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たけのこ@マンガライターが2023年に読んで面白かったマンガ40選!

さて。

2023年どんな年だったでしょうか。
わたしは、どうもマンガを買いすぎている気がしてはいるのですが、まあなんとかしないといけないなぁとか思っています(笑

そのぶん面白いマンガに出会うことも多かったのはとってもいいことなのですが、その分、今年はぜんぜん決められませんでした(笑 いやだいたいは決められるんですけど、とくにTOP10とかの順位……とか。これが一番面白かった!みたいなものはもう言えない。ぜっ……んぶっ面白い!という恐ろしい事態。
しかもせめて名前だけでも出したい……と思えるマンガもたくさんあって、結果とし40選とかいう感じになっております(笑 とはいっても後半は本当に名前だけですけれど。

そんなわけでわたしと趣味が近いなぁと感じていただける方なんかは、上位作品はぜひとも読んでいただければと思います。とっても個人的な事情からイチオシは『入味 この娘と食卓を囲む日から』です。

2巻で完結したのですが、みんなが買ってくれて、人気が出てしまい、続きが描かれるなんてそんなミラクルなことにあわくも期待したいからです(笑


10位まではちゃんと触れますが、そこから先は気分次第ってところですね。あと一応、2023年に出た作品で読んだ作品という基準で選んでいますが、読んだタイミングのせいで去年出たマンガなんかもあるかと思います。
また「このマンガがすごい!」は10月基準ですけど、これは2023年にっていう基準で選んでますので、大好きですが『うみべのストーブ』とか『ルリドラゴン』は今年のランキングには入っておりません。

前置きが長くなりましたが、行ってみましょー!!
まず1位から5位群です!

ツイート上段ですね。
この5作品がわたしがTOP5に好きなマンガでした。5作品のなかでの順位はつけておりません。どれも面白すぎてつけれませんでした。というわけで個別いきます。

『東京ヒゴロ』

松本大洋先生の集大成的な作品。マンガ編集者が、会社を退職し、みずからのセンスだけでマンガ雑誌創刊のために動きだすお話。某YouTubeのマンガ感想チャンネルで「この時代に紙の雑誌出すのダメでしょ」とか言われてたの面白かったです(笑 実際、WEBならともかく紙を出すのは現実にはかなり難しいでしょうね。まあそこはマンガですから。

このマンガが自分に刺さったポイントはなによりもその「絵」でしょうか。いえ、単純に「絵」といってもその出てくる漫画家の先生や、編集の人にはもちろん松本大洋先生自身が投影されている部分があるはず。実際に体験したエピソードもあるのでしょう。
そんな数々のエピソードが絵になったときに、そこから匂い立つといいましょうか。情念みたいなものがにじみ出ているように感じました。魂といってもいいでしょう。技術だけでも情熱だけでもない。そのどちらもがはちきれんばかりに結実したマンガがここにある。そんなふうに感じてわたしの心に深く突き刺さったのでした。

松本大洋先生のマンガはこれまでにもたくさん読んできましたし、好きな作品もたくさんありますが、どれが一番好きかと問われたときに『東京ヒゴロ』です、と今なら迷いなく答えることでしょう。

すばらしい作品でした。


『違国日記』

そして今年完結いたしました『違国日記』です。
『違国日記』はですね、わたししばらく前から言語化を放棄しておりまして(笑 ――その、なにかがどうかなるマンガじゃないんですよね。朝と槙生の関係性だって変わるというほど変わらない。でもそれはまじりあって、やっぱり同じではいられない。互いに少しづつまじって、互いに持っている色が少しづつ変わるっていう感じかしら。

これだから、正直すっごく説明しづらいマンガだと思うんですよ。でも目的があってそれを達成しなくて、心に響くし、いいものを読んだ気分になるマンガはある。それが『違国日記』です。

もちろんわたしはもともとヤマシタトモコ先生が大好きなので、色メガネで見ている部分がないとは思いませんが、歴史に名を残すマンガだと思います。


『サバキスタン』

えっ……『サバキスタン』って紙の値段が電子書籍の倍以上するんですね。それはちょっと手を出すのに躊躇する気持ちわかりますね。電書は普通のマンガとさほど変わらないので、抵抗ないかたはぜひ電書からでも読んでみてください。

先日、「今年の個人的にイチオシマンガ」を聞かれたときには『サバキスタン』を答えました。すっ…………ごく面白いです。ロシア発というだけで稀有なのに、社会主義体制に大きく関わりのあるマンガで、まさにロシアにならでは感があるのも最高です。

中身を説明いたしますと社会主義独裁国家の転落とその後を描いたマンガです。独裁国家を描いたマンガはあると思いますし、独裁国家の崩落を描くマンガもあると思いますけど、独裁国家の崩落後をこんな形で描いたマンガは見たことがありません。人間の業といいますか、愚かさといいますか。それをこの形で、3冊という形でひとつの形にしているのはもうすばらしいとしか言いようがない。
装丁も1巻赤くて2巻青くて、3巻白いってこれまた中身とつながってて……そんなところも気が利いてるなんて。ああもうサバキスタンに栄光あれ!

