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みくさんの好きなところ【短編小説#21】

「たかひろさんは、みくのどこが好きなの?」

「ちょっとお母さん、辞めてよ。恥ずかしいじゃん。」

「いいじゃない。お父さんも聞きたいよね?」

「少し恥ずかしい気もするが、お父さんも聞きたいな。」

「もーー。」

「みくさんのお父さん、お母さんの前でお話するのは大変にお恥ずかしいのですが、折角なので。

 まず、みくさんのよくしゃべる所が好きです。先日も楽しいことがあったと、会って早々会話をし始めてくれて、気がついたら10時間ぶっ通しで話してくれました。途中、お昼と夜ご飯を挟みましたが、その間もその楽しかったことを話し続けてくれました。帰りに家まで送り届けて、玄関の扉を閉じようとする瞬間もまだ話し続けようとしたので、遅くなるとよくないなと思い、話の途中でしたが、扉を閉めました。閉めた後も中から話し声がまだ聞こえてました。」

「本当に面白かったんだよねー。」

「次に不器用なところも愛くるしくて好きです。こないだは料理を作ると言って、はりきってくれたのですが、じゃがいもや、にんじんの皮がどこまでか分からなかったらしく、気がついたらピーラーで実まで全部むいていて、その内、自分が何をむいていたのか忘れてしまったらしく、まな板やキッチンの壁までピーラーで無理矢理むいていました。」

「結局、手作りは断念して、デリバリーを頼んだんだよねー。」

「あとは優先順位をつけれないところもお茶目です。全部の優先順位が高いので、こないだはどうしても全部やりたいと、夜にトイレに籠って、映画とYoutubeを見ながらケーキを食べて、且つ、友達とzoom飲み会をしながら、リビングにいる私に向かって大声で話しかけてくれました。」

「人生楽しんだもん勝ち!」

「最後に遅刻が多いのも、頑張って予定を調整して駆けつけてくれているのが伝わるので、大好きです。こないだは美術館でお昼に待ち合わせをしたのですが、来てくれたのが5日後のお昼でした。私もそろそろ帰ろうかなと思ったのですが、もしかすると駆けつけてくれているかもと思って、待っていたら、5分で着くと丁度LINEが来まして、それから2日待った後に、無事に来てくれました。」

「あの日はごめんねー。思ったより遅くなっちゃって。」

「長くなってしましましたが、以上がみくさんの好きなところです。伝わったでしょうか?」

「みくが十分愛されているのが伝わって、お母さんなんだか涙が出そうになったわ。ね?お父さん。」

「ああ、なんだか昔を思い出したよ。お母さんは16時間も話し続けたよね。」

「16時間じゃなく、18時間よ。あー思い出したらまた話したくなっちゃった。」

「えーお母さんのその時の話聞きたい!私も話しさせて!」

「よーし、今夜は長い夜になるぞーー!」

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