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たけのこ@マンガライターが2023年10月に読んで面白かったマンガ!

なんだか怒涛のように10月は過ぎ去っていきましたね。
いやわたしだけかもしれませんが。そもそも10月はいるまではめちゃくちゃ暑かったにもかかわらず、10月はいったと思ったら急に冬めきだして。秋どこか行っちゃったわけですし。世知辛いものです。

そんな10月、わたしが面白かったマンガはこちら!
今月は海外ものが2つ入りましたね。


じゃ順番にいきましょー!

『かげきしょうじょ!!』14巻

『かげきしょうじょ!!』にはもうホント頭があがりません。すごすぎるなって思います。本編はもとよりスピンオフも素敵でしたね。

もはやキャラがどうというレベルは超越しているといいますか……。さらさや愛ちゃんなどキャラクターとしての強さはもうすでにカンストしていると思うのですが、そういう部分をとっぱらってしまっても素晴らしいです。
心の動きかたとか、その場面描写の技術とか、「崇高」とでもいうのがふさわしい気がします。国宝にしましょう。博物館に入れるべきです。

ほぼなにも語っていない「すごい!」だけの感想でした(笑


『ビンテイジ』4巻

『ビンテイジ』次の巻で完結なんでしたっけ。
いまが一番油のっていると思うのでぜひとも今読んでほしいです。5巻完結だとアニメに出来るか微妙な巻数なので、ここで盛り上げてほしいし、この楽しさを体感してほしいです。

ちゃんと古着のエピソードもやってはいるのですが、古着マンガでありかつバリバリに青春マンガですので、古着って別に興味ないし……みたいな人も気にせず手にとっていただきたいです。


『サバキスタン』3巻

『サバキスタン』はいいぞ!

1巻は独裁者に支配された国の崩壊を描き、2巻はその後、ひと世代あとの子どもたちの時代を描く。そこでは前時代の独裁者のことは消しさられ、銅像などの目立つものから本になった資料まで、すべてものものから独裁者の姿が消し去られた時代となっているのです。独裁者に対する反動の時代ですね。
そして続く3巻では、そこからまた10年程度たった時代を描きますが、そこで描かれているのは独裁者の再評価とふたたび影響力を持ちはじめている姿なんですよ。

独裁者の支配からの崩壊を描いた作品は沢山あると思います
その後の時代という位置づけの作品もあったはず。でも崩壊から、過去にいた独裁者が再評価されるという一連の流れを描いた作品はこれまで見たことがありません。そしてそこにすごくリアルさを感じてしまったんです。

いい部分があったからこそ独裁者は評価され、その体制が行き過ぎてしまったがゆえに崩壊する。それはある意味当然の話ですが、その後の治世がうまくいくかどうかは別問題です。
どうにもうまくいかず、前のほうがよかった!と思う人たちが時代とともに徐々に増えだすことにはなんの不思議もありません。しかも本来は歴史の勉学とともに、避けるべき前例として教育されていなければならないはずに支配者の姿は、一般市民の目からはきれいにすべて隠されているのですから知りようもないのです。
人間って結局、集まると知能が下がるなんていいますから。あれほど憎んだ独裁者を再び呼びこもうとする姿に、恐ろしさを感じながら眺められるのはわたしたちが対岸にいるからなのです。

巻ごとの間は多少時代が開いている部分もあって、想像で補わなければいけない部分があるのは難しさにつながっているとは思いますが、ロシア発ならではの稀有な作品だったと思います。傑作です。


『この世は戦う価値がある』

『ざんげ飯』で人気を獲得したこだまはつみ先生の最新作は、すでにみなさまの心にも刺さっているようですね。

ブラック企業とかで精神をすりへらしたヒロインが、一度すべてを投げすてて、自分は存在する価値があったのかを問いかけるために、自分の過去と向きあうお話です。
裏表紙にもありますが、追いつめられたときの描写の痛々しさったらありません。外向きじゃなくて内向きにとにかく追いつめる話って、結構最近のトレンドかもしれませんね。


『スルーロマンス』2巻

『まじめな会社員』から一部には刺さりまくっている冬野梅子先生。

物事にであったときに心のなかではいろんな感情がうずまくもの。いいものもあればわるいものもあります。そんなのを事細かに描写していく解像度の高さ。そして主人公の立ち位置が、あこがれにあこがれる微妙なものが多く、共感を得やすいこともささる理由のひとつでしょう。

まだ2巻ですし、巻数重ねればドラマとかに絶対なると思います。評価は結構されているけれど、広く世間に見つかったらもっと何倍もささる人はいると思うので、もっと見つかってほしい作品です。