いやもちろん海外マンガで、日本のマンガ形式とは違うので万人に読みやすい形とは言えないと思いますし、難しいところもあるんですけど、この作品に出会えただけで今年生きててよかったなってマンガ読みとしてのわたしは思っている限りであります。最高です。


『神田ごくら町職人ばなし』

「このマンガがすごい!」でもオトコ編3位ですか。すばらしいですね。
いやーでもほんとこの作品も心震えましたもの。評価されてうれしい作品です。

江戸時代のさまざまな職人を描いた短編集。とにかく「絵」でしょう。ほんと震えるぞハート! 燃え尽きるほどヒート!な気分です。たたみの絵とか見ました?さらっと描いてますけどあの細かさはもはや狂気でしょ(笑 

マンガって大衆娯楽であるがゆえに、その芸術性みたいなものはとくに日本では軽んじられがちだと思うのですが、これはほんともやはアートって思いながら目を皿のように眺めておりました。それだけでもすごいのに、ちゃんとキャラがあってストーリーもあるなんて。天才の所業かよってなります。

いやもちろんどんなマンガだって並々ならぬ時間と労力がかかっていることは間違いないのですが、そういうマンガのアートな部分を思い起こさせてもらえたというのがこの作品を評価したい最大のポイントかと思いました。狂気。


『三毛猫モブは猫缶を稼ぎたい Mobu’s Diary』

今年、一番心をつかまれたネコ選手権堂々の一位です。

彼女の名前はモブ。飼いネコながらパトロールばかりの毎日に飽きてしまい、ネコ缶を買うためにみずから労働しようと名乗りでます。いやーなんと献身的なネコ。でも基本知らない人は嫌いだし、お昼寝大好き。そんなモブのハラハラドキドキな新たな一歩を描いたマンガです。台湾で活躍するイラストレーターの先生の作品ですね。

いやね、なにより顔がいい。
超かわいいのよこれが。ほんと顔に一本釣りされたといっても過言ではありません。この表紙もかわいいんですけど、なんか中身で描かれる顔の方が1.3割増しかわいくて、ほんとぜひみなさんにも堪能してほしい。だってかわいいから。モブほんとかわいい。額装したい。複製原画とか売ってないのかな。

結構絵柄にひかれちゃうことってあるんですけど、キャラクターの造形に一本釣りされたっていうのはあんまり体験したことがなくてかわいいです。要はかわいいってことです。もうそれだけ覚えて帰ってください。モブはかわいい。


以上、ここまでがわたしが今年、2023年に読んで面白かった5作品の紹介でした!

そして6位から10位はこちら。最初のツイートの下段の5作品です。
さすがに1万字とかに行っちゃうとイヤなんでテンション落としますね(笑

環と周
ダンジョン飯
まめで四角でやわらかで
コワい話は≠くだけで。
SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん

よしなが先生の天才っぷりをあますとこなく発揮していただいた『環と周』。そして今年大円満の完結をむかえた『ダンジョン飯』。「このマンガがすごい!」でも選ばせていただいた『コワい話は≠くだけで。』
そして途中から追いついて、その面白さに圧倒された『SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん』が、上位10位入選という恰好になりました。

『SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん』面白かったし、一緒に読んでいた『ガールクラッシュ』も死ぬほど面白かったので、こんなツイートしたくらいです。

で、しかも『ガールクラッシュ』は紙が出ていないんですよ。電書だけ。

で、電書だけってなると例えば「このマンガがすごい!」では選べないし、この「名刺代わりの10選」でも画像が選択できないんですよね。だからもうちょっと後ろになりますが選ぼうと思ったら選べなかったので泣く泣くくり下げました。韓流アイドルを目指す女の子たちの戦いを描いた『ガールクラッシュ』めっちゃ面白いですよ。

『まめで四角でやわらかで』は「このマンガがすごい!」は32位ですか。これわたし大好きでした。とにかく絵がうまい
「このマンガがすごい!」の話ばかりしてあれですが、今年は5作品+αに加えて、レビュー3本描かせていただいて、加えて「あのマンガのこのシーンがすごい」っていうコラムのとこでも、わたし『まめで四角でやわらかで』のいちシーン選ばせていただいてるんです。それくらいインパクトあったんですよね。

一枚の「絵」としては『神田ごくら町職人ばなし』の強さも相当でしたが、マンガ的なうまさという意味では『まめで四角でやわらかで』も相当なものだと思いました。

そんなわけで次行きましょう。11位から20位の10作品です!

