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【2022年総括】2022年に読んで面白かったマンガ20選!(たけのこ@マンガライター)

今年も沢山マンガを読みました。
とってもありがたいことに、「このマンガがすごい!2023」の選者としてアンケートにも応えさせていただき、マンガ読みとして大変励みになりました。

世の中にはわたしよりもマンガを沢山読んでいる識者のかたがたが沢山いらっしゃるのは存じ上げておりますので、わたしが選ばれたのは運の要素も多分にあったかと思います。でもそんなのぜんぜん関係なくってうれしいものはうれしいのですから、喜べるときには存分に喜んでおくことにいたしましょう。

さて、じゃあ行きましょう。
趣味全開で選びますので基準は「わたしに刺さったかどうか」。これにつきます。

では今年、わたしが読んで面白かったマンガ20選です!
今年はランキング形式にしてみました。ただグラデーションのひとつとして便宜上つけたようなものなので、正直あまり順位に意味はありません。


⑳『うるわしの宵の月』

顔が好き。
いや顔以外も好きなんですけれど(笑 
いやもちろんこれまでもいいマンガを沢山描いてきたベテラン先生で、シチュエーションもキュンキュンさせられて本当に素敵なんですけど、なんだかんだ「顔がいい(ヒーローもヒロインも)」という感想に全部持っていかれるのが好きです。


⑲『さよなら絵梨』

これ、わたし「このマンガがすごい!」では2位に選んだんですけどね(笑 時間がたったらこの位置になりました。
あと、あっちは単に好きなものを選んだわけじゃなくて、色んな思惑が働くんですよね。結果としての5選(+1)だったので、こちらの趣味全開とはだいぶ開きがあります。

それでもこの作品がとびぬけた作品であることは間違いないですけどね。爆発オチ大好き。


⑱『女の園の星』

強い。なんかもう強いんですよ。だって面白いもの。
このめちゃくちゃ腹を抱えて笑うようなテンションでもなければ、シュールに走りすぎるわけでもないのに面白い。その上、好感度も高い。強い。

人生二回目なんじゃないだろうか、とか思ってしまうレベルですよね。


⑰『僕の心がチューと鳴く』

残りましたねぇ。
これ選んだ中では1,2を争う知名度低さではないでしょうか。でも刺さったんですよわたしには。表紙からはカワイイネズミとネコの日常系な感じかなにかかと思わせておいて、人間とはなにか、みたいな根源的な疑問をぶちこんでくる系のお話。

最近、普通のマンガばかり読んでいるなぁと思ったらこういうのもいいと思います。わたし好きです。


⑯『ゴールデンカムイ』

そして16位には今年完結いたしましたゴールデンカムイです。
面白かったですね。連載最終回とコミック最終巻を比べてみることができたのもマンガ体験としてはとても楽しかったです。結構いろいろ加筆されてましたし、連載でも面白かったのに単行本のほうがもっとすごい!みたいな感じで、二度美味しい状態になりました。

次回作も楽しみにしております。


⑮『ONE PIECE』

そしてワンピース。
「このマンガがすごい!」では8位でしたか。
漫画読みとしてはこのタイミングでワンピースが入ってきた理由、すごくわかります。たぶんみんなわたしと同じ流れです。ゴールデンカムイでもそうですが、要するに「無料公開」です。

あれがなかったらわたしがワンピースに追いつくことは考えられなかったし、いくら最終章に突入するとはいえこのタイミングでここまで再評価されることもなかったはずです。

もちろん無料公開には諸刃の剣的な面もあるとは思いますが、わが身に照らしてみれば、かなり効果があったのは間違いないかと思いました。だってワンピースはめちゃくちゃ面白いもの。


⑭『宝石の国』

そう、これも無料公開組なんですよ。
そして、読んだら読んだで面白いわけです。『宝石の国』なんてもうほんとに面白くて面白くて……。いや面白さで言ったらワンピも金カムもめちゃくちゃ面白かったな。いやもうマンガって面白すぎるやろ。

