赤木和重

神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 准教授。ちょっとしたことを書くのにはじめてみよう…

赤木和重

神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 准教授。ちょっとしたことを書くのにはじめてみようかと。 研究室のホームページは,https://akagikazushige-1.jimdosite.com/

最近の記事

強い人ではなく,やさしい人だからこその出禁:僕のマリ『常識のない喫茶店』(柏書房)

原稿が進まないときに限って,関係ない本を読んでしまう…。 でも,そういうときに手に取る本にかぎって,原稿をすっきりと断念させる魔力がある。今日,読んだ本もまさしくそうだった。 僕のマリ「常識のない喫茶店」(柏書房) 今年一番,心が動いた本。 まだうまく言葉にできないのですが,あふれまくる感動を以下に少々。 「働いている人が嫌な気持ちになる人はお客様ではない」という喫茶店で働く20代女性のエッセイ。キモイ客は容赦なく出禁するというすごい喫茶店の話。しかも出禁できるのは,

    • 書評『モテないけど生きてます:苦悩する男たちの当事者研究』(青弓社)

      「ぼくらの非モテ研究会」という一風変わった研究会があります。神戸大学 発達科学部の卒業生,西井 開さんが主宰されているのですが,その西井さんが,会のメンバーとともに『モテないけど生きてます:苦悩する男たちの当事者研究』を出版されました。​ ​ いやー,ちょっとだけ読もうと思ったら,面白すぎて,各種締め切りをぶっちぎって,最後まで読んでしまいました…(関係各位申し訳ございません)。​ ​ もしかすると一部のかたには,本書のタイトルを見て,「モテないだけでそこまで深刻にならんでも

      • 「できる」学びと「いる」安心感の両方がならびうるNew School

        赤木和重(神戸大学/akagi@pearl.kobe-u.ac.jp) はじめに 私に与えられた役割は,富田さんが作成したドキュメンタリー動画(New School of Syracuse)の解説を行うことです。ただ,少しそのまえに寄り道をさせてください。動画の解説のまえに,私がNew Schoolとどのようなかかわりがあったのかについて書きます。動画の背景にあるストーリを共有することで,動画がより深く,面白く見えてくると思うからです。 New Schoolにたどり着くま

        • 『変態紳士』なるものの感想

          フェイスブックで「ブックカヴァーチャレンジ」に取り組んでいるのだけど,そのなかの1冊を。変態と紳士の組み合わせが絶妙ですけど,読み終わると納得する,そんな1冊でした。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 高嶋政宏『変態紳士』ぶんか社   いろいろやらないといけないことはあるのですが…(スミマセン) 授業その他もろもろでアップしたくなった一冊を。   タイトル。「変態」と「紳士」の組み合わせ! この組み合わせを見た瞬間,アマゾンでクリック!   内容は,高嶋

        強い人ではなく,やさしい人だからこその出禁:僕のマリ『常識のない喫茶店』(柏書房)

          人間はどこから壊れていくか?

          2017年4月号全障研兵庫支部の機関誌から。 少し背景を。2017年1月に『アメリカの教室に入ってみた』(ひとなる書房)という私にとって初の単著を出したのだけど,そのあとが大変だった事情を書いたもの。無理しすぎるとよくないですねぇ。しかし,あと一歩無理してたら,閾値を超えるとこでした。あぶなかった。。。 以下,本文。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 人間はどこから壊れていくか?中年になっても,いろいろな「はじめて」を体験するものですね。つい最近も「はじめて」が,我が身

          人間はどこから壊れていくか?

          最近,おしっこ,もらしましたか?

          全障研兵庫支部機関紙「はあとぶりっじ」2019年6月号 からの転載です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ヨシタケシンスケさんというかたの絵本が我が家で大人気。小1の息子も,中1の娘も,そして,私も,何度も何度も読んでいます。 私が,ヨシタケさんの絵本に魅かれる理由は,次の3つが絵本からにじんでいるからです。1つは,ゆるやかな寛容さ。2つは,異質を気づき,おもしろがっているところ。3つは,ほんのりとした共感,です。 寛容さ,異質,共感がいい感じでまじりあっている

          最近,おしっこ,もらしましたか?