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1.チック症・トゥレット症のリアル

1-1. チック症・トゥレット症をお持ちのご家族がいる方へ

 こんにちは。あかりと申します。このnoteでは、自身の経験から「チック症・トゥレット症をお持ちのご家族がいる方へ向けて」私たちが普段考えていることであったり、周りの人にしてほしいことや、してほしくないことについてまとめていきます。症状をお持ちのご家族が、と書いてはおりますが、ご家族に限らず、ご友人や、お仕事でお会いする方で、症状を持った人がいらっしゃるような方でも参考にしていただけることをまとめて参りますので、ぜひ読んでいただきたいです。

 1章では、主に私について語っています。私は自分語りが好きではありません。自己紹介とは往々にして、自分にとって都合のいいことの塊で、気味が悪いからです。それがマイナスなことであってもその本質は同じで、かわいそうな自分をどうか慰めてくださいといったにおいがプンプンし始めると体がかゆくなってきます。でも、今回はエゴに身を任せてキーボードをたたいてみようと思います。誰でも承認欲求があると認めることが、自分を捨てる悟りの道の始まりだと誰かが言っていました。

1-2.チック症って何?

チック症(Tourette症候群とも呼ばれます)は、神経系の発達障害の一種であり、特に身体的な動作や音声の発声において、一時的かつ無意識的に起こる短期的な症状を特徴とする疾患です。以下は、チック症についての要点です。

  1. 症状: チック症の主な症状は「チック」と呼ばれる、反復的な運動や音声の行動です。例えば、瞬き、頭を振る、鼻を鳴らすなどの身体的なチックや、咳払い、のどを鳴らすなどの音声的なチックがあります。これらの症状は突然現れ、一時的にコントロールできないことが特徴です。

  2. 発症時期: チック症は通常、幼少期に発症します。症状は初めは軽度であることが多く、時間の経過とともに悪化することもあります。しかし、多くの患者は成年になると症状が軽減することがあります。

  3. 関連症状: チック症は、しばしば他の症状や障害と共存することがあります。注意欠陥多動性障害(ADHD)や強迫性障害(OCD)などの神経症状と関連があることが報告されています。

  4. 治療: チック症の治療は、症状の重症度や患者の日常生活への影響に応じて異なります。行動療法や薬物療法が一般的に使用されます。特に、抗精神病薬や抗てんかん薬が症状の軽減に効果的であることがあります。

  5. 社会的な偏見: チック症の患者はしばしば社会的な偏見や誤解に直面します。正しい理解とサポートが重要であり、教育機関や職場、社会全体での意識向上が必要です。

チック症は個人差があり、一部の人々には症状が軽度であり、他の人々には症状が重度で日常生活に影響を及ぼすことがあります。診断と治療は個々の症状に合わせて行われ、早期介入が症状管理に役立つことがあります。

1-3. 自己紹介

名前:あかり
年齢:24歳
性別:女性
仕事:現在無職(数カ月前に退職後、職探し中)
趣味:どうでもいいことを言語化すること
病状:小学校3年生からチック症を発症。その後、症状は悪化し小学校5年生ごろにはトゥレット症に該当。現在も戦いは続いている。

 上記の通り、私は小学3年生から発症しました。

 私が最初に発症したのは小児性のもので、中学生の頃に症状は一時的に治(おさ)まりました。しかしながら、私の場合はすぐに再発、その後、徐々に悪化して行き、それは大人になっても続いています。

1-4. 医師の診断

 先ほどの自己紹介で、小学5年生ごろにトゥレット症に「該当」と記載したのは、私が医師からの診断を受けていないからです。いまから15年ほど前にはあまりこの病気が一般に認知されておらず、私の両親が病院に連れて行くのを嫌がったためです。そのため、私は自分が「本当に病気なのか」「病気だとしたらこの病気はいつ治るのか」ということに悩まされながら、少年時代を過ごしました。

 15年前とはいっても、ネットはありましたから、私の両親はチック症という言葉について認知はしていたようです。「絶対におかしいから、病院に連れて行ってくれ」と泣いて頼み込んだこともあります。しかしながら、なかなか得体のしれない病気ですし、精神科に子供を連れて行くのが嫌だったのでしょう。大人になった今なら、あの時代の大人たちが考えることが少しわかります。時代には抗えません。仕方のないことです。

 このnoteをご覧の方のほとんどは、お子様がチック症を発症し、はじめてこの病気と対峙している方なのではないかと予想しております。そして、大切なご家族に何が起きているのか、どう接していくのが正しいのか、どういう心構えを持つべきなのか、といったことを思っていらっしゃる、ご家族想いの優しい方々であることもまた、容易に想像できます。子供には、嫌な思いをしてほしくないというお気持ちもわかりますが、子供にとっては得体のしれないものに苦しみ続ける時間の方がずっと苦しいと思います。子供は自分で電車に乗って病院へはいけません。