まあそんな面白さ洪水ゾーンなのですが、『宝石の国』めちゃくちゃ面白いですよ。それしか言っていないな。スケールがでかいのよ。そして広げた風呂敷が計画的にたたまれていく快感、みたいな感じでしょうか。

いやもう正座待機って感じです。面白いです。


⑬『ルリドラゴン』

好きだ。そればっかり言ってる気もするけど好きです。

なにが好きってのは正直よくわからなくて。空気が好き。キャラが好き。話も好き。なんかもう「全部好き」って感じなのです。そんないい加減なレビューあるかよ(笑

だってー好きなんだものー。もうその「好き」の一本釣りでこの順位まで上り詰めてしまったのだからいいんだよ。好きなんだよ。


⑫『緑の歌 - 収集群風 -』

好き一本釣りだった『ルリドラゴン』に比べると、かなり「好き」な要素にあふれた一作。

「風をあつめて」なんかの細野晴臣や、ゆらゆら帝国、村上春樹など。舞台は台湾でありながらもちょっとレトロな日本の文化に溢れています。台湾関連マンガにかんしては今年一年ずっと気にして見てきました。
そして今作は、台湾マンガの壁を越えて日本のファンにも沢山受け入れられているようで嬉しいです。

音楽や小説など、さまざまなコンテンツを愛している人には刺さること間違いなしな一品です。

台湾マンガのコラム書いたのでよかったらどうぞ。


⑪『コワい話は≠くだけで。』

ホラージャンルでは一番上でしたか。
『兄だったモノ』とかもかなりの怖さがありましたが、タイミング的なものもあってこちらがランクイン。

伝文形式で、怖い話を今まさに聞いているという形式で描かれるホラー短編集。やはりこの伝文形式というのが怖さを助長させているような気がします。もちろん伝文の形をたもったまま絵にするのはたやすいことではないのでしょう。

しかしそれが読んでいるわたしたちが、今まさに怖い話を聞かされているという臨場感につながり、結果極上の恐怖感の醸造に繋がっていました。すばらしい。


⑩『うみべのストーブ 大白小蟹短編集』

短編がネットで出たときから好きで、単行本待ち望んでおりました。
単行本になって改めて読んだところやっぱり素敵でしたね。

なにが素敵ってちょっと言いづらいところがあるんですけど、心理描写が丁寧で的を射てくる感じでしょうか。すこしだけSFみというか、非現実みがある雰囲気も好き。ああわかるな……かゆいところに手が届くな、とそんな感覚に陥ります。

いい作品なのでみなさんもぜひ。


⑨『生き残った6人によると』

「このマンガがすごい!」のほうでは4位に選ばせてもらいました。
好きな要素いっぱいで、総合的にはわたしの趣味のど真ん中なのかもしれないと思います。だから考えようによっては、このマンガが大好きな人とは仲良くなれる気がします。

ゾンビで恋愛でバトルもあって。その上、切なかったりもする。多分そういうごった煮具合が好きなんだと思います。
だってタイトルが「生き残った6人によると」で、ゾンビが大量発生して、モールにこもったら合コン状態で、そのくせ人数増えたりする→つまり最終的には誰かが減るとか。

いやーいいよ。好きだよ。


⑧『あかね噺』

そしてジャンプが誇る落語マンガ。
もう4巻ですので、アニメ化の話だってもう来ていることでしょう。リアルイベントもやるみたいですね。

『あかね噺』は落語マンガでありながら、べつに落語に興味なくても十二分に楽しめるまさに少年漫画誌で連載する落語マンガです。この塩梅がすばらしい。それでいてちゃんと落語もやっているんですからもう平伏するしかありません。

アニメ化されたタイミングで、世間的にも爆ぜてくれないかしら。


⑦『生活保護特区を出よ。』

こちらも知名度低めな作品。
しかしこれは名作ですよ。暗いですけど。

生活保護特区という掃きだめのような場所に行かされてしまった主人公。スラムのような場所で、何かの援助があるのかないのか。仕事は探せばあるようですけど、とにかく世間からはじき出されてしまった人がそこには集まっている。

