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『葬送のフリーレン』は果たして「玄人向け」なのか?【#マンガの話がしたい】

めちゃくちゃ売れているんだから「玄人受け」なんていうことはない、――という結論でもいいのですが、「むずかしい」とか「わからない」というような声が聞こえてきたのも事実ですよね。

で、個人的にも「わかりづらい部分はあるな」と思っているし、今日はもう仕事したくないので勢いにまかせて、そのへんのことを書いておこうかと思います。超いまさらですけども。

わかりやすくないと言われている理由は主に4つだと思うんですよ。順にしゃべってきますね。

①設定がわかりづらい

これは結構いわれてましたね。ドラゴンクエストみたいに「勇者がいて、魔王を倒す」を基本構造とするゲームに良くあったファンタジーの素養がないと、前提となるヒンメルの冒険がスッとはいってこない、というお話。
昨今の異世界ものからファンタジー世界に入った人からすれば、スローライフとかじゃいかんのか?とか、魔王みたいな絶対悪がいる設定もそれほど多くない印象あります。

②主人公がわかりづらい

そして主人公がわかりづらい。いやタイトルにも「フリーレン」って入ってるのですから、主人公を見誤ることはないにしても、あまり主役らしい存在でないことも確かです。
戦わせれば絶対強者ですが、それ以外は基本的にポンコツ。どちらかというと、フェルンやシュタルクのほうが主役的に働きます。恋愛模様がとりあげられるのもこのふたりで、フリーレンは基本的に蚊帳の外の傍観者の立場です。(でもヒンメルはガンガンフリーレンに言い寄ってたと思ってるよわたしは)

加えて「エルフという種族が長命種である」という根源的で一番大事ともいってよい設定も、エルフになじみがないとスッと入ってこないなんて話もありましたね。

エルフが長命種であるという話は序盤できちんと語られているとはいえ、エルフになじみがないと忘れがちに。なんでこの子、やたら昔思い出しているのかなぁ……転生して二度目なのかなぁ、よくわからんなぁ。なんてなってしまうのかもしれません。

③目的がわかりづらい

そして旅の目的もわかりづらいと思います。
「該当の場所に行って、ヒンメルとしゃべりたいから」みたいなことはちゃんと語られてはいるんですけど、「海賊王に俺はなる!」みたいなキャッチ―サに欠けるなぁと常々思っております(笑
目的地にはずっと一直線で向かっているものの、試験があったり、魔法集めたり、最終目的に対する意識自体は普段は希薄なんですよね。おかげで「この人たちなにやってるんだろう……」ってなるんじゃないかと思うところはあります。

④魅力がわかりづらい

そんな『葬送のフリーレン』。最大の魅力は長命種であるフリーレンが旅をすることで生まれる郷愁の思いが、どこにいってもつきまとってくることでしょう。先々で感じるなつかしさや切なさといった感情を、読者である我々もフリーレンを通して追体験できる。それが最大の魅力だと思っています。ノスタルジアです。

もちろんキャラクター単体としての魅力にもあふれ、ちょい役だったはずのアウラ様とか、ユーべルとメガネ君とか、想定以上の人気を勝ち得ているとことろはあると思います。

いっぽうで、これを普通の「異世界ファンタジー作品」と思って構えてしまうと、先にいったようにイマイチ目的もはっきりしないし、わりと地味な話も多いし、バトルはひとコマで終わっちゃったりするし、キャラはいいけど、魅力がよくわからん……となってしまうのではないかと。

ここが「よくわからん」とか「むずかしい」「玄人向け」だなんていわれる主因かなぁなんて思っております。

むずかしいと思ったことのあるひとは、『葬送のフリーレン』はバトル漫画とかじゃない、ノスタルジアだよ、っていう意識でもう一度見直してもらえれば、この作品の良さに気がつくことができるのではないでしょうか。

というわけで、『葬送のフリーレン』はとってもおもしろいよ、というお話でした(笑
蛇足でなんなのですが、これ書いてるときに『葬送のフリーレン』って打ったつもりが『粗相(そそう)のフリーレン』って出てきてしまって笑いました。

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