 もし、まだ医師の診断を受けていないのであれば、皆様にはぜひ、お子様を病院に連れっていっていただきたいです。

1-5. 小中学校でのいじめ

 この病気について語られるとき、頻出のトピックは間違いなく「いじめ」問題です。

 私は生まれてから現在に至るまで東京の外で暮らしたことがありません。東京の中でも、若者人口が多く、この少子化の時代、小中学校に登校する生徒数が増え続けるというすこし変わった地域で生まれ育ちました。

 若者人口が多い町というと活気があるイメージですが、勢いがあるということは治安が悪化しやすいということでもあります。控えめにいって学校はすごく荒れていました。いわゆる不良たちが幅を利かせる教室内に、私の居場所はありませんでした。

 小学校に入ってすぐ、顔に爪を食い込ませられ、頬に小さい傷ができました。私は気が弱かったもので、親にも先生にも本当のことを言えず、保健室にもいきませんでした。小学1年生でそんな残虐なことを平気でしてくる人間に出会い、私の心は完全に折れてしまいました。「だめだこりゃ、もう人生が終わった」と本気で思いました。

 しかしながら、いじめの事実を知る大人がいない状態の私には逃げ場もなく、毎日学校には通いました。学校の中で、うまいこと逃げ延びる術を少しずつ学んでいきます。人の顔色に敏感になり、休み時間に近づいてくる足音がしたら、職員室のある1階に逃げます。それでも、教師の目の届かないときは、厳しい時間を強いられていました。

 そして、小学3年生になり、この病気を発症します。私にとっては追い打ちでした。目立ちたくなのに目立ってしまう。自分で症状を死ぬ気で抑える方法を模索します。それがますます症状に拍車をかけます。私が病気でなければ、いじめられることはなかった、と言える状態ではありませんでしたので、自信をもってこの病気と結び付けることはできませんが、結局そのような状態は中学2年生まで続きました。

 なぜ中学2年生で、状況が少し変わったかというと、私がいわゆるガリ勉だったからです。塾に通い始めたのは小学校4年生の時からでしたが、ゆとりから脱却した直後、あの当時の詰め込み教育、スパルタ指導たるやすさまじく、一日8時間、夏休みは15時間勉強させられていました。その甲斐あってか、小中の成績はすこぶる良好でした。中学生になり、不良たちの間でも「抜け駆けしてほかの仲間より少しだけよい高校に行こう」とする人間が現れる時期だったのでしょう。そんな中、真面目に勉強だけをしてきた人間を馬鹿にできなくなってきたというところだと思います。ちなみに、全部想像にすぎません。

 たくさん勉強したので、高校は良いところに入りました。高校では、大人になってもよく遊ぶような素敵な仲間ができました。今度、みんなで温泉に行きます。ハッピーです。

 テーマの性質上、どうしても暗い話が多くなってしまいますが、私は本来明るく楽観的な人間です。今だって無職だけど、私は元気です!

1-6. 社会生活

 差別的な経験をしたことは少ないです。学校という子供たちが集まる特殊な環境を除けば、日本人、特に東京の人々はあまり干渉してきません。まれに、無知や無理解が私たちを傷つけますが、そんなに頻繁にはありません。

 とはいえ、電車は必ずラッシュが始まる前、余裕があればラッシュが終わった後に乗りますし、映画館でも最後方の角、または通路側の席を取ります。仕事もなるべく人と関わりたくないので、フルリモートでできるものを選びたいですし、他人がそこにいる限りは、私たちの気が休まることはありません。

 人間の成長は不可逆で、一度大人になってしまえば、つらかった子供時代には二度と戻りませんので、大人として楽しく社会に溶け込んでいます。しかしながら、完全に溶け込むことは難しいので、さしずめ「即席コーンスープに浮かぶコーン」といったところでしょうか。でも、粉もコーンも黄色いし、食べたら大体同じ味がします。絶対に溶けないけど大体一緒なんだから、まあいいじゃないか。そんな感覚で大人になった私は生活しています。
 

【次章について】

 2章ではよく聞かれる「素朴な疑問」について回答します。
「なぜ症状が出てしまうの?」「症状が出ているときの感覚は?」「我慢できないの?」
といった、答え辛い質問に正確にお答えします。

 また、次章からは購読形式になります。このnoteは、「広く一般に病気のことについて知ってほしい」という素晴らしい大儀で書いたものではありません。「病気について興味がある方」が、経験者である私の話を読みたいと思ってくだされば、一つのエッセイとして目を通していただく、という極めて個人単位の意義で書いております。

 あと、これは全然大した理由ではないのですが、現在無職で「シンプルにお金がありません」ので、あの、ほんとに全然大した理由ではないのですが、一生懸命書いてますのでご購入いただければなと、そう思っています。

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