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あの頃と同じ夢

『サクラ大戦真夏のフェス 真宮寺さくら誕生日会 〜119ctの輝き〜』が閉幕。猛暑予報から外れることなく”夏”全開の天気模様の中、全国各地から多くのサクラファンにお集まりいただき、素敵な一夜と相成った。

無事に仕事を終えられたことへの安堵感、達成感、終わってしまったことへの愛惜の念、名前のつけられない感情が溢れに溢れ、文字通り筆舌に尽くし難いのだけれど、余韻が静寂に変わってしまう前に書き残しておこうと思う。

ともに生きた証が 胸に熱くよぎる

いつまでも
いつまでも大切にしたい

そんな日のことを。
僕なりに、高らかに歌おう。


前回のサクラ関係の記事はこちら。


当日は、朝の9時に会場入りした時点でとてつもない暑さ。

まだ”朝”を残した午前中の早い時間帯にも関わらず、太陽は意気揚々と照りつけてくる。わざわざ回収を予見するまでもない見え見えのフラグ「今日は暑そうだなぁ」がアンロックされた瞬間である。今日は暑くなりそうだなぁ、大神ぃ。

野外とはいえステージには屋根があるので、多少なりとも曇って気温が下がってくれたらいいな、といった淡い期待はあった。早々に打ち砕かれることになるのだけれど。

機材を搬入してセッティングをする前に、一度会場内をぐるりと見て回るのが僕のルーティン。お客さんの受付導線に始まり、ステージから一番遠い席から順に、各場所ごとに「どう見えるか」「どう聴こえるか」をイメージしていく。立ち見のお客さんもいる。来てくれたすべての人に「来てよかった」「いい日だったな」と思って帰ってもらいたい。
全てはお客様のため。君あるがため。

既に30℃超えとはいえ、まだまだ涼しい時間帯。アンコールでは智佐さんが駆け回る場所でもある。こうしてゆっくりと歩いてるだけでも汗が止まらないのに、歌いながら、だ。

僕はドラマーなので一度座ったらそこから動くことができない。お客さんの目線に立つために事前に足を運んでおくのは、せめてもの準備の一つ。
ニコニコしながら「あくとくんも前出てきていいからね〜」なんて智佐さんは言ってたけれど。
すみません、智佐さん。それはちょっと・・・物理的に無理でした・・・(いつか実現してみたい気もする)

ドラムセットはいつものCrush Drums and Percussionのキット。スネアはBritish drum coのAVIATOR、シンバル周りはZildjian、スティックはLERNIと毎度お馴染みの構成。協力各社にこの場をお借りして御礼申し上げます。

帝都浪漫楽団は今回『愛』という特殊編成。例の”あの”フェスに出演が叶わなかったため、序盤はその時の座組み供養も兼ねたものとなった。
(なんのこと?という読者は『Aichiアニソンフェス』で検索)

ベースのCHAKAさんはバンマス。サクラファンにはお馴染み。イカつい見た目(失礼)と奏でる音の乖離が凄まじい人。ベース上手過ぎお兄ちゃん。浪漫楽団以外の現場でもたびたびご一緒させてもらってます。超絶気遣いのムードメーカー。ちなみにジングルの『帝都放送』のアナウンスも彼。あと何気に歌も上手かったりする。ステージ上でもお茶目さん。みんなの兄さん。

キーボード/マニピュレートは舩本泰斗さん。演奏だけじゃなく作曲、アレンジ、ミックス、制作まで何でもできてスタジオ経営までしてる社長さんだったりする。ご両親も音楽家。絶対音感持ち、なんでも弾ける、優しい、カッコいいと最強過ぎる人。異世界転生してきて人生2周目のつよくてニューゲーム中なんじゃないか疑惑がある。

ギターのMASUMIは、僕のnoteならびにXを見てる人ならお馴染みの彼。一緒にやってきた現場も思い出も多過ぎるのでここでは割愛する。霊力を演奏に全振りしてるスーパーギタリスト。中学生の頃、給食の時間のBGMとして『ゲキテイ』を放送したという強めのエピソード持ち。

