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《読書感想文》 江國香織さんの「いくつもの週末」を読んで。

 結婚制度なんてものは、国家戦略だと思う。ほら。年貢の取り立てには便利だし。人口把握にもとても便利だ。

 そもそも、生物学的に結婚は人間に合わない気もしている。一生ずっと同じ相手と? わからないじゃない。気持ちが変わるかもしれないし、生きるペースも変わるかもしれないし。おバカね。

 なにも、結婚という制限を設けなくとも、パートナーとして、いたい時期だけ一緒にいれば良いじゃない。生まれた子供は、社会全体で育てれば良いじゃない。もう、縄文時代のシステムで良いと思うけど?

 ってなことを結婚一年目に思った。

 それでも、結婚という制限のある生活には、それなりに不思議な真実か転がっていて、素敵な瞬間を味わうことはできる。制限があるから生まれる幸せがある。

 そういう幸せが、伸びやかにゆったりと、でも危うさをはらませて書いてあるとても素敵なエッセイだった。

 江國さんは、特に笑いを狙っているわけではないだろうけど、私は何度読んでも笑ってしまう。

 真剣に離婚を考えてみたり、家政婦にされた気がするから食事をわざと作らないでみたりする姿は可愛い。

 恋人同士というボートは、なかなかスムーズで楽しかったのに、結婚というボートは、不安定でどこに行くのかわからなくて。

 付き合っていた頃の大好きだという感情がどこかに行ってしまいそうで、不安なのに。やっぱり、彼がいると落ち着くけど、デートではなくて、生活になった今は、彼がいるからイライラすることも多くて。だけど、それは大好きだからイライラしちゃうこともあって。でも、お互いを知り尽くし、学習した今はもう、離れられそうもなくて……。そして、積み重ねた日々の生活は歴史になって……。

 私は、結婚ってまるで国作りだな、と思う。

 居心地の良い空間を、世界を、二人で作り上げる大仕事だ。だから二人の国と書いて、天国。ただし、地獄になりうる可能性大の。ははは。

 そんな結婚生活の日常に潜んでいる小さなバブルのような想いたち――すぐに出ては消えそうな想いを、丁寧に丁寧に書いてある。

 結婚というのは、不思議なものです。その不思議さや可笑しさが、まんま豊かに描かれているのが好き。私達は、日々、ストーリーの中をストーリーを作りながら生きているんだと思う。

 大好きなエッセイ♡




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