この負の空気といいましょうか。いっけんちゃんとしてそうでも根っこにはかなりどす黒いものが流れていてそれがたまに顔をみせる、そんな場所。

明るい気分になるようなマンガとは違うかと思いますが、ずしっと重いボディブローを食らいたい人はぜひ読んでみてください。


⑥『用九商店』

そして『このマンガがすごい!』では5位に選ばせていただいたのはこちら『用九商店』。こちらも台湾マンガですね。

『緑の歌』と悩んでこちらを5位にいれました。どちらにも同じような空気はあるんですよね。端的にいうとそれは「なつかしさ」です。
描かれているのは異国の地のはずなのに、なぜかそこにはなつかしさを感じる。それがこの『用九商店』の最大の魅力だと思います。

多分、マンガの書きかた、表現しかた、もしくは台湾の人間の性格的にそういうものを重要視しがちなのか、なにかそういう構造的なものがあるのではないかと思っています。勝手にですけど。

とにかく『用九商店』は知名度と面白さの乖離率でいったら、多分このランキングに乗せたマンガで一番ではないかと思いますので、このセールの間にぜひとも一度読んでみてください。


⑤『EVOL(イーヴォー)』

というわけでの『EVOL(イーヴォー)』です。
ほんとは「このマンガがすごい!」では『EVOL(イーヴォー)』を3位に入れるつもりだったのですが、下の下で選んだ作品が期日ぎりぎりに出てきてしまったせいで、泣く泣くのぞきました。

じゃあ4位と5位に選んだやつがのぞかれるんじゃないのかい、とならなかったのが色んな意図が入り混じっているゆえんですね。

しかし『EVOL(イーヴォー)』に関しては本当に面白いと思っています。
カネコアツシ先生はこれまでにも長く活動してきているので、一度や二度は先生の作品に触れたことがあるかたも結構いると思うんです。そして、「ちょっと難しいな」と思って苦手意識を持ってしまった人もまたいるんじゃないかと、自分自身に照らすと想像してしまうわけです。

でも前作『サーチアンドデストロイ』あたりから、すごく読みやすいし、面白さが一段と昇華されたように思います。絵的にもクセがあるかとは思いますが、とても面白いです。

ぜひとも手に取っていただければと思います。


④『ジーンブライド』

そしてわたしが女編1位に押していたのがこちら『ジーンブライド』でした。

ジェンダー的な見せかたが鼻についた、というかたもいらっしゃったようですが、それすらもおおきなSF設定のひとつの要素に過ぎないというのがあっぱれです。
もちろんそうはいってもジェンダーのお話をすると、やんや言ってくる人だっています。そういう非難にさらされる可能性を知っていながらこの物語をぶちこんできたという精神もすばらしいです。

結果的に、「このマンガがすごい!」では2位でしたが、わたしが読んだ少女マンガのなかでは断トツでの1位でした。


③『東京ヒゴロ』

そして1巻に引き続き高評価の『東京ヒゴロ』です。

派手な作品でないのは確かなのですが、この静かで温度の高い情熱の炎みたいなものがわたしの心をつかんで離しません。これたぶん去年もこうやって書きました。

松本大洋先生の現在の自分自身に重なる部分があるからこそその質感にリアルさがあるのではないかと思います。本当にすばらしいと思います。


②『タコピーの原罪』

2位は『タコピーの原罪』でした。

連載を追っていたため、毎週のように楽しませてもらったあのインパクト。あのジェットコースターのような緊張感が忘れられなかったという感じでしょうか。今年で一作選ぶなら……という発想ではやはり『タコピーの原罪』は避けては通れない作品だったかと思います。

『一ノ瀬家~』は連載では追っていないのでどうなっているのか知りませんが、タイザン5先生に対する信頼度はとても高いので、また単行本を楽しみにしています。


①『MADK』

そして、2022年わたしが1番面白かった作品はこちら『MADK』といたしました。

いや正直この作品じゃなくても……という思いはあったんですよ。知名度はそこまで高くないし、3巻で完結したところだからというバイアスもありました。BLに対してはそこまで詳しくないという思いも。
加えて、かなりハードな作品であったために、人にはすすめづらいという面も大きい。