僕のことは上の記事を見てもらえばなんとなくはわかってもらえると思います。ゲーム関係の仕事多めドラマー。当noteの読者やSNSのフォロワーさんは、SEGAのCrush 40や、以前やっていた21gというバンドから知ってくれた人が多いかと。わかりやすいタイトルだと『ぷよぷよ』や『スマブラ』とかでもドラム叩いてます。
円盤持ちのくせに「歌謡ショウが観られるから」という理由でU-NEXTを契約している男。「過去作をSWITCHで遊べるようにしてくれないかな」と何年も切望している男。さくら、すみれ、ロベリア、ダイアナ、初穂、ラチェット推し(敬称略)
サクラ大戦3の携帯キネマトロン型ビジュアルメモリを紛失する、という過去の傷が未だに癒えていない男。


セットリスト

  1. 夢のつづき

  2. これがレビュウ

  3. 花の戦士

  4. 花咲く乙女

  5. お祭りダンス

  6. 花吹雪白波弁天

  7. カモナ浅草

  8. ここはパラダイス

  9. ダンディ

  10. 島風

  11. We Love Revue

  12. LOVE is

  13. 夢見ていよう

  14. ゲキテイ

 En. 愛が香るころに


ここからは打楽器奏者目線での解説、感想など。

1.夢のつづき
ステージ入りと共に拍手の雨。「ああ、始まってしまう」という、期待と寂しさが入り混じった感情の中、カウントで曲がスタート。この曲が一曲目、というのがまた良い。イントロが流れた瞬間のざわめきと興奮がこちらにも伝わってきて嬉しかった。
Bメロはお客さんの手拍子に合わせて少しだけパターンを変えていたりする。いかに歌いやすいか、弾きやすいか、手拍子がしやすいか、を常に考えて演奏しています。ちなみに終盤でテンポチェンジがあるので『途中でクリックを聴き逃したら終わる』という怖い曲でもある。

1曲目から泣きそうになる。おちつけ。

2.これがレビュウ
個人的には『春うらら』でも演奏していたので身体に入っていたナンバー。レビュウ曲続きという絢爛な構成。既に滝汗。誰だスーツにしようなんて言い出したのは
サクラの楽曲は『カツカツ』というリムショットが多いので、綺麗に響き渡らせるように意識。ゴージャスでストレートだけれど場面転換やキメが多いので演奏者側には緊張感が漂う一曲。

3.花の戦士
ひょっとしたら読者の中に「イントロのドラムフィルどうやってるの?」というサクラドラマーがいるかも知れないので

音価は16分、付点8符のアクセントで3拍目から
RLKRLKRL

というのが僕のやり方です(伝わるかしら)
サウンドはめちゃくちゃロックだけど公平先生節、サクラらしさが全開な一曲。この曲のMASUMIはすごかったなぁ。ドラムもまぁまぁ忙しい。速い。

健太さんの紹介で涙腺が危うい。
天真爛漫な菊ちゃんが大好きでした。
松野さん、ありがとうございました。

4.花咲く乙女
「あの頃の〜」という静かな歌い出しの瞬間に、客席がハッと息を呑むような、それでいて思い出が詰まった宝箱をそっと撫でるような、あの独特の空気感がたまらなく好き。どこか郷愁を掻き立てられる。
全曲譜面を見ながらの演奏だったけれど、この曲は子守唄ぐらい身体に入っているので終始お客さんと智佐さんを眺めていた。
ちなみにお気付きの方もいるかも知れないが、僕はほぼ全曲、一緒に口ずさんでいたりする。
重たくならないように、それでいて浮ついた感じにもならないように、という絶妙なところでハイハットを刻まないといけない、気が抜けない一曲。そも、気が抜ける曲なんて一曲もないのだけれど。

5.お祭りダンス
陽気な曲のテンションに反して演奏する側は激烈に難しい曲。途中の掛け合いでは一緒に手を上げたりして楽しかった。楽しんでいるお客さんを見ていると触発されて”身体が勝手に”動いてしまう。全然関係ないけれど、僕はセトリの読み上げの時なんかに何度か『おはようダンス』と言い間違えてたりする。ボンジュー・・・。