『あかね噺』
『となりの百怪見聞録』
『漫身創痍』
『トリリオンゲーム』
『ビンテイジ』
『おひとりさまホテル』
『自転車屋さんの高橋くん』
『虎鶫 とらつぐみ -TSUGUMI PROJECT-』
『入味 この娘と食卓を囲む日から』
『令和のダラさん』

本当はここに『ガールクラッシュ』を入れたかったのですが、先述の理由により断念いたしました。『おひとりさまホテル』と『自転車屋さんの高橋くん』は、先生がたのトークショーに行ったことでマンガの解像度があがり、結果として作品も余計好きになったというところはありました。
原画展とかイベントとか、たくさんやっておりますが、個人的には「ヒマがあったら行った方がいい」と思っております。……ま、その原画展だと、「デジタルで描いているかどうか」でありがたさがだいぶ違うかなという印象はありますけれど。なんにしても作品をもっと好きになれるし、単純にアートとしてもすばらしいです。

で、上でも宣伝していた『入味 この娘と食卓を囲む日から』

1巻は単純に楽しんで読んでいられたのですが、2巻はもっと読みたいのにここでもう終わってしまうのか~~というところで終わっておりまして。
中華女子2人がおりなす百合料理マンガです。
ポイントは「中華」で出てくる料理も中華……といっても日本人が普通にいう「中華料理」ではなく、向こうの日常料理が出てくるのが目新しいです。単純にキャラクターふたりのかけあいやビジュアルも大好きです。

だからみんな買ってもらって、「なんか日本で人気らしいよ。続き描く?」みたいな空気作ってほしいと願っている次第です(笑 

そして21位から40位までがこちらになります。ほぼほぼ名前だけで失礼いたします。でも、このレベルにこそ読んでほしい作品が結構あるなぁなんて思いが、「名前だけでも……」とこうして載せている行動につながっています。

『ガールクラッシュ』
『佐々田は友達』
『8月31日のロングサマー』
『鬼姫神社通り商店街』
『スーパースターを唄って。』
『生き残った6人によると』
『東東京区区』
『新古書ファイター慎吾』
『私の息子が異世界転生したっぽい』
『リバイアサン』
『パラレルリープ・シンドローム』
『友繪の小梅屋備忘録 vol.1 〜女学校園遊会顛末記〜』
『テラ麺』
『恋せよまやかし天使ども』
『COSMOS』
『【推しの子】』
『神作家・紫式部のありえない日々』
『いつか死ぬなら絵を売ってから』
『狼の娘』
『朝子のムジカ!!』

あーあたらめて見てみても、ここの水準の作品好きな作品ばっかりです(笑 TOP10とかはもうなんていうか、暴力的に強いというか、圧倒的な力量みたいな裏打ちがあったりするので、もうひれ伏すしかないという気持ちになるのですが、このへんの作品は「ああ~好きだったな~」って感じなので、今見ても「好き~~」って思うわけです(笑

断腸の思いで3つだけ選ぶと

『恋せよまやかし天使ども』

『新古書ファイター真吾』

『東東京区区』

いい作品ばかりなので、もしこれってどうなのとかあれば気軽に聞いてください。DMとか公の場所じゃなければ、言いづらいことも含めてちゃんとお教えいたしますよ(笑


その他ということでいくつか。

今年の作品じゃないものが多いですが、最近、海外の著名作品をいくつか読んでいまして、そのなかから印象深いものもありますので、いくつかご紹介。

『マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語』

『ペルセポリスI イランの少女マルジ』

この2作品はほんとなんていうかガツンときた作品でしたね。どちらも戦争というか、アウシュビッツでツライ話なのですが、ちゃんとマンガとして面白くて、マンガという形式をとってくれたことでわたしがこれを読むことができた、という事実がうれしかったというか。
これ固い文字の実録本とかだったら絶対読んでないんですよ。だから中身の素晴らしさもさることながら、「マンガ」というものの力も感じた作品だったのでした。

ネゴトでやっている毎月のテーマの中で12月は「#ベストバイマンガ2023」っていうのがあって、そのタグではこの『ペルセポリスI イランの少女マルジ』を選ばせていただきました。そのくらいには買ってよかったと思った作品でした。

そして最後にもうひとつ。
今年は尻崎さんというひとりのアナルアスリートに出会うことができたおかげで、例年よりも少しだけ楽しく過ごせた気がしております。出会いって大切ですね。本棚にはとてもおいておけませんが、いつでも胸にしまって大事にしたいマンガです。
みなみなさまには全然オススメいたしませんが、今年一番笑ったマンガかな~と思っていますよ。

『ひとりぷれい』


というわけで今年もありがとうございました。
また来年もマンガを読もうかと思います。そしてもっとちゃんとマンガのことを知ろうとも思って、今、マンガに関する活字の本なんかを読むということを意識して生きてます。それがどこにつながるとも知りませんが、がむしゃらにあがくことは無駄になりませんからね。

来年もよろしくお願いいたします。
来年は、リアルでオフ会とかしたいので、東海地方っていうか名古屋とかに来れる人はよろしくお願いいたします。

では!


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