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どうして古文を勉強するのか【短編小説#26】

生徒A「先生、古文なんて学んで、将来何の役に立つんですか?」

待ってましたと言わんばかりに質問に質問を重ねてみる。

先生「では、君は将来役に立つことしか、価値がないと思うのか?将来、プロの演奏者にならないのに、吹奏楽部に入ってるのはなぜだ?一生続ける訳でもないのに。」

生徒A 「吹奏楽は一生、趣味として楽しめます!」

先生「じゃあ、古文も趣味として楽しむ可能性があるだろう。」

生徒A「絶対にないです!休みの日に古文なんて読む人の気が知れません。」

先生「絶対かどうかは分からないだろう。大人になって嗜好が変化することなんてザラにある。柿の種なんて、子供の頃はお柿の方が好きだったのに気がつけばピーナッツの方が好きになっている。人生そんなもんだ。」

生徒B「でも、先生も学生の時は、なんで古文なんか勉強するんだろうって思ってませんでした?」

先生「それは思ってた。」

生徒B「ほら、やっぱりそうじゃん。」

先生「でも今は違う。それに役に立つことしかやっていない人間で面白い人を見た試しがない。どうでも良いことやくだらないこと、一見役に立たないように見えることに全力な人間は面白い。大人になって、働いて飲み会に行ってるだけの大人よりも、働いて、百人一首やってる大人の方が面白そうだろう。」

生徒C「全然面白そうじゃないです。」

先生「今の話、覚えておきなさい。10年後は多分、みんな百人一首やっている大人の方が面白いと思っているから!」

10年後-------------------------------------------------------

生徒C「百人一首は流石に面白くないよね。」

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