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手の抜きどころに思想が滲(にじ)み出る

今朝、スターバックスに行って気づいたことがありました。

それは「トイレ掃除には手を抜いている」ということです。

私はそれを決してネガティブにとらえたわけではありません。
むしろスターバックスがどんな思想をもっているのかをうかがい知れ、好意的に、ポジティブに受け取りました。

今回はそんな、私がスターバックスでの経験したことから得た着想にもとづき、気づき、考えたことを書いていきます。

スターバックスの手の抜きどころ

これまでに何度も利用したことのあるスターバックスのトイレ。
今日入ってあらためて気づいたのは、トイレの便座に取り付けてある便器の掃除グッズです。

こんな感じのものです。(以下)

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決して見栄えが良いものではありません。
これを目にして私は、お洒落で洗練されたスターバックスには似つかわしくないもののように感じました。

そこで考えてみました。「なぜスターバックスはこんなものを便座につけているのか?」、「この格好悪いものを許容しているのか?」と。

そう考えてみて私が行きついた結論は、おそらくスターバックスは、見栄えの悪さというマイナス面よりも、トイレ掃除の時間と手間を省くというプラス面を優先しているのだということです。

スターバックスが大切にしていること

ここにスターバックスの思想・哲学が読み取れるような気がします。

それは「お客様に心地よい空間を提供することを最優先したい」というものです。
その手段として店内スタッフの方々が優先すべきことは、お客様との会話やスムーズな商品提供なのです。
ここにもっともおおくの時間とエネルギーを投下したいのです。(というのが私の推測です)

トイレ掃除にかける時間とエネルギーは最小化したい。その分、お客様との接点をもつ時間を最高に心地よいものにしたい。
そんな思いが、スターバックスのトイレに設置された便器の掃除グッズから感じ取れました。

手の抜きどころに思想が滲(にじ)み出る

この経験を通じて私が着想したのは、「手の抜きどころにこそ、その人(組織)の思想が滲(にじ)み出る」ということです。

人にも組織にも、時間やエネルギーという資源(リソース)は有限です。
その限られたリソースをどこに振り向けるか?に、その人や組織が何を大切にしたいのか?という思想・哲学が反映されているのです。

リソースが有限である以上、何かを優先すればその代わりに何かを捨てなければなりません。
捨てている部分を見ることは、同時に、捨てずに守っている部分を確認することになるのです。

大切にしていないものに目を向けることの有効性

私たち人間は、目の前に「あるもの」には意識が向きにくいという認知特性をもっています。
反面、その場に「ないもの」には意識が向きやすいとされます。視力検査で用いられるランドルト環を見たとき、即座に輪っかの欠けている部分に目が行くのは人間の認知特性上、とても自然なことなのです。

この人間の特性を踏まえると、他人の「大切にしているもの」を推測する手段として、反対の「大切にしていないもの」に目を向けるのが有効だとわかります。
その人が大切にしいないものは、他人である私たちにとって気づきやすいものだからです。

そして、その大切にしていないもの「以外」の部分に、その人が本当に大切にしたいものがあるのです。

さいごに

今回は、私が今朝訪れたスターバックスで便座お掃除グッズを目にして考えたことをお伝えしました。

人も組織も、日々の行動や活動のなかで「何をしていないか?」の中に、本当に大切にしたい思想や哲学、価値観が埋め込まれているものです。

その人や組織のことをよく理解したいと思ったとき、その人が明示的に「やっていること」にだけ目を向けるのでなく、「あえて、やっていない」ことを通じて暗示的に伝わってくるものに目を向けてみるのが効果的です。
そこには、その人や組織が本当に大切にしたいものが潜んでいます。

今回は以上です。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。

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