明石 白(歴史ライター)

日本史専門ライターです。noteでは日本の歴史に関連することもそれ以外も書いています。…

明石 白(歴史ライター)

日本史専門ライターです。noteでは日本の歴史に関連することもそれ以外も書いています。文調は、ニュートラル、シリアス、コミカルなどさまざまです。書くまでが長い人。方向音痴。よく寝ます。虫を見るのが好きですが、触れません。

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戦国時代の辞世を集め、心を込めて「戦国百人一首」を作る試み

辞世とは死にぎわに残す歌や詩のこと。 仕事で歴史上の有名人についての記事を書くとき、彼らの辞世に触れることがある。 和歌や俳句、漢詩などの専門家じゃなくても、辞世に込められた力に感じ入ったことはある。 それらは、生きるか死ぬかの戦場で戦う武将たちの歌であって、世に有名な『古今和歌集』とか『小倉百人一首』の和歌などと比べてつたなく、優美さなどからはかけ離れているものも多い。 だけど、辞世は普通の詩歌にない重みや緊張感に充ち満ちている。 考えて見れば、死に際の最後の作品だ。 最期

    • 『みんなが知りたい! 日本刀のすべて』重版出来!!

      ちょっと前に書かせていただいた日本刀の本なんですけど、重版かかりました! いや、ホントに。 実は、日本史専門ライターとなってたぶん5年ほど(いい加減)なのですが、未熟なあたしはこれまで「重版」とは縁がなくて。 こんなこともあるのですね。 編集者さんからご連絡をいただいたときには、「へ?」となりました。 まだ7月後半に出たばかりの本で重版かかるのは、ちょっと驚きです。 あまりに嬉しくて今日はnoteに自慢しに来たんですよ。 この本は、カラーだし、いちいちふりがな振ってるし、

      • 「光る君へ」うろ覚えレビュー《第33話:式部誕生》

        ■女子寮のような内裏での共同生活前回、まひろが内裏にやってきたとき、ボーリングのピンのトップのボジションで待ち受けていた女。女官のリーダーっぽい彼女は、宮の宣旨だと自分で名乗った。実在の人物である。 中宮彰子に仕えるにふさわしい教養に溢れた美女だったらしい。 ドラマではなかなかの貫禄で、まひろを「藤式部」と呼ぶことにしたと宣言した。 前回のドラマにおけるカメラワークでは、宮の宣旨が女番長みたいな存在感を醸し出していたが、実際はそこまで露骨な意地悪さは見られなかった。 まひろが

        • 「光る君へ」うろ覚えレビュー《第32話:誰がために書く》

          ■不快なり。藤原伊周&隆家Bro.一体どうしたことでしょう。 藤原定子はかわいそうな后であった。あたしがイメージしていた女性とは描かれ方が少し違っていたが、「一条天皇をたぶらかした女」のように扱われる今回の大河ドラマのストーリーは、ちょっとお気の毒な気がしている。 そして、定子亡き後の藤原伊周&隆家兄弟が最近大きな顔で内裏をウロウロしている。 まず、伊周は一条天皇のちからを借りて脩子内親王の裳着の儀式、そして公卿たちによる合同会議である陣定にも参加。もうちょっと素直にとい

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          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第30話+31話:つながる言の葉+月の下で》

          やはり、登場人物のセリフ(関西風変換つき)を追いながらレビューしてみる。 ■「10年の寿命と引き換えにしてええで」by 道長1004年(寛弘元年)の干ばつとはそれほどひどいものだったのか。 実際に道長が書いた『御堂関白記』には、安倍晴明が雨乞いをして実際に雨が降ったと記録に残っている。そういうところ、晴明はうまい陰陽師だ。 もちろん、道長は実際には 「自分の10年の寿命と引き換えにしてええで」 などとは言ってない。 こういうセリフが、今回のドラマにおける道長のいい人ぶりを

