか。
実際にユーザー体験し、質問し、現場メンバーに近いレベルで詳しい人を目指そう。
3.決めるのはトップでも、双方向な仕組みを入れよう
双方向なSTEPをいれよう。
文化デザインは最終的に決めるのは経営陣かもしれない。だけど、いつの間にか決まったものを共有するだけでは腹落ちできない。
2014年にアカツキに入社してから、本当上手だなと思ったのがこれ。中長期目標を発表するときも「いったん中身を発表」→「みんなでコードネーム考えよう」→「正式発表(中身も少しアップデート)」ということを繰り返してた。
一度決定前のものを共有する。皆で意見を交える場を設け、また最後に完成されたものとしてシェアする。
すると、自分で選び、組み立てた家具のような愛着が生まれるはず。
自分ごと化するためにも、プロセスを大事にしよう。
4.企業人である前に、一人の人間であることを忘れない
心が求めていないものを一生懸命やるのは、そもそも心身によくない。長続きしない。
「自分の人生にプラスになる、意味がある」と思えるものは、人は喜んで選択して行動していく。自分の人生と、企業ミッションと、日々の行動に一貫性がもてるデザインを心がける。
5.文化と事業と人生の一石三鳥を狙う
バリューやクレドなどの文化の楔をもっと活用してほしい。そう願うなら、それらを大事にして意思決定・行動すると、事業にとってどういいのか、人生にとってどういいのかが、腹落ちする機会が大事。
企業文化が強くなればなるほど、事業成功への強みが強化されるし、人生の幸せもより高次なものになっていく。才能溢れる人はどこでも働ける昨今、そんなWIN-WIN-WINな状態が、持続可能な唯一の解ともいえるのでは。
自分の人生をよくしていく追求をしていたら、企業も一緒に成長している。その両立が当たり前に考えられるプラットフォームを目指そう
小実験をしたたかに繰り返し、よい成果が見えたら共有を繰り返そう。
6.変わりたくないのではない、変えられたくないのである
学習する組織「ピーター・センゲ」博士の言葉。「何か変えたい」という意図が施策からにじみ出たときに、人は抵抗感を飲み込みながら参加せざるを得なくなる。
原則全員参加施策は、この抵抗感とカニバることが多い。できるなら任意参加・希望参加が効果的である。
オンライン化したけど、不満率2%しかなかった2020年3月の全社合宿。(350人参加でこの水準は過去最高クラス)
原則全員参加の午前パートのときに、CEOの香田が、「アカツキのみんなはそもそも素晴らしいから、変化を与える必要がない。みんながじっくり考えて潜れるよう場を委ねようと思う」という発言のもと午前パートを作り込んでいたのは、まさにそのトレードオフを超える瞬間だったように思う。
7.WEを語る前に、まずはMEに向き合う
蓋のされた容器に、水は注げない。
企業やチームの価値観を大事にしてほしいと願うのであれば、一度、個人の価値観や実現したいことに向き合う時間をつくる。すると、自分の大切にしたいことが浮かび上がる。その中に、企業と握手できるものが自然に見つかってくる。
その人らしさ(ME)を追求したその先に、私達らしさ(WE)が、浸透しはじめる。
8.プラスの実感が得られる場をつくろう
人は、意味がないと思うものは採択しない。
それを扱う意味があると、実際にfeelできる瞬間が大事。効果があるものだという体感値と、理論上の納得性が両方そろったときに、まわりはじめる。
体感値がないのに、理論だけを語っていても「何か高尚なことをいっているな」以上にはなりにくい。(例外は、ある)
だからこそ、体温が上昇したり、はっと気づきがあったり、進歩の感覚だったりを感じられる、プラス実感ができる体験を作り出せるかが、文化醸成を図る上では重要となる。
feelできる瞬間をデザインする。理論的背景も添える。頭での理解と、心の感覚。この両方が備わった上で、わかちあいの場を耕す。
この3点セットが、文化のはずみ車を具体的に回り始めやすくする基本仕掛け(と思ってます)
9.「与えられる満足感」と「発揮する充足感」
