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北海道のどこがいいの?【ショートショート】【#17】

さとみ:「北海道行こうよ!卒業旅行北海道にしようよ!」
きょうこ:「いいじゃん北海道!海鮮海鮮!」
つばさ:「えーだって寒いじゃん。今、何月だと思ってんの」
さとみ:「北海道は寒いもんでしょ!時計台とかマーライオンとか!観光してボードやって、たらふく海鮮食べようよ!」
つばさ:「そもそもお金ないし、旅行なんて近場でいいじゃん」
さとみ:「だってあれらしいよ!北海道今、安いらしいよ。なんかよくわかんないけど、誰かがゆってた!」
きょうこ:「誰かって誰なの……」
さとみ:「いいじゃん誰でも!クラーク像見に行こうよ!ボーイズビーアンビシャスでしょ!ちゃんと知ってんだから!」
つばさ:「あたしらボーイズじゃないしー。てか、その人が言った訳じゃないらしいよ。銅像立てちゃったから、おっさんが言ったことになってんだって」
きょうこ:「そんな、近所のおじさんみたいな言い方しなくても……」
さとみ:「もう!みんなノリ悪い!みんなエビとかカニとかイクラとか食べたくないの!?卒業したらもうJKじゃないんだよ!」
つばさ:「取り敢えず、いくらかかるとか調べてよ。それわかんないと始まんないし」
さとみ:「つばさこそ、さっきからずっとケータイいじってんだから、ちゃちゃっと調べてよ!あたしのケータイさっき充電切れちゃったんだから」
つばさ:「んー今、ちょっと忙しいからダメー」
きょうこ:「はいはいあたしが調べるから。ちょっとまって。取り敢えず海鮮食べれてクラーク見れればいいんでしょ」
さとみ:「さすが!きょうこは気がきく女!これで彼氏の一人も出来ないなんて、世の中の男はホントに見る目がない!」
きょうこ:「えっと……あ、うん。そうだね。見る目ないよね、うん!」
つばさ:「…………あーー」
さとみ:「なに?どしたのきょうこ?なんかあった?」
つばさ:「……あたし、旅行パス」
さとみ:「……え!?何いきなり!?」
きょうこ:「なに?なに?どうしたの!?お母さんが倒れたとか?大丈夫?」
つばさ:「いや、そういうヤツじゃなくて。えーっと……彼氏が出来た。だからパス。ごめん」
さとみ:「……は!?何言ってんの?いつから?誰?相手は?ってゆうか、さっきいい男っていないよねーって喋ってたじゃん!」
つばさ:「あーそうね。なにせ今さっきラインで告られたから。別に嫌いじゃないしOKしちゃった」
さとみ:「ちょっとまってよ!男が出来たら態度ひるがえして男優先なんて酷いと思わないの!私たち友達でしょ!」
つばさ:「うん友達だけど、まぁほら『卒業したらJKじゃなくなっちゃう』しさ」
さとみ:「ねぇ!ちょっと!きょうこも何か言ってよ!男が居るからなんだってゆうのよ!いくらなんでも酷いでしょ!」
きょうこ:「……あの。ごめんなんか言い出すタイミングがアレだったんだけど、あの、実は私も……先週、告白されて、彼氏が……」
さとみ:「…………っ!!」
つばさ:「あら、おめでと」
きょうこ:「だから、そのつばさの気持ちもわかるなって……いや、旅行は行きたいよ、うん。でもほら、もうちょっと近くてもいいかなって。確かにほらJKの時は今しかないし」
さとみ:「…………くから」
つばさ:「……ん?」
きょうこ:「……え?なに?なんて言ったの?」
さとみ:「私、行ってくるから!一人で!!北海道満喫してくるから!あんたたちなんか知らないんだから!時計台行ってクラークポーズしてマーライオンのまねして、エビとかカニとかイクラでインスタ満載にして、やっぱり行けばよかった~って言わせてやるんだから!」
きょうこ:「ごめんごめん!いやもちろんさとみとも旅行行きたいよ。北海道だって行きたいし、マーライオンも見たいよ。だから、ほら一緒にいこう……卒業したら(笑」
つばさ:「てゆうか、マーライオンは居ないけどな」
さとみ:「……やっぱり一人で行ってくる!!(泣」


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