【午前0時】いちごつみ短歌 2月号(vol.3)
※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。昼行灯(♣︎)→紅井りんご(♧)の順で詠みました。
一面の綿毛を飛ばしそれだけを自分の意味とした通学路 ♣︎
パン狩りのパンが一面になっていてトングカチカチ鳴らしたら朝 ♧
この夜のこの部屋のこの灰皿に紙屑焼けば朝のよに燃ゆ ♣︎
待つという感覚だけが隙間なく部屋を満たしてわたしをつつむ ♧
脱衣籠ていねいに折り畳まれた青の浴衣がつつむ薄皮 ♣︎
信号が青になるのを待つあいだ選ばなかったセカイを想う ♧
陽に透かしトンボの翅に見たセカイ「これは透明人間の皮膚」 ♣︎
やわらかな陽のふる朝に鼻歌が鼻歌の域超えてゆく春 ♧
暮れる日とすれ違い見た金星に思い出した子鼻歌になる ♣︎
こわかった夜はもうすぐ終わりだよ 東の空に浮かぶ金星 ♧
[摘まれた語]一面、朝、部屋、つつむ、青、セカイ、陽、鼻歌、金星
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