記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

映画『ドント・ヘルプ』ネタバレ感想/その娘を助けてはいけない…

2017年制作(メキシコ)
原題:El habitante
監督、脚本:ギレルモ・アモエド
キャスト:マリア・エボリ、バネッサ・レストレポ、カーラ・アデル、フラビオ・メディナ、ガブリエラ・デ・ラ・ガルザ、フェルナンド・ベセリル、リズ・ディエッパ

原題の“El habitante”は直訳すると“住人”の意味である。邦題の『ドント・ヘルプ』は、三姉妹が議員の家に強盗に入るというストーリーから、『ドント・ブリーズ』になぞらえてつけられた題かもしれない。(『ドント・ヘルプ』は2018年に日本公開、『ドント・ブリーズ』は2016年に本公開)

上院議員の家に強盗に入る3姉妹。しかし、当てが外れ上院議員の金庫にはお金がなかった。引き上げようとする妹たちであったが、長女のカミラは、お金がないと自分たちの身が危ない故引き下がるわけにはいかない。

そんな時、地下から奇妙な声が聞こえてくる。上院議員とその妻が止めても聞かず3姉妹は地下に。すると縛り付けられた少女がいた。3姉妹は親に虐待されていた過去を持ち、カミラは父親を殺したことで刑務所に入り、出所したばかりであった。自身らの境遇から助けを求める少女を放っておけず、地下から連れ出す。

しかし、3姉妹はその少女を助けてはいけなかった――。その少女は悪魔に憑かれていたのである。悪魔によって明かされる3姉妹の過去。長女カミラは父親によって虐待されていただけでなく、性虐待を受け、父親の子を身籠った。それが三女のアニータである。アニータはその事実を知らなかった。

悪魔によって事実を知らされたアニータは錯乱し、自殺してしまう。マリアはカミラが父親を殺した裁判で、母親に口止めされ事実を言わなかったため、カミラを刑務所送りにしてしまった。そのことを悔いていたが、カミラはマリアが母親に口止めされていたことを知ると、助けるために父親を殺したのに、と裏切ったマリアに怒りマリアをおいてカミラの遺体とともに車で走り去る。その後、悪魔によりアニータに責められたカミラは動転し事故を起こす。

一方、残され縛られたマリアは父のトラウマと向き合わざるを得なくなる。その頃、議員夫婦が呼んだ枢密教が訪れ、少女の悪魔祓いを始めようとしていた。娘を悪魔から救いたいと思いつつも、悪魔に誘導され両親は儀式を止めようとする。そもそも両親は、娘が回復することを祈り続けたが一向に祈りは届かず、神に絶望し悪魔に救いを求めたのである。自業自得なわけであるが…錯乱し、地獄絵図になっているところにマリアは悪魔祓いを引き継ぐことになる。

信心深い父親から虐待され、神を憎んでいたマリアであったが、元来の心優しい性格故、再び神に祈りを捧げることに。悪魔との死闘の末、少女を悪魔から救うことができたが、悪魔は実は枢密教に取り憑いていた、というオチである。

強盗に入った家が…というスリラー映画と思いきやオカルト映画になっていく。祈りが届かず悪魔に救いを求めた夫婦、信心深い父親に虐待され神を憎んでいた姉妹。しかし、結局素直に神に救いを求めたマリア(この名前を狙ったものだろうか)だけ生き残るというのは何とも皮肉な展開。ホラーとしての怖さはさほどないが、姉妹の境遇や宗教的なテーマが面白い一作である。

見出し画像D.R. (C) NOVILUNIO PRODUCCIONES S.A. DE C.V. Mexico 2018

この記事が参加している募集

#映画感想文

67,900件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?