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イエロー面接

ある会議室。そこには、面接官として4人の人物がいた。

その対面には、スーツを着た青山緑子がいた。その青山緑子にレッドは質問した。

「では青山緑子さん。志望動機は何なんですか?」

「はい。私はこの地球が絶滅の危機にあると肌で感じておりまして、何とかしたいと思っていたところ、こちらのホームページを拝見いたしまして、『一緒に地球を守りませんか』というあの言葉に感銘を受けまして、応募させていただきました」

青山緑子は緊張しながらもしっかりと答えた。

レッド「それはありがとうございます。では、青山さんがもし、我々のチームに入ったら、どのような活動をしますか?」

青山「はい。そうですね。恐らくいきなり入ると、足手まといになると思うので、まずはみなさんの行動をしっかりと見学させてもらって、それから一緒に行動できたらなと思ってます」

レッド「なるほど、わかりました。もし、合格となればイエローですけど、大丈夫ですか?」

青山「はい。大丈夫です」

レッドは他の面接官と顔を見合わせた。するとピンクが口を開いた。

ピンク「あのー、青山緑子さん。あなた本当にイエローでいいの?それは最初だけで、ひょっとして私の座を狙ってるんじゃないの?」

ピンクは意地悪な口調で言った。

青山「いえ、そんな事は…」

ピンク「そうですか。ありがとうございました」

ピンクは微笑んだ。青山の緊張感が緩んだ。そこから和やかに時が進んだ。

レッド「では最後にポーズをお願いします」

青山は椅子から立ち上がった。そして軽く深呼吸をして。青山の目つきが変わる。体をぎゅっと丸めて、中央に精神を集中させて、高々と両手を目一杯掲げた。

「イエローー-----!!!!!!!!」

レッド「はい、ありがとうございました。では合格だったら連絡しますので」

青山「はい。よろしくお願いします。失礼します」

青山は出ていった。

「かわいくていんじゃねーか」そう言ったのはブルーだった。ブルーは可愛い子しか興味がないキザな奴だ。

ピンク「は?ブルー何言ってるの?あんなのダメに決まってるでしょ。あからさまにピンクになろうとしてる目をしてたわ」

ブルー「考えすぎだよ。大丈夫だよ」

ピンク「いや、あいつはダメよ」

ブルー「何で」

ピンク「まずはみなさんの行動を見学させてもらってとか言ってたでしょ?私らが怪人と戦ってる時、何見学してんのよ。むしろ新入りが率先的に戦いなさいよ」

ブルー「まあそうだけどさー。レッドはどう?青山緑子ちゃんよかったよね?」

レッド「いや、あいつはダメだ」

ブルーにとってはまさかの答えだった。レッドもピンクも反対だったとは思わなかった。

レッド「あの最後のポーズ見たか?あれは明らかにセンターのポーズだ。あいつは私の座を奪おうとしている」

「だから考えすぎだって。お前はどう?」ブルーはもう一人に聞いた。

「あー、まあ僕は別にいいとは思うけど、青山で緑子でイエローってややこしいよね」

確かにそうだ。全員妙に納得した。そして話を続けた。

「…あのさー、ちょっといいかな。まあ、イエローを入れるっていうのも大事だと思うんだけど…」

「ちょっと待て」レッドは話を遮って電話に出た。

「レッドだ。今、面接中なんだが…何?怪人が現れただと?わかった」

レッドは電話を切り、全員に告げる。

レッド「怪人が現れた。早く決めるぞ!」

ブルー、ピンク「おう!」

そう、行かないのだ。それだけイエローを決めるということは大事なのである。みんな急いで履歴書を見る。

ピンク「今までだったら、私は、この一番最初の彼がかっこよくてよかったなー」

レッド「いや、ダメだ。イエローは3枚目じゃないと」

ブルー「それで言ったら、この3番目の奴なんてのは、丁度いいんじゃないか?」

レッド「ダメだ。そいつはカレー大好き顔じゃない。やはりイエローはカレーを毎日食べている食いしん坊でないと」

なかなかいない。レッド、ブルー、ピンクは悩んだ。

「あのさー、イエロー入れる前に見直した方がいいんじゃないかと…」

ピンクは話を遮り、机を叩いて立ち上がった。

「やっぱり…元イエローが一番いいんじゃない?」ピンクの一言に、その場の空気が固まった。

ブルー「あいつの事は言うな。あんな勝手に辞めてった奴なんていいわけないだろ」

ピンク「でも、あいつ以上のイエローなんて考えられる?イエローの中のイエローじゃない?」