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第30話+31話:つながる言の葉+月の下で》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第27-29話:宿縁の命+一帝二后+母として》

          今回もドラマ中の名言的(?)セリフ(関西風変換つき)を切り口に始めよう。 ■「◯△✕■☆◆⬯(中国語)」by まひろ気分転換のために家のものを引き連れてまひろが石山寺詣を行うと、なんと藤原道長と再会した。 そのときにまひろが語った越前の紙についてのまひろのセリフが 「◯△✕■☆◆⬯(中国語)」 である。 これは、その後まひろが執筆する『源氏物語』を書く紙への伏線となる。 思い出話に花を咲かせた2人だったが、まひろは 「供の者と一緒やから戻らなあかんわ」 と言って道長と別れ

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第27-29話:宿縁の命+一帝二后+母として》

          7/22に発売になる「日本刀」の本です。

          今日はまたね、宣伝なんです。 数日後に迫った7月22日、メイツ出版さんの「まなぶっくシリーズ」のなかの1冊として日本刀の本が発売になります。 「みんなが知りたい!日本刀のすべて」 という本です。 「日本刀ってなぁに?」 という質問に全力で答えるべく制作された本です。 「まなぶっくシリーズ」の本である、ということで小学生の皆さんにも読んでもらえるようにすべての漢字にふりがなが振ってあります。 全ページカラーです。 美しい写真やイラストも豊富で見やすい、読みやすい本なんです。

          7/22に発売になる「日本刀」の本です。

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第26話:いけにえの姫》

          ■まずは状況確認史実と歴史ドラマとの違いに目くじらを立てるのは野暮だ。 ドラマはドラマとして楽しみ、一喜一憂すればよろしい。 史実や見解と相違するドラマの内容についてあげつらうことは、誰かの冗談を理解せずに本気で怒ってるみたいで虚しい。 史実とドラマの境界線をいい塩梅で味わうのが面白いじゃないですか。 だから、ここで 「今のところドラマではこういう設定・状況なんだね」 っていうのを一度確認しておきたい。 ①一条天皇は出家した中宮定子に首ったけ。天皇は政をおろそかにしてしまっ

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第26話:いけにえの姫》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第25話:決意》

          ■まひろが都へまひろが越前から都へ帰ることになった。 一人残しおく父親の藤原為時の国司ジョブについて一抹の不安が残る。 大丈夫なんですか。 25話では善政を施そうとする為時に対し、地元の民からは予想外の反応が返ってきた。4年で替わってしまう国司の束の間の善政に甘んじて、のちに地獄を見るよりも、ぎりぎり生きていける現状のラインを長く維持したいという民。 当時の租税システムは破綻寸前だったらしいが、これから為時はどのようにして任務を全うしていくのだろうか。 さて、都への旅の

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第25話:決意》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第24話:忘れえぬ人》

          ■カロリー高めな24話24話はなかなか内容が充実した回であった。 いろいろあるが、目立つ事柄をピックアップしてみた。 ・藤原宣孝のまひろへのプロポーズ ・周明のまさかの暴走 ・乙丸の中身 ・藤原伊周と隆家兄弟への恩赦 ・さわの死 ・一条天皇と定子の再会 封を切る前のマヨネーズのチューブのように、ドラマの中身は充実していて、ツヤツヤでパンパンだ。 まだ他にもあったかもしれないが、上記だけでも過剰カロリーだろう。 よい意味で。 ■宣孝という人物の器 越前にやってきた藤原宣孝に

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第24話:忘れえぬ人》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第23話:雪の舞うころ》

          ■リピート・アフター・ミー通詞の殺害事件については、周明が連れてきた証人の告白で謎が解けた。 なんだよぉ、周明日本語喋れるのかよぉ。 おかげでまひろといえば、すっかり周明と仲良くなっちゃって、宋語つまり中国語のお勉強に励む日々である。 父親の国司業務の手伝いはどうなっちゃったのか。 まひろの中国語の習得方法は、テキストブックもない状態でメモ一つ取らない。マンツーマンで教えてくれる周明の発音を真似て繰り返しながら言葉を覚えていくなんて、贅沢といえば贅沢な勉強方法だ。 外国語を