企業が従業員に用意する福利厚生は魅力的。魅力的だからこそ、その会社に長く居る理由にもなる。ただ「与えられる満足」だけを提供していても、根本的に前進はしていかない。
自分の持ち味を十全に発揮する感覚、意義深いものに向かっている感覚、自分の成長を感じられる感覚など「充足感」をどれだけ感じられているか、にも意識をして設計をしていく。
(アリストテレスは、幸福3要素をヘドニア(快楽)フロー(没頭)ユーダイモニア(充足)と言っています)
だからこそ、時折、目の前の業務が、何につながっているのかをじっくり感じたり、語り、向き合ってみる時間をとる。
自分たちが生み出したものを見える化し、感じられるようなきっかけをつくる。
幸福の3属性を、うまく生かしていこう。
10.社内の場やメディア施策は、サービスを「開発」「運用」するように
全社員を一つの社会とみたてよう。仮に100人や1000人の世界で、働くみんなが生活者・顧客だったとしたら、その生活者に何を届けるのか、と考える。
2年かけて準備し、完全なプロダクトを売り出すよりは、webサービスやモバイルゲームのα版、β版を提供するように、MVP(ミニマムな価値を感じられるプロダクト)ができたらリリースし、UPDATEを重ねていこう。
コアな価値を感じられる最小限の機能でいいから、why、goalを伝えた上でリリースする。
どれくらいの人が使ってくれて、どんなプラスの価値が感じられるのか。働くひとりひとりが反応を届けてくれることがあります。それを拾って改善しよう。
11.初速・衰退をみて、チューニングする 。意見は即反映する。
意図をもって初めたとしても、大抵の施策は、衰退していく流れが基本と認識する。100人対象にやって初月は70人利用で好調だったとしても、翌月には50人、3ヶ月後には30人となる。そんな下りエスカレーターが基本。
リリース直後は、たくさんのインストールがあるが、アクティブユーザーが下がっていく流れは、まるでモバイルゲームのよう。
その中で神運営ができている場合には、右肩上がりに転じることがある。この30人が何を求めているのか、その価値をほりだして磨くと、40人50人と使ってくれる人が増えることがある。
ユーザーの声をもらい、大事だと思える貴重な声があがったら、仕掛けに即反映しよう。
12.早々に諦めない。一步踏み出す勇気で、未来は変わる。
満を持して何かをリリースしたとしても、数人しか反応してくれない事もある。リモートワーク下で一変する中、要望をもとに生まれた任意zoom朝会「#good morning」も、そうでした。
リモートワーク化で困りごとがある有志25名の悩みを聞いて、企画を出してみたけど、300名くらいをメイン対象にしたうち、反応は10名そこら。
ここで「ニーズがなかった」とへこむには少し早い。
全社告知→コミュニティ告知→DM
→直接説明をしていくと、初めは5%も反応なかったものが、60%くらいまで変わることもしばしば。
「誘われたので、やってきました」「素敵な場所があると聞いて」のオンパレード。気づけば180名くらいのコミュニティになりました。
リモートの断絶を感じる中、楽しい空気がそこにながれていたのは幸せな時間。それからゆるゆるとですが、半年以上続けている習慣になってます。
あと一步が、これからを変えることがある。「ニーズがない」と、諦めなくて本当によかった。
13.好きだからやっているコミュニティを目指せ
「社員だから、この社訓は守らなければ」その感覚は長くは続かない。
メッセージがMUSTにあふれていた場合、嫌な感覚とともに扱い続けることもしばしば。いつのまにか、嫌いなものを仕方なくやるという感覚になってしまうことがある。
「貢献できると嬉しい」その感覚は誰しもがもっていると信じる。その貢献欲を満たせているかを、心がけながら、巻き込みを行っていく。誇りをもって、好きだから磨いている状態を願い、活動する。
※メルカリのうえむーさんと、コミュニティマネジメントという切り口で対談させていただいた時の記事です
14.PECs(個人的な感情のつながり)を活かせ
Zappos社が、顧客満足を追求したときに、でてきた言葉。これは社内施策を生み出すときにも活かせる考え方です。