ブルー「あいつの事は言うなと言ってるだろ!」

レッド「落ち着けブルー。ピンクも、まだ応募者は来ている」

ピンク「…そうね」

レッド「次の方どうぞ」

どんよりとした中、次の面接者が入ってきた。

「イエロー」

少し顔をうつ伏せて入ってきたがピンクはすぐに気が付いた。

ブルー「てめー、何のこのこ戻って来てんだ」

イエロー「すまなかった」

「すまなかっただ?」ブルーはイエローの胸ぐらを掴んだ。そして心の中にある鬱憤をぶつけた。

ブルー「俺達4人になってどれだけ苦労したと思ってんだ。レッドなんかな…レッドなんかな、『5人合わせて、あ、違う、4人合わせて』て毎回間違えてんだぞ!この恥ずかしい感じ、お前にわかるか?」

イエロー「…すまなかった」

ブルー「だからすまなかったじゃねーんだ」

ブルーは悔しさ悲しさがこみ上げてきて、イエローを殴った。

「エレキトリックパーーンチ!!」

ピンク「ちょっとブルー何するの」

ピンクはイエローに駆け寄った。

ピンク「ブルーの気持ちはわかるけど…でも…エレキトリックパンチは違うでしょ」

「いや、いいんだ」イエローは言った。

「みんなに何も言わず辞めた俺が、全て悪い。エレキトリックパンチを受けて当然だ。レインボーフラッシュも覚悟していた」

ピンク「私達の必殺技も?」

イエロー「ああ。それくらいの事を、俺はしたんだ」

「なぜ、突然いなくなった」レッドは割って入った。

イエロー「みんなとずっと一緒にやってきて、楽しいし、なんやかんやで各々信頼しあってるいいチームだと思う。でも、ふと不安になったんだ。本当にこのまま地球を守りきれるのかって。本当に毎日カレーで大丈夫かって。…でも、離れてみてわかったんだ。やっぱり悪は許せないって。やっぱりハヤシライスじゃダメだって」

レッド「イエロー」

「だから…もう一度俺は…地球レンジャーのイエローになりたい!」

イエローは涙を流して訴えた。

ピンク「私は賛成。逆にこんなに地球レンジャーの事考えている人いる?レッド、いいでしょ?」

レッド「そうだな。逃げ出したのも、イエローとしての立場をすごく考えていたからこそ。いいだろう」

ピンク「あんたはどうなの?」

ブルー「…逃げ出すような根性なしなんかいるか?まあでも、俺のエレキトリックパンチを受けても立ち上がる奴は根性なしじゃないか。お前どっちだ?」

イエロー「俺は根性なしなんかじゃない」

ブルー「だったら、俺がいくらダメだって言っても、イエローになるんだろ?」

イエロー「ブルー。…ああ、なるとも」

ブルー「じゃあ俺の許可はいらねーだろ」

ピンク「素直に言えばいいのに」

ブルー「なんだと」

ピンク「あとはあなただけだけど?」

「まあ、レッドもブルーもイエローもいいならいいんじゃない。それよりさ…」

レッド「よし、決まりだ。面接の結果、お前をイエローにする。よし、怪人を倒しに行くぞ」

「おう!」

「ちょっといいかな!」

ピンク「何?なんかさっきから。不満あるの?」

「いや、イエローに関してはいいんだけど、だから、見直した方がいいんじゃないかなーと思う事があるんだけど」

レッド「さっきから何なんだ?しゅいろ」

しゅいろ「それだよね」

ブルー「何がだ?しゅいろ」

しゅいろ「だからそれだって。しゅいろっておかしくない?考えてみ?レッド、ブルー、イエロー、ピンク、しゅいろって。しゅいろだけ日本語なっちゃってるしさ、何よりレッドと被ってるじゃん」

レッド「何で怒ってるかわかんないんだけど」

しゅいろ「いや、おかしいでしょ。遠目から見たらレッド二人だよ。2週間くらい前かな、怪人がずっと俺にレッド、レッド言ってたよ」

イエロー「まあまあ、また5人でがんばろうぜ」

しゅいろ「じゃあお前色変われよ!お前がしゅいろになってみろよ!」

レッド「彼は何で怒ってるんだ?」

しゅいろ「だから、しゅいろがイヤなんだって」

レッド「じゃあ、だいだい?」

しゅいろ「だから一緒じゃん!グリーンとかあるでしょ」

レッド「じゃあ、お前はビリジアンだ!」

しゅいろ「何でちょっと凝っちゃうかな。もっと普通のあるでしょ」

レッド「何なの?どうしてもしゅいろがイヤって事?」

しゅいろ「イヤ!」

レッド「よし、わかった。みんな、しゅいろ面接の用意だ」

「おう!」

しゅいろ「しゅいろでいいです」

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