6.花吹雪白波弁天
こちらも個人的には『春うらら』続き。和のテイストにずっしりとしたシャッフル。今回はご本人様、田中真弓さんと演奏させていただくという誉れ。25周年の集い以来なのでご無沙汰でした。
中盤の口上と見得が素敵。

7.カモナ浅草
リズム隊の隠れた妙が光るナンバー。ハマると気持ちいいけれど少しでも揺らぐと総崩れになるので気が抜けない曲。園岡さんを後ろから眺めていて「こんな素敵な紳士になりたいなぁ」なんて思ったりする。
CHAKA兄さんの素敵ベースが炸裂してるのでベーシストは必見。ちなみにバンドリハーサルの時はCHAKAさんがダンディパートを代わりに歌ったりもする(めちゃくちゃ上手い)

8.ここはパラダイス 〜リトルリップシアターのテーマ〜
”THE 紐育ブロードウェイ”なハッピーでゴージャスだけど難しい曲。僕視点では「サニー司令とさくらさんのデュエットで聴けるなんて・・・」と感激。終盤のテンポチェンジ2回がドラマー的にはめちゃくちゃシリアス。
「最後のとこ、カウント思いっきりよろしくね」と内田さんにご指定いただいたのでめちゃくちゃ声張り上げてます。熱かった!

9.ダンディ
ブラシ→ロッドの持ち替え曲。両方ともアコースティック音楽会の方では大活躍するけど今回はこの曲だけ。内心では「ダンス見たい・・・見たい・・・でも集中・・・」と謎の煩悶をするなど。重厚で荘厳なムードが素敵でした。

10.島風
カンナの沖縄ナンバー。以前演った時はCHAKAさんが三味線を弾いていたけれど、今回は原曲の完全再現+aなので粛々と。原曲はドラムが入っていないので、マレットで”民族太鼓っぽさ”を出しつつ、シンバルで華を添えたりしてみてます。ゆったりとした伸びやかな曲調だけれど、3拍子の間に4拍子が挟まったり、テンポチェンジがあったり、裏では忙しい一曲。
途中聴こえる「チッチッチッ」は、僕が歌い出しのタイミングでハイハット踏んでる音です。地味にヒリヒリする部分。

11.We Love Revue
まさかの名レビューナンバーを演奏させていただくという誉れ。嬉しかったなぁ。キメが多くて難しい。ステージ上のキャストの方々が歌いやすいように、踊りやすいように、を意識して集中してました。浪漫楽団は本番ギリギリまで苦戦していた一曲かも知れない。

12.LOVE is
打ち合わせ期間、選曲リストが挙がってきた時に二度見した。嬉しすぎたー!ずっと演りたかった曲だったのでまさか叶うとは・・・と終始感激。スタジオでのリハーサルの頃からずっとニヤニヤしてた。
人生はエンターテインメント!

13.夢見ていよう
この曲がどれほど好きかはもはや言うまでもないと思うので

ただただ、ひたすらに、感謝を(途中マジ泣きしてたところが配信に映ってなくてよかった)
最後のサビ2周目でMASUMIと泰斗さんがとてつもなくエモい演奏をしているので必見。泣いているお客さんを見ちゃうとこっちもやられてしまうので、涙が溢れてこないようになるべく上を見てた。
よかった・・・よかった(クソデカため息)

14.ゲキテイ
やっぱり最後はこの曲。キャストが全員歌って踊るのは壮観。イヤモニ越しでも手拍子や掛け声が聴こえてきて感動した。
いつもは全部一緒に歌うんだけどこの日はしみじみと見渡してた。もうすぐ終わっちゃうのかぁ、なんて思いながら。

この曲を演奏するたびに「ずっとこの景色を覚えていよう」と思う。

En.愛が香るころに

えっ、愛が、、、えっ、、、、えっ!?!?
演れるの!?!?!?マジで!?!?!?!?

