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言葉を贈るように、ひとを撮る 

仕事で新しいプロジェクトに入れてもらい、文字通りの忙しい日々。毎日深夜の帰宅で、noteがすっかりread onlyになってしまっていた。そんな日々の中で、気合を入れてのぞんだプライベートな時間があった。

あるCDに使う写真の撮影である。天気とにらめっこしながら、晴れた休みの日を狙って代々木公園へダッシュした。

そのCDとは、シンガーソングライターであり、報道カメラマンであり、ディレクターであり、映画監督でもある友人が出すCDだ。ロックとジャズと、時にボサノバも融合させたような、カッコよく、時に壮大なテーマもあり、時にほろっときて、時に遊び心のある音と言葉。

「天は二物を与えず」とは誰の言葉だろう。彼はいったい何物(なんぶつ)なのだろうか。彼は目の難病が進行する不安と闘いながらも、五十歳を前にして夢のために留学するという新たな挑戦の道を選んだ。米国の最新の映画の技法を学び、日本で新たな形のジャーナリスティックなコンテンツを作る、という、彼ならきっと実現可能な夢だ。

彼の挑戦は止まらない。こんな人、生まれて初めて見た。必ず何かを成し遂げてくれるだろう。いや、もう十分成し遂げているのだけれど。

私は心からのリスペクトの気持ちを込めながら、シャッターを切り続けた。プロのカメラマンでもなんでもない私。写真の基本も全然わかってない。代々木公園の中で次々と場所を変え、設定を変えながら彼の写真を次から次へと撮り続けた。

「CDの写真を撮ってくれないか」と彼から頼まれた時はとまどった。カメラは趣味として楽しんでいるだけで、技術面ではまだまだだからだ。でも、結局CDジャケットに、いや歌詞カードの中の小さな写真にも使ってもらえなくてもかまわない、自分にできる表現で「贈る言葉」として写真を撮ることを引き受けた。

「留学の夢が実現してほんとよかったな」「がんばれよ」「一体どんなすごいことやってくれるんだい」「なんかこっちも元気でてきたよ」「俺も負けてられないな」「とにかく元気でな」-- シャッター音の一つ一つが、贈る言葉だ。



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きょうも最後までお読みいただき、ありがとうございました。
AJ 😀


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