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つぶやき以上、相談未満ができる存在

「相談って、コミュニケーションだと思います。自分だけでは決められずにいる問題を誰かに話し、聞いてもらうことで、今いる場所から動き出すことができる。探していた答えを得られるかどうがわからないけれど、とにかく思考が、物事が、それまでとは違った展開を始める。それが「相談する」ってことではないでしょうか。(引用:「オトナのおしゃべりノオト vol.30 クリス智子さん」)

日常を豊かにしてくれる雑貨が集まる「北欧、暮らしの道具店」で買い物をしたら、「オトナのおしゃべりノオト」という冊子が入っていた。なんとなく開き、クリス智子さんのインタビュー記事に共感した。「そうか、相談はコミュニケーションなんだ」と。

相談まではいかないけど、この言葉を拾ってほしい

大人になるとプライベートを「相談する」ってハードルだったりしないだろうか。

仕事に関することは、問題解決が前提なので相談しやすい。一方、答えのないプライベートについては、「相手に負担が多き過ぎて迷惑じゃないだろうか?」「つまらないことを気にしている人間と思われたくない」など、どうでもいい思考が働いてしまう。自分が相談される時は、別に相手にそんなこと思わないのに。

昔から「相談すること」がすこぶる苦手だった。弱みを見せたくないのと、相手との距離の取り方が分からない、コミュニケーションが苦手だったのだ。

ただずっと「言葉を拾ってほしい」って願っていた。相談まではいかないけど、「今、こんなことを思っている、感じている」という言葉を発したい、言葉を誰かに拾ってほしい。自分からボールを投げるのは怖いから、「(本当は聞いてもらい気持ちを)察して欲しい」って。でも、「察して欲しい」は、傲慢かもしれない。友情も愛情も他人と築くものであり、お互い違う人生を送ってきた前提が違う存在に、一方的に「察して欲しい」は無理だよね。

半年前くらいかな?BLIND BOOK CLUBという企画で、ある方の選書として『この気持ち伝えたい』が届いた。絵本仕立てのシンプルな本なんだけど、「ずっと聞いてもらいたかった。でも怖くて言えなかった」という自分の寂しさに気がついて、癒しとともに涙したことを思いだしつつ、冊子の「相談はコミュニケーション」という言葉が響いたんだろうな。


思春期の思考を忘れずに、こじれた大人へ

思うに、小さい頃から、頭の中で「自分会議」をしていた。親の仕事の関係で転勤転校が多かったのと、自分の病気のことなどで引け目を持っていたこともあり、新しい環境で友達を作ることが苦手だった。そんな内向性をバリバリに高めてから、9歳で親元離れて寮生活に突入。(小学校4年生から高校3年まで)

学校は、生活に関する施設は敷地内にすべて揃っていたこともあり、防犯面含めて、敷地内からの外出は禁止。規則を破ったら謹慎か停学。月に一日だけ外出日があるが、確か一人では外出NGで、必ず誰かを行動しないといけないルールだった気がする。そうなると、「生活=寮」「勉強=学校」という二択しかない。あ、ちなみに男女交際は禁止。寮の上下関係における細やかな暗黙ルールは、まさに暗黒。

内向性バリ高めの自分としては、プライベートが無い環境におかれると、学校生活で安心できる自分の居場所は、図書館か誰も来ない中庭のベンチだった。そんな思春期の思考を忘れずに持ち続け、無事に今、コミュ障な「こじれた大人」として生きている。

育てたいのは、感じる力

ついでにいうと、私のストレングスファインダーは「コミュニケーション」「個別化」「内省」「戦略性」「収集心」が上位の5つ。(下位3つは、規律性、包含、慎重さ)

ご存知の方も多いと思いますが「コミュニケーション」は、いわゆる双方向なコミュニケーション力というより、言葉で人を納得させる影響力の高さ。

他人と暮らしていく環境で生き残るために、他者を観察して、シチュエーションごとに考え、言葉・行動を調整していくうちに、「頭で考える力」ばかり育ってしまい、「感じる力(共感)」が鈍くなっていた。

もっというと、「他者を信じて話す力」が弱かった。

でも、ここ一年ぐらいで、なんというか変化があった。

相談までいかないけど、「こんなことがあった」「今、私はこんなことを思った」と、「つぶやき以上、相談未満ができる存在」が増えたことは、本当に嬉しく、ありがたい。

特に、2月に旅にでて友人と同じ景色を眺め、五感で「感じること」を経験して、「ああ、そういうことか」と言葉にならない感覚を腹落ちしたのがとても大きかった。頭の理解ではない、もっとじんわりした感覚。

人とコミュニケーションするうえで、言語化は出来た方がいい。ちゃんと言葉にしないと伝わらないこともあるし、自分も相手も認識もできないから、言葉にする力は磨いたほうがいい。でも、それ以上に「感じる力」も育てていかないと、心が痩せてしまう。

「つぶやき以上、相談未満ができる存在」を作っていくこと。「他者を信じて話す力」を伸ばすこと、そして「感じること、考えること、言葉にすること」は、大人の嗜みであり、訓練だと思うのだ。

#日記 , #エッセイ , #言語化 , #相談 , #つぶやき , #感じる力  



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