ランキングという形式にする以上、順位を付けざる得ないわけで、そこにはなんらかお基準をしかなければならない。細かい基準をとっぱらって「わたしに刺さったかどうか」という意味でいったら、やはり『MADK』は上位に来ざる得ない。そんな感じでした。めちゃくちゃ刺さったのは事実なんですよね。

自らの命を賭した、精神と精神のけずりあい。しかもそれも愛のカタチだったりする。そんな極限の愛のカタチがここにありました。
ただ何度か行っていますが、カラミもありますし、カニバリズムみもあって、かなりハードなBLであることは間違いありませんので、もし手を出されるかたはその辺はご了承してお読みください。

同じ先生の作品で言うと比較的入りやすいだろう作品は、『人馬』とか『トルソの僕ら』じゃないでしょうか。こちらは全年齢だし、先生らしい要素はありながらも、ハードさでいえばかなりまろやかです。

ツラくて、BLでもいいから面白いものが読みたいと思うかたは、『MADK』を読んでみてください。刺さる人もいると思います。

そんな感じで、以上、2022年に読んでわたしが面白かった20作品でした!



■蛇足1(このマンガがすごい!)

ちなみに「このマンガがすごい!」でわたしが選んだのはこちらです。

比較的近い位置に来ているものもありますが、こうして選んだものと比べるとわりとひらきがあります。主になにが違うかと言いますと選考基準です。

編集部からの依頼は「オススメしたい作品ベスト5」というもの。結果、オススメしたいものが優先され、オススメしづらいけれどわたしに刺さったものは除外されたという流れですね。
3位にするつもりだった『EVOL(イーヴォー)』をやめて『東京ヒゴロ』を3位にいれ、そのまま4位の『生き残った6人によると』と5位『用九商店』が残ったのもそのへんの塩梅によるところです。

今年のマンガから5作を選ぶって本当に難しい作業でしたね。しかもみんな基本的に同じ基準で選び、結果としてあのランキングになっているのですから、いろんな人がいるものだと思いました。

それに1位は10点、2位は9点、3位はと8点、4位は7点、5位は6点(+1は5点)で加点されるわけで、だれかがその作品を1位に選べば10点動くわけです。
ランキング1位の『光が死んだ夏』でも136点。10位以降の作品などであれば、50点もあればランクインしますから、そのなかでひとり計45点振り分けられるって結構大きいなぁと思った次第でありました。

蛇足の蛇足ですが、このランキングのところ以外にもわたしが書いた文章が二か所のっておりまして、「このキャラクターがすごい!」のところで『異剣戦記ヴェルンディオ』のコハクを選ばせていただいたところと、「このマンガもすごい!」で田島列島先生の『みちかとまり』を選ばせていただいたところです。

色々本当にいい経験になりました。ありがとうございました。


■蛇足2(その他のマンガ)

蛇足その2は今年のマンガじゃないので、ランキングには選んでいませんけれど、今年読んで面白かったマンガたちです。

『Cold apartment』

『わたしの宇宙』

『サマータイムレンダ』

『縁の手紙』

『百貨店ワルツ』

『ゆうやけトリップ』

いやーこのへんの作品たちはほんと面白かったですね。
どれも甲乙つけがたい。人を選ぶのは一番上の『Cold apartment』くらいで、アニメも人気の『サマータイムレンダ』超面白いし、『わたしの宇宙』最強のメタマンガだし、『縁の手紙』かわいいし……でまあいい作品ばかりです。

気になったらこのへんもぜひよろしくお願いいたします。
来年はTOP10にしたいですね。20も書くの大変なんですから(笑

そんな感じの2022年でした。みなさんも面白いマンガとの出会いはございましたでしょうか。また来年もほそぼそとマンガを読みましょうか。

では!みなさまよいお年を!


#マンガ感想文 #マンガ #コンテンツ会議 #漫画 #このマンガがすごい

「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)