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スランプの怖さと豊かさ。おおがきなこさんへ

人生のスランプに陥ったことがある

取り戻せたか?と言えば
おそらくまだ、取り戻せていない
最初にくじけてからもう20年は経とうというのに

だからその一部を、ここ、noteで
『母というひと』という駄文にして
皆さんに読んでいただいているのだなと
ある人の作品で気付かされた


おおがきなこさん
『kinakonoe』
https://www.instagram.com/kinakonoe/

インスタでは、犬たちとの暮らしや
女性として生まれて女性として生きる日々の
ささやかな、でも些細ではない心の機微を
ふわりと優しく描いている

やさしい線と色使い
胸がぎゅっとするようなお話でも
読み終わればほっと温かな空気を感じるのは
ありのままの気持ちが伝わってくるから

そんなおおがきなこさんがスランプになったと言う

『初めてスランプになりました。』
http://e.matoi.main.jp/

それは、愛犬の死から始まったのだと彼女は分析する

死は、

怖い。

愛するものと
たった今この手を温めてくれていた愛するものと
その心臓が止まった瞬間に
二度と、心を通わせることができなくなる
あの笑顔を、声を、温もりを
二度と取り戻せないことに
まるでたった今初めて気づいたような
大きな、大きな衝撃を受ける

あの痛み
あの悲しみ
あの苦しさ

体験しないで済むなら避けたい
その瞬間を先送りできるのなら延ばしたい

この気持ちは、多くの安楽死への反対を呼び起こす
「別れたくない」というエゴのために
……この話はテーマが異なるので、また別の日に書こう……


おおがきなこさんは
その辛さを正面から受け止めたのだと思う

だから筆が止まったのだと
心が、少し、動きを休めたのだと思う


描く人、書く人は、筆を動かすことでエネルギータンクを満たす

スランプとは、そのエネルギータンクが空っぽになることだ

体も脳みそもご飯を食べれば自然と動く
だから何も問題なく生きていくことができる
でも筆を動かすことで満ちるエネルギータンクは
ちょっと別の次元にある

お腹が満ちても、満ちない
お化粧を頑張ってキレイに仕上げても、満ちない
美味しいスイーツを食べて写真を撮ってインスタに上げていいねをつけてもらっても、満ちない

作り出すことでしか満ちないタンクがある

それが空っぽになることは
作り手にとって恐ろしいこと
自我なのかスピリッツなのか、業(カルマ)なのか遺伝子なのか
自分でもよくコントロールできないところが、空っぽになるのだから。


でもこれは
雨がたくさんたくさん降って
一度足元がべしゃべしゃになった後に地面に全部染み込んで
土をかたく、硬く締めた結果。


その下には、たくさんの種が蒔かれている
「あれ面白かったな、あんなの描きたいな」の種
「あの話は腹が立ったな、自分ではどう表すかな」の種
「この瞬間!これだけは残しておきたい!」の種

静かに硬く締まった土の中で
そんな種たちがたくさん眠っている

ショックは、人を動かなくさせる
それが、スランプ
でも、ショックを受ける日までに生きてきた種が
感じた種が
思った、考えた種が
ちゃんとたくさん、眠っている

硬く締まった土を下から押し上げるには
力が要る

何もなくて幸せに、調子よく生きていた頃よりも
種の力が必要になる
だから、すぐには芽を出せない

その代わり
力を蓄えた種だけが土を破れる

それはきっと、豊かなこと。
力をつけた種にしかできないこと。


スランプは怖い
でもきっと、足元って近すぎて自分ではよく見えてないけど
その雨が、その痛みが
土を強く、種を強く、育ててくれているのだと思う

不幸を、不幸と泣くばかりでは土はいつまでもびしょびしょで
中の種が腐ってしまうから
立ち上がって、涙を拭く日が来る
涙を拭かないとならない日が来る

だから、泣くことを恐れないで
痛みを恐れないで
スランプを恐れないで、生きていこう

そう思わされた

そう思わされたのは

今日更新されたインスタを読んだから
https://www.instagram.com/p/BsqRVSzBi7j/

ここに抜粋して載せたい言葉がある
でも載せない

直接、訪問して
最初から読んで欲しいから
そうやって丁寧に読んでこそ
これを読んでくれたあなたにも、伝わるのだと信じるから

別れよりも
スランプよりも怖いのは
「出逢わないこと」

出会ったから生まれたたくさんの喜びを
固い土を破って出てきた強い芽が証明してくれる
芽を出すことができた時、やっと自分にも分かる

だからお別れしたたくさんの命
たくさんの出会い
たくさんの傷、を、胸に抱えて
「今日」を、また始めたい


おおがきなこさんへ
これをおおがさんが読むことはまず、ないと思いますが
勝手に名前を出して
勝手に励まされて
勝手にこんな文章にしてしまってすみません
溢れて仕方がなかったのです

読んでくださった皆さまに心から感謝を。 電子書籍「我が家のお墓」、Amazon等で発売中です! 知ってるようで情報が少ないお墓の選び方。親子で話し合うきっかけにどうぞ^^ ※当サイト内の文章・画像の無断転載はご遠慮します。引用する際には引用の要件を守って下さい。