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第23話:雪の舞うころ》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第22話:越前の出会い》

          ■越前の出会いたしかに、22話のタイトル通り、越前へ到着した藤原為時と娘のまひろには、ここ越前でたくさんの出会いが待っていた。 実は最初からあたしは用心しようとは思っていた。 だって、まひろの父親の藤原為時は、学問はできるが、世間慣れしていないので、国司としての赴任先の大国・越前においては、かの藤原宣孝みたいにズケズケひょうひょうと世間を渡り歩いていけるような気がしなかったのだ。 越前は、中国語ができるだけでやり過ごせるような生易しい国ではない。 絶対トラブルに巻き込まれる

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第22話:越前の出会い》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第21話:旅立ち》

          ■伊周の悪あがき今回、中宮定子の兄・藤原伊周は滑稽なほどダメダメ男になってしまった。花山院へ矢を射掛ける重罪を犯した(正確には伊周本人がしたことではないが)罰として大宰府へと配流されることとなったが、逃げ回ってばかりだ。 まさか伊周がここまで情けない男に描かれるとは思ってもなかったが、ドラマ的には面白い。 逃げ切れないとみると、なんと弁慶みたいな格好して 「出家してもうて、配流先には行けまへんな」 などと子供だましなことを言い張ったところはびっくりだ。 検非違使別当の藤原実

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第21話:旅立ち》

          北畠親房の歌 戦国百人一首98

          南北朝時代に書かれた歴史書『神皇正統記』全3巻。 その著者が公卿の北畠親房(1293-1354)だ。 北畠氏は、村上源氏の子孫であり、公家の名門氏族である。 「大日本は神国なり」の書き出しで始まるその著書において、天津神たちが国を開いたとする伊勢神道的な歴史論を展開した親房には、歴史家としての顔があり、公卿という政治家としての顔もあった。 そしてさらに、それらの立場とも関係する別の顔がある。 1国に2人の天皇が同時に立ち、それぞれの朝廷が南北に分かれて存在した異常事態の南北

          北畠親房の歌 戦国百人一首98

          「光る君へ」溜まりに溜まったうろ覚えレビュー後半《第18話~20話》

          ■第18話:岐路ついにまひろの母の仇、藤原道兼が死んだ。 兄の道隆亡き後、関白となった道兼はたった7日間だけの政権の座につき、疫病のために命を落とした。 死の直前の道兼は、道長を右大臣に据え、 疫病で苦しむ庶民たちを救うための救小屋の整備、そして重税に苦しむ民のための減税なども約束した上、自分を疎んだ父・兼家にはもはや恨みもないとした。 こんなこと、まひろが知ったらなんと思うだろうか。 せっかく改心して善政を施そうとした道兼だったのに、疫病に罹患したのは因果応報なんだろうか

          「光る君へ」溜まりに溜まったうろ覚えレビュー後半《第18話~20話》

          「光る君へ」溜まりに溜まったうろ覚えレビュー前半《第15話~17話》

          ■第15話:おごれる者たち父親の兼家の後継者として摂政の地位を得ることもできず、妻にも子にも捨てられた藤原道兼。以前彼について行くと言っていた藤原公任の屋敷に居座り、酒浸りの生活を送っていた。以前も道兼はまひろの父親の藤原為時の家に急にやってきたりしたが、わりと相手の都合は考えないのだ。しかし、そんな情けない生活をしている道兼に弟の道長が救いの手を差し伸べる。 「この道長がお支えしますがな。」 また道長の株があがった。優等生すぎる。 一方、道兼の兄で一条天皇の摂政・藤原道隆

          「光る君へ」溜まりに溜まったうろ覚えレビュー前半《第15話~17話》