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適当に書いた習作

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記事一覧

下書きを洗浄する。

どうもこんにちは。晴耕雨読と聞いて大麻の栽培をイメージするようになった赤星士輔です。ラスタファの思想と言われても、なんだかよく解りません。レゲェでも聞きながら、たまには2千字ぐらいのテキストを投稿してみようと思った次第です。話は思い付きです。衝動的です。そんでもって投げやりです。

登録してから4年ほど経つ訳で、フォローした人のnoteにコメントを特にすることもなく、ダッシュボードやTwitter

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習作『探偵の誤算』

※最後まで読めます。台詞だけミステリ。

「真犯人がどうして俺だと?」

「ぼくの推理はこうだ。A子が屋根裏部屋で倒れているのを全員が目撃したあの時点で、A子はまだ死んでいなかったのさ。それに倒れたA子の脈を診たのはあなた一人だけだった。あなたはA子が気絶しているだけだというのを知りながら、事件現場を荒らさないようにといって部屋に鍵をかけた。A子は目を覚ますと鍵のかかった真っ暗な場所に置き去りにさ

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猫も杓子も

猫には勝てないと諦めている。
いくら文章を書いても、いくら詳細にその日の出来事を記しても、可愛い猫の画像には敵わない。猫は好きだ。そりゃあ、身体を撫でたら毛並がフワフワしてるし、肉球はプニプニしてる。梶井基次郎で一番好きな作品は愛撫だし、猫耳の美少女が突如目の前に現れたら嬉しいし、ネコカフェには一度行ってみたいと思っている。一つどうでもいい願望が混じったが、猫が好きというのは本当だ。嘘ではない。

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魔法の箱

魔法の箱

「生まれてから四半世紀。二十五歳を四半世紀と言うのは変な言い回しな気がするけど、直接的な表現をするよりかは精神衛生に良いよね」
 男はやつれた顔をしながら私の前に現れると、唐突にそう言い出した。紺のスーツに白くて清潔なシャツ。普段しているネクタイと腕時計は見えず、その代わり右手に紙袋を携えていた。
「そんな訳で仕事が忙しい中、今年も君と誕生日をこうして迎えたのだけれど、ケーキを買って祝おうにも今の

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ピザ祭り

※最後まで読めます。ピザ食べたい。

ご存じの方も多いと思うが、地中海に面したソラリス地方にある村には焼きたてのピザを投げあう祭りがある。この祭りは、勇敢な男達が最後の一人になるまでピザを投げ合う奇祭として知られている。
盗賊たちを村の住民総出で熱々のピザを投げつけて追い払った事から始まった祭りで、歴史はまだ浅く60年しか経っていない。筆者の取材に対し、当時15歳だった女性村長はその時の出来事を

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習作『カレーライス』

※最後まで読めます。昔書いた話のセルフリメイク。

 いつもとは違う小さな空間に対し、俺は眉間に皺を寄せた。下駄箱を開けると、そこには桃色の可愛らしい封筒が入っていたからだ。きっと誰かの悪戯に違いない。そう一瞬疑うも、手に取った封筒には女の子特有の丸っこい文字で自分の名前が書かれてあった。もう少し若ければ「神様、グラシャス!」などとスペイン語で感謝の言葉を吐き出し、口元をだらしなく緩めた間抜けな表

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冬の動物園

※最後まで読めます。レッツ怖い話。 

 遠い山間で鷹がゆっくりと旋回していた。
 空は晴れ模様。息を吐くと白い十二月最初の日曜日。
 ベージュのコートにミトンの手袋をした女の子が、駅前にある時計塔の下に立っていた。
「約束した時間の十時まで、あと二十分」と女の子は呟いた。
 女の子は改札口から誰かが出て来るのをずっと待っていた。
 今日は動物園でデートをすることになっていた。人生で3度目の動

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習作『伝わらない寓意 ―スターチス―』

※最後まで読めます。放課後恋愛譚。

――君との距離と伝えたい言葉の量にいつも戸惑う。

二月の上旬。暖房の効いた教室で、うつらうつらしながらシャーペンを回転させ、彼女に云われた言葉を反芻する。窓から降り注ぐ日光が、開いたノートをより一層白い光で満たしていた。五時間目の国語の授業は教諭の都合で自習となっていて、副担任の先生から急遽出されたプリントの問題を早々に埋めて提出してしまうと、クラ

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習作『・・は忘却される』

さて、何を書こうかと考えている間にどんどんと時間が過ぎていく。
もう少し考える時間が欲しいのだけど、その考える時間というのがどうでもいい些末な話ばかり浮かんで、『コレだ!』と話したい何かになる事は少ない。

だから今のところ、此れといって自分には書くことがない。そう説明しようと思うのだが、説明するためのボキャブラリーがこうも大量に必要となるのは一体全体どういうことなのだろう?
いや、書くことがない

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習作『猫屋敷の恐怖』

保健所へ送るつもりだったんだ。
俺の唯一の趣味は庭いじりでさ。植木を剪定したり、雑草を引っこ抜いて芝生を芝刈り機で綺麗に刈り取ったりしているんだ。家庭菜園でプチトマトやアスパラガスの栽培とかやったりな。庭はいいぞ。自然に触れてると、ささくれだった心が癒されるし、自分だけの楽園を思い通りに築いていけるのだからな。
 それがだ。その築いている楽園に野良猫がフンをしていくんだよ。最初はそんなに多

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ものかきさんにちょうせんじょう。

ならざきむつろさんの企画に参加。

https://note.mu/muturonarasaki/n/n1302d3ed591a

最終回「親父、行くな。行くなよ!」
 首に巻いたスカーフでヘルメットのバイザーを拭った私に、東京の高校で追試を受けていたはずの息子の隼人が、交信中に突如割って入って来た。
「ガフッ!? ゲホゲホーー」
私がひび割れたモニターを引き寄せると、黒い学生服を着た隼人

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習作『天竺から来た男』

※詳しく調べてません。

鎌倉時代、日本から宋(中国)に渡った僧侶がいた。
僧侶の名を慶政(けいせい)という。慶政はそこで西の方から来たという異国の商人たちと出会った。
慶政は彼らを天竺から来たのだと考え、浅黒い肌をした異国の商人たちに紙を渡し、筆で言葉を書いてもらった。寄せ書きの様に書かれたそれを仏典として日本へと持ち帰り、同じ僧で親交のあった明恵上人に贈った。
その紙が現在、重要文化財として正

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