力説している人がいたとしても、個人的な感情的なつながりがあるとないとでは響き方が全然ちがう。
個人的な感情的なつながりがあったら、自身が何か滑っていることをしても、温かいフィードバックをくれる。個人的な、感情的なつながりがなかったら、「何か言っているいるな、違うんだよな・・」でおわる。
だからこそ、日常的なランチや何気ないお祝い、感謝など、オフのシーンで良い時間を一緒に共有できているかは、何事も代えがたい資産になってくる。
年1回の「お誕生日おめでとう」がどれだけ嬉しいかを、人は知っている。
15.型と血で、カタチになる
納得してほしいときは、どういう考え方で設計したのかを伝え、ディスカッションする。ところが、課題解決アプローチで取り組むと、一面的には解決してもまた別の問題をはらむことがある。
そんな状況では、「解決」ではなく「適応」していくことが必要なシーンになる。思いが、状況を動かすこともある。
自分がどんな思いをもっているのか、どんな世界を願っているのか、どれだけ真剣に向き合っているのか、何に不安を思っているのか。思い切ってシェアすると、受け入れてくれて握手できる人が増えてくる。
2018年初頭。「僕が怯えていること」についてプレゼンしたところ、共感してくれ、DMもたくさん。あるいはランチ・夕食にいきたいといってくれる人が続出しました。
その方々中心に、今でもそっと背中を応援してくれている気がします。
ただしいフォームを日々習得しながらも、自分なりの血をたぎらせて取り組もう。
元・人事企画室長の坪谷さんの受け売りですが、「型」と「血」でカタチになる。これはとても大事な考え方です。
ユニリーバさん、Crazy さんと共催の「Emotion Buziness Summit!」で、ここの経緯についてお話させてもらいましたこともあります
16.経営と現場のはざまで、自分なりの魂をこめよう
経営の中長期テーマに沿って考えていたら、必ずしも現場の今のニーズを捉えきれないこともある。経営課題だけを推進する企業の犬みたいにみえたら、メンバーも、あんまり握手しようとは思わないことも。
一方、現場から見える具体的なニーズだけを見つめていても、5年後に積み上げるべきものが十分にあるとは限らない。
まるで中間管理職のような悩みです。「その中で、自分に何ができるか、何がしたいのかを考える。
「同じプラットフォームで働く人同士、自分の意志ですすめる」という心持ちを宿して動くのが大事。
何か施策を打ち出したり、改善をしようとするときは、必ずしもその活動にメリットを得られない人も出てくるけど、自分がどう考え誰に何を届けるのかを伝えた上で、アウトプットにも魂を込める。担当の思いが感じられるようになってきたら、一人、二人と、応援者が増えてきいます。
前に進み続ける姿勢さえあれば、少しずつだけど、きっと応援してくれる。みんな、よりより環境で働きたいと思っている。
だから臆せず、思いを込めて取り組みましょう。全ては小実験という感覚で、小さな失敗を資産に変えて積み上げていきましょう。
最後に
以上、少し前の僕へのエールとして16の実践上の心得を書き出させていただきました。実体験ベースではありますが、主観も多い記事ですみません。
ですが小さな失敗のたびにフィードバックをもらって、何かいい考え方ないかなと探し歩き、いろんな方からいろんな金言をもらってきた結果、自分に残っている主観メモです。
組織を良くしようと願う人へ、何か一つでも、誰かの支えになる考えになると嬉しいな。がんばれニッポン。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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【 クリスマス限定 】株式会社アカツキの人事広報部に所属するメンバーが、ハートドリブン&思いのままに綴った記事を毎日リレー形式で連載しています。
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