『変態紳士』なるものの感想

フェイスブックで「ブックカヴァーチャレンジ」に取り組んでいるのだけど,そのなかの1冊を。変態と紳士の組み合わせが絶妙ですけど,読み終わると納得する,そんな1冊でした。

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高嶋政宏『変態紳士』ぶんか社
 
いろいろやらないといけないことはあるのですが…(スミマセン)
授業その他もろもろでアップしたくなった一冊を。
 
タイトル。「変態」と「紳士」の組み合わせ!
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内容は,高嶋氏が,SMやグルメなど自分の趣味について熱く語るというものです。SMを含め,その内容については,正直,まったく共感できませんでした。茶葉のひらきかたがどうたら,って私にはまったく響かず。
 
でも,猛烈に面白い本。
とくに,変態にめざめた契機がおもしろい。脇役で出演したお芝居のなかで,「あれ?おれ,誰にも注目されてないじゃん」と腑に落ちたこと。それから,自分の好きなことが見えてきたとのこと。それが,結果として,SMとか茶葉につながる。
 
だから,ここでいう変態というのは,単純に性癖がどうたら,ではなく,「多数者の視線を気にせず,自分のやりたいことにとことん忠実になる」ということ。
(ちなみに「紳士」というのは,自分の好みを誰かに押し付けないし,人の好みも否定もしない,という意味で使ってる気がする。定義があったかどうかは忘れた…)。

  
これって,「自分のやりたいこと」探しにも共通する気がします。よく,学生が「やりたいテーマがない」といいます。
でも,よくよく聞くと,「誰かの基準=それはたいてい社会の目線」を気にしすぎて,やりたいことを無意識に封印して,それでがんじがらめになってるなーと思うことがしばしばあります。
 
子どもたちの日記を書く現場をみていても思う。自由に書いていいはずなのに,「ゲームのことは書いたらあかん」と「自主規制」をしてしまい,自分の面白さを回避する形で無難に表現してしまう。

このような自主規制は結構危うくて,繰り返していくうちに何がやりたいことが子ども自身でもみえなくなってしまうのじゃないかな…。そして,他者の声に自分がのっとられてしまう…
 
SMには残念ながら(?)目覚めませんでしたが,「変態」と「紳士」の絶妙な生き方ーそれは,きっと,多様性と寛容性の道をひらく―に,ちょっとうらやましいなーと思った本でした。

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