Akht. / CHAKA氏との電話打ち合わせにて

『まさかこの曲を演奏できる日が来るとはシリーズ』の筆頭。感無量とはこのこと。
智佐さんは紐育と巴里のパートの間、客席を練り歩く。ときどき走る。感謝を言葉にして、手を振りながら、花のように咲く笑顔で。その姿は真宮寺さくらそのものだ。ステージ後ろの遠目からでも、笑っている人、泣いている人、歌っている人の姿が見えて、こっちまで胸がいっぱいだった。

智佐さんは、夏の炎天下でも、風が吹き荒ぶ秋も、凍てつく冬でも、季節を問わず満開の桜が如く、エネルギーの塊のような人だ。愛とバイタリティに満ちたトップスタァのその姿に、いつも圧倒される。

『サクラ大戦』を紡ぎ続けてくれることへの感謝と、尊敬の念に堪えない。

・・・ちなみにギターのMASUMIはギリギリまでトイレに行っていて「戻ってきたらタイトルコールだった」という、あわや大事故だった裏話がある(お客さんにも「浪漫楽団の様子がおかしいな?」と気付いた方がちらほらいたかも)
そういう小さなアクシデントも含めて、忘れられない一夜となりました。

手を振り返してくれた人、名前を呼んでくれた人も、ありがとうございました。降り注ぐ拍手の音と歓声が、とってもとっても嬉しかった。

『文化』は一生の思い出、宝物であり、架け橋に成り得るもの。
僕も含めて、来ていた誰もが、きっとサクラ大戦を通して、横山智佐さんというスタァの存在を通して、人生が豊かになった人たち。支えてもらった人たち。連れて来られた、なんとなく来たという人だって、その流れがなければ存在し得なかった時間の中にいる。知る前と後とで、生き方を定められた、運命を決定づけられた人もいるかも知れない。オフ会に行って一生の友達ができたり、歌謡ショウや、mixiや、SNSから繋がった人たちも。

僕は一介の音楽家だけれど、ゲームが好きじゃなかったら此処には居ないのだ。ドラムを叩いていなくても、此処には居ないのだ。

感謝しかない。
魔法は実在した。夢のつづきは、ここに在った。


今だから言える話をすると、まだ智佐さんと知り合うずっと前のこと、一番最初にCHAKA氏から浪漫楽団への参加オファーを受けた時に。
僕は二度断っている

「恐れ多すぎます」
「僕には無理です」

簡単に言ってしまえば、サクラ大戦と歌謡ショウという歴史の重みに、自分が耐えられそうになかったのだ。
知っての通り楽曲のジャンルは多岐に渡り、要求技量は高く、何より失敗は許されない。至極当たり前のことだけれど。

僕には相応しくない、もっと上手い人がいる、適任がいる、と返した。そんな自分に対して。

「でもなぁ」
「アクティーは、俺らの中の誰よりもサクラ大戦好きやん」

「それは、はい、おそらく・・・」

「仕事は仕事やけど」
「やっぱり愛がある人に叩いて欲しいやん?」

「それはそうですね、はい」

「なら決まりや」
「君しかおらへん」

「・・・わかりました(震え声)」

そんなわけなので、僕は一生CHAKA兄さんに頭が上がらない。



以上、長々と駄文乱文が続いてしまいましたが、ここまで読んでくださった全ての方に心より感謝御礼申し上げます。

先日の公演に足を運んでくださった方にも、配信を御視聴くださいました皆様にも、関係各位、浪漫楽団のメンバーにも、改めて。

かつて仙台を拠点にしていた少年は、後に数多の大神少尉の一人となり。
人生のLIPSを上手に選べたのか、はたまた運命の悪戯なのか、帝都に渡り、その後、本物の”さくらくん”に出会うことになる。

絵空事のような、それこそ夢みたいな話が現実になり、夢のつづきを観に行くことまで叶い、たくさんの笑顔と感動が、生涯枯れることのない桜が、心の中に芽吹いている。

きっと僕は、この日のことを何度も思い出す。
しつこく、何度も、何度も思い返して「楽しかったな」「また会いたいな」と、恋焦がれることになる。

何度言葉にしても追いつけない感情を、寂しさと温かさと、ありったけの想いを載せて、結びの言葉とさせていただきます。

ありがとうございました。

また、愛が香るころに。
必ず。


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