『恋せよまやかし天使ども』

前作の短編集ほてりほてってファーストキスも良かった卯月ココ先生の連載作品です。これ9月発売ですね。

これね、『うるわしの宵の月』とか『ゆびさきに恋々』等々をマネジメントしているマネジメント会社「株式会社スピカワークス」がかかわっているんですよね。現在の少年マンガの名物編集者といえば、『チェンソーマン』等の林士平さんかと思いますが、少女マンガではここのしーげる(鈴木重毅)さんが対抗馬といっていいと思います。

――で。つまりね。良くないわけがないんですよ。
いやもちろん漫画家先生がたの実力はうたがいないのですが、そこに鬼に金棒のような編集力が備わっているという感じで、個人的にはその「編集力」みたいなものの強さを感じざるえません。すばらしい。

それこそ『うるわしの宵の月』が好きな人はぜっっっったい好きだと思います。


『環と周』

いやーよしなが先生は本当にすばらしい。
新作としては16年ぶりとかどこかでみましたかな。さまざまな時代やシチュエーションで「環(たまき)」と「周(あまね)」という名前をもったふたりの関係を描いた作品です。

恋愛感情である場合もあるのですが、男女とも限りませんし、そういうものじゃない友情とか親愛みたいな感情であったりもするし、とにかく様々な場面、立場で「環と周」というふたりを描いた、その関係を描きたかった作品という感じでしょうか。

だからこそ特段の縛りもなく、素直に先生が描きたいと思ったシチュエーションを描けているのではないでしょうか。そして人間を描かせたらよしなが先生の右にでるものはいませんから。

すばらしくないわけがないのです。


『龍行旅』

台湾漫画界のエースといわれるAKRU(アクル)先生の作品です。

各地の竜をさがして旅をする兄と年の離れた弟の旅行冒険譚。まずマンガの絵がうまい。「写実」というものとも違って、「この線でこう描けば、この状況が伝わる」っているマンガの線。それが抜群にうまいと思います。

そして「もののけ姫」みたいな時代の感じを想像してもらうのが一番雰囲気に近いんじゃないでしょうか。そこに竜とか魔術?みたいなものとかも絡んでくるオリエンタルファンタジーです。

キャラもいいし、動きも多いし、アニメにしてほしいって思える作品でした!


『けむたい姉とずるい妹』5巻

ドラマもまだやってますかね。
ばったん先生の『けむたい姉とずるい妹』もここで完結ながら、いい終わりかたを見せてくれました。

もともとばったん先生が描く、きらきらの雰囲気がものすごく好きなんですよ。それを最終巻ということで、惜しみなくいい場面で披露していただけたのでほくほくしながら読みました。大好き。

最終的には「家族って~」っていうあたりの考えのオチも好きな終わりかたをしてましたので、ドラマはどこまでやるんだろうなぁっていうのは気になっています。


『生活保護特区を出よ。』3巻

『生活保護特区を出よ。』も鬼才の所業ですね。
というかまあわたしがこういう大手ではやれなさそうなこと、というのが好きなんでしょう。キャラクター以上に、その「空気」を描くっていうことかな。設定を魅せるっていうことでもいいのかも。

生活保護特区という場所に押しこめられ、そこは最低限生きていけるある種の「掃きだめ」のような地区。一般の地区からうつってきた主人公は最初は戸惑うものの、だんだん慣れしたしんでくる。
そこにも多少かわってはいるものの人間がいて、仲間がいて、仕事があり、文化がある。でも、やっぱり「普通」の場所ではない。そんな幻想と現実をいったり来たりさせられる感覚なんかがすごく好きです。

というわけでの10作品でした~~。
今月は面白いマンガが多すぎますね。どれも突出していて、1作選べてと言われても難しくて選べませんでした。みんな方向性違うし。大変結構なことです。
しかもこれが10月ってのがありがたくて、9月だとほら「このマンガがすごい」の締め切りが9月末までに出た作品だから、時間のないなか頭を悩ませて、序列をつけなければならないということになりかねなかったですからね(笑


さて。
番外編としてはやっと全部読んだ後崎さんのマンガおいておきますね。
アナルに抵抗のない方にしかオススメしませんが、ここ数年では一番わらった気がします。その前までいくと『神罰』とかかな。結局なんだかんだ下ネタが好きなのかもしれません(笑

わたし的には今年はもう後崎さんの年ってことでいいです(笑

『ひとり*遊戯』

『ひとりあそび』

『ひとりぷれい』


あーそんな最低なお話の最後にあれなんですが、

『ペルセポリス』も最高だったので、みなさんもお読みください。文字書くのに疲れてきたのでAmazonさんの文章を借りると、

イスラーム革命、イラン・イラク戦争などのイラン激動の時代。主人公・マルジ6歳から14歳までの、死と隣り合わせの日常生活を、普通の少女の目線で描く。

ということで、今だからこそ読む価値もあると思いますし、一家に一冊あっていいと思います。下巻も今読んでます。ぜひ。



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