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小説『明鏡の惑い』第十九章「荒涼楽土」紹介文
合唱コンクールでの大勝利は、思いがけない惨劇を留夏子の家庭にもたらした。
悲しみと怒りのなかで留夏子は、ふるさとを覆う荒涼たるものの正体を突き止めようと決意する。
留夏子の石碑めぐりに付き添う悠太郎は、祖父の千代次から授けられた漢字の知識で留夏子を補佐する。
軍馬育成の吾妻牧場の顛末、六里ヶ原学芸村の由来、そして満蒙開拓団の血塗られた記憶――。
幼い頃には理解できなかったそれらの碑文を、ふたりは読み解いてゆく。
晩秋の烈風のなかで、ふたりの向学の意気は火と燃えるのであった。